中島京子のレビュー一覧

  • ツアー1989

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    ネタバレ

    「1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた」

    そんな一文に惹かれて購入。
    あまりにもど真ん中のストーリー展開に心臓を打ち抜かれてしまった。
    あああ、何でこんなに惹き込まれるんだろう……!
    どの章のどの登場人物にも奥行きがあって、妄想が止まらない!
    そんなはずはないのに、まるで自分が伝え聞いたことのように思えて、すでに自分があやふやになっておる。

    まだ余韻に浸っていてうまく書けないが、一応以下覚え書き。

    始め、「迷子つきツアー」自体がミステリー要素を含んでいたから、「吉田超人」章にて迎えた解決に、ちょっと物足りなさを感じた。
    けれど、すぐに吉田氏の話を反芻して、この小説にとって謎解きはさ

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    2011年06月12日
  • FUTON

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    花袋の『蒲団』では脇役として影を潜めていた主人公の妻視点で『蒲団』の打ち直しを行うアメリカ人日本文学研究者とその周辺の人々の物語。
    誰が語るかによって世界がこんなにも変わってしまうというのがすごくおもしろい。

    主人公のひとり語りで進む『蒲団』で存在していたたくさんの壁、例えば年齢、性別、価値観など、そういう隔たりに橋がかけられたような印象を受けた。

    『蒲団』で主人公が抱いていた人生に対する圧倒的なさみしさを思い出す。

    そのさみしさは『蒲団』を打ち直す研究者にもおじいさんにも絵描きにも共通していて、誰か何かがその空白を埋めてくれるんじゃないか、自分が誰かのさみしさに寄り添えるんじゃ

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    2011年04月24日
  • イトウの恋

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    明治初頭に北海道を旅した40代後半の英国人女性と、通訳兼ガイドとして彼女に同行した横浜出身の17歳の日本人少年の間の「恋」を描いたフィクション。日本人少年通訳が晩年になって記した手記をたまたま発見した高校教師が現代語訳した手記を、その通訳の子孫である女性(元モデルの劇画原作者)が読んでいくという重層的な物語構造。漫画原作者の女性と高校教師が段々親密になっていくプロセスも同時進行する。複雑な時間構造・プロットを、ややこしい背景設定がされた登場人物が謎解きをしていくにもかかわらず、飽きさせない。個々のキャラクター描写も細かくて良い。

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    2011年01月13日
  • FUTON

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    日系の女学生エミに翻弄される中年のアメリカ人教授デイブの葛藤を軸に、挿入される作中作『蒲団の打ち直し』、そこにエミの曾祖父ウメキチの回想も入り、どのひとつをとってもひとつの小説でいけそうな物語。
    『蒲団の打ち直し』は田山花袋の『蒲団』のremixで、細君の視点から描かれている。デイブとエミの話はデイブ側からの視点なので、この異なった視点の当て方が物語に深みを与えている。
    すごい面白い。

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    2010年12月20日
  • FUTON

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    田山花袋の「蒲団」を読んで準備万端です。

    アメリカ人の日本文学者デイブを主人公に
    「蒲団」の物語を妻の立場からリライト。「蒲団の打ち直し」
    さらにデイブとその教え子の日系人エミを主人公に現代版「蒲団」、
    エミのおじいちゃんの記憶(ボケ?)の話の3本柱に描かれてます。
    3つも絡まってるのに、ごちゃごちゃになることもなかった。
    おもしろかったです。
    それにしても「蒲団」の主人公は好かん。

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    2010年11月14日
  • FUTON

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    おもしろかった!田山花袋の『蒲団』の打ち直し、ってだけで、もうおもしろい。花袋の時代と今の時代では恋愛における価値観はずいぶん違うけれど、恋に振り回される男の狼狽ぶりは同じ。そして、女はさっさと違うステージへ行ってしまう。中島京子の文章は軽妙で、ぐいぐい読ませる。

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    2010年10月26日
  • 冠・婚・葬・祭

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    すてきな短編集! 冠、婚、葬、祭をテーマにした4つの物語が、どれもピリッとしていて、鮮やか。とっても巧みで、ウム、と唸ること請け合い。わたしたちが日常で出くわす冠婚葬祭。関わり方は多々あれど、人の本質って案外そういう場面でうっかり見えてしまうもの。明るくて皮肉、そしてあたたかい。おすすめ。

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    2010年09月29日
  • ココ・マッカリーナの机

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    この体験記を、どこかで「人生変えなきゃ」と思っている、悩める友人たちに贈る。
    と、「はじめに」に書いてあるように、前向きな気持ちになれるエッセイ集だった!
    実際に暮らしてみないと知ることのできない、ブレマートンの人々の文化や日常が興味深くて、読んで楽しい。
    中島京子さんについては、今まで小説を二冊だけ読んでいて、どちらもスキッとする読後が気に入ってたけど、このエッセイを読んでもっと好きになった。

    解説が豊崎由美さん。「今後の作家人生は開運一途間違いなしである」とまで仰られてる。すごい!

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    2010年02月28日
  • FUTON

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    何気なくタイトルに惹かれて手にした本だったのだけれど、予想以上に深く面白い小説だった。
    中島京子という人も初めて知ったのだけれど他にも幾つか書いているようなので是非読んでみたい。

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    2009年10月04日
  • うらはぐさ風土記

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    新しいものは本当に一瞬でできるけど、古いもの?は、その年数を重ねないことには出来上がらない。
    壊すことより、そのものを活かすことを。
    ただ、「変化」も大事だ!

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    2026年05月24日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    河童を介した安土桃山時代の話と、現代を生きる作家の話が交錯する。秀吉の朝鮮出兵の悲惨さとそれを止められない河童の切なさ。

    暴走する危険なトップに対して、家臣は保身のため真正面から止められず、裏から止めようとするけど失敗して、多くの人が殺されていく…
    隣国の人の矜持や命の大切さを甘くみて、自分の誇りや利益ばかりを追求する…
    今でもありそうな話、と私は思いました。

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    2026年05月24日
  • 花桃実桃

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    アパートの大家になった43歳の女性とアパートの住人との交流。
    住人のキャラが立っていて、そのセリフの応酬にニヤニヤしてしまう。

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    2026年05月21日
  • 小さいおうち

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    1.著者;中島氏は、小説家・エッセイスト。フリーライターを経て、小説家デビュー。両親は、共にフランス文学者、姉はエッセイストで、文学一家。彼女の作品は、日常に潜む小さな出来事や感情を丁寧に描き出し、読者の心に深く響く作品が多い。ユーモアとペーソスが織り交ぜられた独特の文体も魅力。直木賞、泉鏡花文学賞、吉川英治文学賞、柴田錬三郎賞など、数々の文学賞を受賞。
    2.本書;東京を舞台に、戦前から戦時中に「モダンな赤い三角屋根の小さいおうち」に住む平井家。この家に14歳から十数年仕えたタキ(女中)の目線で綴った回想録。タキは、モダンな家と若く美しい奥様(時子)を慕った。時子と板倉の恋愛事件があるものの、

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    2026年04月19日
  • 樽とタタン(新潮文庫)

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    不思議な物語だなぁ…
    でもあの喫茶店に行ってみたい。
    老小説家、神主、トミー、学生さん、バヤイ、そしてマスターとタタンのいる喫茶店へ。
    きっとそこは居心地がよくて、コーヒーが美味しいんだろうなぁ

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    2026年03月31日
  • イトウの恋

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    作家の想像力、創作力ってすごい。
    イザベラ・バードの「日本奥地紀行」に想を得た恋愛小説。
    通訳兼案内人のイトウとIBの仄かな恋がイトウの側から描かれる。現在と昔のパートを散逸したイトウの手記から辿っていく構成。

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    2026年03月23日
  • うらはぐさ風土記

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    うらはぐざ、あけび野商店街、落ち着いた歩調で進む日々。
    いやな人が出てこないし、煌びやかでも質素でもない。
    マーシーには、ヘンテコ敬語以外は規模の小さい成瀬あかりさんのようでにくめない可愛らしさがあるし、秋葉原夫妻は穏やかだし、第一主人公の沙希さんが物事を悲観的に捉えるタイプではないところがとても好き。
    どこにでもあるようで、なかなか得られない穏やかな日常。
    いいな、と思いました。
    「雄大さが、こぢんまりしています」。ふふ。

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    2026年03月19日
  • 今日もぼーっと行ってきます

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    「ぼーっとする」ことが目的の東京とその近郊のお散歩エッセイ。
    読んでいて、ドラマ『À table!〜ノスタルジックな休日〜』のお散歩シーンを思い出した。天文台はドラマにも出てきてましたね。
    子どもの頃はぼーっとする時間がたくさんあったけれど、大人になってからは強制的ににそういう時間を作らないと、ぼーっとするのもなかなか難しいのかと、今さらながら気づく。
    春だし、地元のぼーっとスポット探ししようかしら。

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    2026年03月10日
  • 坂の中のまち

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    ネタバレ

     中島さんの久しぶり。淡々と進む日常なのにちょっとどきどきすることもあって、いろんな人がいていいんだなって思える。もっと中島さんの読もうっと。

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    2026年03月10日
  • 冠・婚・葬・祭

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    成人式、結婚、葬式、お盆。
    日本の儀式をテーマに描かれる連作小説。
    儀式そのものを舞台に展開される物語ではなく、主人公や作者の視点を少しずらして書かれていて、中島京子さんらしいユーモアも含まれていてとても面白かったです。

    語り手は、成人式を取材に行った地方新聞の若手記者や、かつてお見合いおばさんだった六十代の女性、社命で老婦人の葬儀のお供をした青年、母の生家を手放すのを機に、田舎に集まって最後のお盆を迎える三姉妹。

    今の時代、結婚式も葬式も簡素になってしまったけれど、ここに出てくるお見合いおばさんの存在が何とも微笑ましく、言うことが的を得ていて、中島さんの魅力が存分に感じられます。

    そし

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    2026年03月07日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    スランプに陥った作家「わたし」は唐津に旅をする。
    そこで陶芸家の夫婦と知り合い、不思議な茶碗と、朝鮮の娘と、水神にまつわる話を聞かせてもらうことになった。
    サワタローさんの語る『水神夜話』は、家に伝わる長い話で、水神とは河童のことらしい。

    ファンタジーなのか、ファンタジーを装った歴史小説なのか。それとも反戦小説なのか。
    ここでの水神の祖先は天竺からモンゴルを経て中国へ、半島から泳いで日本に渡り、九州に住み着いた。
    水神は、人間社会に絡みつつも、人間の生態を観察し、一歩距離を置く。

    『水神夜話』では秀吉の朝鮮出兵を止めようとする水神について語られる。読みごたえがあった。
    ある日、朝鮮の名陶工

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    2026年03月07日