中島京子のレビュー一覧

  • イトウの恋

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    明治初頭に北海道を旅した40代後半の英国人女性と、通訳兼ガイドとして彼女に同行した横浜出身の17歳の日本人少年の間の「恋」を描いたフィクション。日本人少年通訳が晩年になって記した手記をたまたま発見した高校教師が現代語訳した手記を、その通訳の子孫である女性(元モデルの劇画原作者)が読んでいくという重層的な物語構造。漫画原作者の女性と高校教師が段々親密になっていくプロセスも同時進行する。複雑な時間構造・プロットを、ややこしい背景設定がされた登場人物が謎解きをしていくにもかかわらず、飽きさせない。個々のキャラクター描写も細かくて良い。

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    2011年01月13日
  • FUTON

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    日系の女学生エミに翻弄される中年のアメリカ人教授デイブの葛藤を軸に、挿入される作中作『蒲団の打ち直し』、そこにエミの曾祖父ウメキチの回想も入り、どのひとつをとってもひとつの小説でいけそうな物語。
    『蒲団の打ち直し』は田山花袋の『蒲団』のremixで、細君の視点から描かれている。デイブとエミの話はデイブ側からの視点なので、この異なった視点の当て方が物語に深みを与えている。
    すごい面白い。

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    2010年12月20日
  • FUTON

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    田山花袋の「蒲団」を読んで準備万端です。

    アメリカ人の日本文学者デイブを主人公に
    「蒲団」の物語を妻の立場からリライト。「蒲団の打ち直し」
    さらにデイブとその教え子の日系人エミを主人公に現代版「蒲団」、
    エミのおじいちゃんの記憶(ボケ?)の話の3本柱に描かれてます。
    3つも絡まってるのに、ごちゃごちゃになることもなかった。
    おもしろかったです。
    それにしても「蒲団」の主人公は好かん。

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    2010年11月14日
  • FUTON

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    おもしろかった!田山花袋の『蒲団』の打ち直し、ってだけで、もうおもしろい。花袋の時代と今の時代では恋愛における価値観はずいぶん違うけれど、恋に振り回される男の狼狽ぶりは同じ。そして、女はさっさと違うステージへ行ってしまう。中島京子の文章は軽妙で、ぐいぐい読ませる。

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    2010年10月26日
  • 冠・婚・葬・祭

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    すてきな短編集! 冠、婚、葬、祭をテーマにした4つの物語が、どれもピリッとしていて、鮮やか。とっても巧みで、ウム、と唸ること請け合い。わたしたちが日常で出くわす冠婚葬祭。関わり方は多々あれど、人の本質って案外そういう場面でうっかり見えてしまうもの。明るくて皮肉、そしてあたたかい。おすすめ。

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    2010年09月29日
  • ココ・マッカリーナの机

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    この体験記を、どこかで「人生変えなきゃ」と思っている、悩める友人たちに贈る。
    と、「はじめに」に書いてあるように、前向きな気持ちになれるエッセイ集だった!
    実際に暮らしてみないと知ることのできない、ブレマートンの人々の文化や日常が興味深くて、読んで楽しい。
    中島京子さんについては、今まで小説を二冊だけ読んでいて、どちらもスキッとする読後が気に入ってたけど、このエッセイを読んでもっと好きになった。

    解説が豊崎由美さん。「今後の作家人生は開運一途間違いなしである」とまで仰られてる。すごい!

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    2010年02月28日
  • FUTON

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    何気なくタイトルに惹かれて手にした本だったのだけれど、予想以上に深く面白い小説だった。
    中島京子という人も初めて知ったのだけれど他にも幾つか書いているようなので是非読んでみたい。

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    2009年10月04日
  • イトウの恋

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    作家の想像力、創作力ってすごい。
    イザベラ・バードの「日本奥地紀行」に想を得た恋愛小説。
    通訳兼案内人のイトウとIBの仄かな恋がイトウの側から描かれる。現在と昔のパートを散逸したイトウの手記から辿っていく構成。

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    2026年03月23日
  • 今日もぼーっと行ってきます

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    「ぼーっとする」ことが目的の東京とその近郊のお散歩エッセイ。
    読んでいて、ドラマ『À table!〜ノスタルジックな休日〜』のお散歩シーンを思い出した。天文台はドラマにも出てきてましたね。
    子どもの頃はぼーっとする時間がたくさんあったけれど、大人になってからは強制的ににそういう時間を作らないと、ぼーっとするのもなかなか難しいのかと、今さらながら気づく。
    春だし、地元のぼーっとスポット探ししようかしら。

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    2026年03月10日
  • 坂の中のまち

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    ネタバレ

     中島さんの久しぶり。淡々と進む日常なのにちょっとどきどきすることもあって、いろんな人がいていいんだなって思える。もっと中島さんの読もうっと。

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    2026年03月10日
  • 冠・婚・葬・祭

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    成人式、結婚、葬式、お盆。
    日本の儀式をテーマに描かれる連作小説。
    儀式そのものを舞台に展開される物語ではなく、主人公や作者の視点を少しずらして書かれていて、中島京子さんらしいユーモアも含まれていてとても面白かったです。

    語り手は、成人式を取材に行った地方新聞の若手記者や、かつてお見合いおばさんだった六十代の女性、社命で老婦人の葬儀のお供をした青年、母の生家を手放すのを機に、田舎に集まって最後のお盆を迎える三姉妹。

    今の時代、結婚式も葬式も簡素になってしまったけれど、ここに出てくるお見合いおばさんの存在が何とも微笑ましく、言うことが的を得ていて、中島さんの魅力が存分に感じられます。

    そし

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    2026年03月07日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    スランプに陥った作家「わたし」は唐津に旅をする。
    そこで陶芸家の夫婦と知り合い、不思議な茶碗と、朝鮮の娘と、水神にまつわる話を聞かせてもらうことになった。
    サワタローさんの語る『水神夜話』は、家に伝わる長い話で、水神とは河童のことらしい。

    ファンタジーなのか、ファンタジーを装った歴史小説なのか。それとも反戦小説なのか。
    ここでの水神の祖先は天竺からモンゴルを経て中国へ、半島から泳いで日本に渡り、九州に住み着いた。
    水神は、人間社会に絡みつつも、人間の生態を観察し、一歩距離を置く。

    『水神夜話』では秀吉の朝鮮出兵を止めようとする水神について語られる。読みごたえがあった。
    ある日、朝鮮の名陶工

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    2026年03月07日
  • 今日もぼーっと行ってきます

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    ぼーっとしたい。
    ということで、タイトル買い。

    ぼーっとを目指し、あちこちへ。
    紀行文としてもおもしろく、
    さりげない描写、表現に
    さすがだなぁ、と思うこともしばしば。

    『ぼーっとする、ぼーっとすると書いてきたが、
    本質は「よく生きる」ということだと思う。
    理性を保ってよく生きるには、自分が
    「ああ、これなら息がつける」と思える
    ある程度のスペースと、ほどほどの人との
    関わりが必要だ』

    という一節。

    あぁ、このぼーっとの時間が
    作者の次の名作を紡ぎ出すエネルギーに
    きっかけになるのだな、と思った。

    紹介されたスポットを、ゆっくりと
    訪れてみたい。

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    2026年03月06日
  • 妻が椎茸だったころ

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    初読み作家。
    ちょっと不思議な大人のおとぎ話みたいな短編集。
    文章がシンプルなのに人間味があって、
    スッと入ってくる感じがして読みやすく、面白かった!

    個人的に好きな話は
    1話目の
    テレビから外国で起きたニュースが聞こえてきて
    そういや昔あの辺りの地域に行ったことあるなぁって思い出す回想シーンが始まり、
    そこでたまたま出会ったお婆さんが結構プレイボーイならぬプレイガールで、5人の男と結婚して別れてを繰り返してた人で、
    あのお婆さんに助けてもらったのに恩返しできなかったなぁ、、、って友達に話して現実世界に話が戻ってくるんやけど、
    このお話の最後の終わり方が世にも奇妙な物語っぽくて良かった!

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    2026年03月01日
  • いつか、アジアの街角で

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    台湾が大好きで、表紙があまりにも可愛くてに取りました。

    サラッと読める文章で隙間時間に楽しむのにちょうど良い一冊です。

    台湾に行かなくても、日本に住む日常の中に台湾を感じることができます。

    香港や台湾は、ずっとそのままでいてほしいな。

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    2026年03月01日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    これは好みが分かれる作品のようだ。
    私は『かたづの』のような作品が好きなので、中島さんの妖なるものと歴史との絡みは面白いジャンルだと思っている。
    今回は「水神」から見た、秀吉の朝鮮出兵の時代。
    現代と、水神が記録した歴史を行き来して物語は進むが、水神から見た人間は、なんとも理解し難いほどの野蛮と支配欲を持った生き物だ。実際の歴史ではなく、水神から見た歴史というところが面白い。
    水神は戦を止めることはできないが、できるだけ役に立ちそうなヒトに近いて、なんとか種族を守ろうとする。
    歴史は事実なのだが、そこに水神が絡むことによって、より歴史の悲しさや虚しさが表れる。
    本当にスランプなのかわからないけ

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    2026年02月26日
  • 小さいおうち

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    ネタバレ

    最後の答え合わせがとても良い。愛すべきタキちゃんの一途さ。(映画ではちょっと違うようで残念。)
    戦争や空襲自体の悲惨さはあまり描かれないが、戦争に向かう時代に人が洗脳されていく姿がある。恭一じいさんは、セイちゃんと遊ばなくなった当時の自分を見つめている。登場人物それぞれの小さな後悔が余韻になって残る。

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    2026年02月21日
  • 長いお別れ

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    いつか自分がそれになった時、それが迷惑だとか、申し訳ないだとか考えることも出来ず、生きている意味も、過去も未来も何もなくなってしまうのが悲しい。

    身に染みて体験まではいかないけど、理解も出来たし、あくまで楽しそうに書かれていて、読みやすかった。


    あえて言うなら、三姉妹の名前が似通っているので、誰が誰なんだかわからなくなった。

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    2026年02月16日
  • いつか、アジアの街角で

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    ネタバレ

    短編のオムニバス。個人的には、中島京子さんの筆致や「よしんば」の発想はさすが卓越してるなぁとか、やはり桜庭一樹は苦手なんだよだなぁとか、比較しながら楽しく読んだ。
    大島真寿美さんの作品は初めて読んだけど、「香港加油」のポストイットのくだりがたいへん良かった。他の作品も読んでみようと思ってググってみたり。こういう出会いがオムニバスの醍醐味だな、と思う。
    ちなみにアジアといっても、台湾や香港が舞台で、もっと東南アジアやインドなど、異文化感の強い舞台の作品も読みたかった。

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    2026年02月16日
  • 坂の中のまち

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    大学生になって富山から出てきた女子学生が居候した先には数々の坂があった。坂道の出てくる明治文学を絡めながら、現代と文学作品の舞台が重なり合い広がっていく、坂にまつわる物語。
    各文学作品を読んでいたら、もっと面白く読めただろうなと思うので、明治の文豪作品を読んでる人におすすめ。

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    2026年02月14日