中島京子のレビュー一覧
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ネタバレ「1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた」
そんな一文に惹かれて購入。
あまりにもど真ん中のストーリー展開に心臓を打ち抜かれてしまった。
あああ、何でこんなに惹き込まれるんだろう……!
どの章のどの登場人物にも奥行きがあって、妄想が止まらない!
そんなはずはないのに、まるで自分が伝え聞いたことのように思えて、すでに自分があやふやになっておる。
まだ余韻に浸っていてうまく書けないが、一応以下覚え書き。
始め、「迷子つきツアー」自体がミステリー要素を含んでいたから、「吉田超人」章にて迎えた解決に、ちょっと物足りなさを感じた。
けれど、すぐに吉田氏の話を反芻して、この小説にとって謎解きはさ -
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花袋の『蒲団』では脇役として影を潜めていた主人公の妻視点で『蒲団』の打ち直しを行うアメリカ人日本文学研究者とその周辺の人々の物語。
誰が語るかによって世界がこんなにも変わってしまうというのがすごくおもしろい。
主人公のひとり語りで進む『蒲団』で存在していたたくさんの壁、例えば年齢、性別、価値観など、そういう隔たりに橋がかけられたような印象を受けた。
『蒲団』で主人公が抱いていた人生に対する圧倒的なさみしさを思い出す。
そのさみしさは『蒲団』を打ち直す研究者にもおじいさんにも絵描きにも共通していて、誰か何かがその空白を埋めてくれるんじゃないか、自分が誰かのさみしさに寄り添えるんじゃ -
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1.著者;中島氏は、小説家・エッセイスト。フリーライターを経て、小説家デビュー。両親は、共にフランス文学者、姉はエッセイストで、文学一家。彼女の作品は、日常に潜む小さな出来事や感情を丁寧に描き出し、読者の心に深く響く作品が多い。ユーモアとペーソスが織り交ぜられた独特の文体も魅力。直木賞、泉鏡花文学賞、吉川英治文学賞、柴田錬三郎賞など、数々の文学賞を受賞。
2.本書;東京を舞台に、戦前から戦時中に「モダンな赤い三角屋根の小さいおうち」に住む平井家。この家に14歳から十数年仕えたタキ(女中)の目線で綴った回想録。タキは、モダンな家と若く美しい奥様(時子)を慕った。時子と板倉の恋愛事件があるものの、 -
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成人式、結婚、葬式、お盆。
日本の儀式をテーマに描かれる連作小説。
儀式そのものを舞台に展開される物語ではなく、主人公や作者の視点を少しずらして書かれていて、中島京子さんらしいユーモアも含まれていてとても面白かったです。
語り手は、成人式を取材に行った地方新聞の若手記者や、かつてお見合いおばさんだった六十代の女性、社命で老婦人の葬儀のお供をした青年、母の生家を手放すのを機に、田舎に集まって最後のお盆を迎える三姉妹。
今の時代、結婚式も葬式も簡素になってしまったけれど、ここに出てくるお見合いおばさんの存在が何とも微笑ましく、言うことが的を得ていて、中島さんの魅力が存分に感じられます。
そし -
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ネタバレスランプに陥った作家「わたし」は唐津に旅をする。
そこで陶芸家の夫婦と知り合い、不思議な茶碗と、朝鮮の娘と、水神にまつわる話を聞かせてもらうことになった。
サワタローさんの語る『水神夜話』は、家に伝わる長い話で、水神とは河童のことらしい。
ファンタジーなのか、ファンタジーを装った歴史小説なのか。それとも反戦小説なのか。
ここでの水神の祖先は天竺からモンゴルを経て中国へ、半島から泳いで日本に渡り、九州に住み着いた。
水神は、人間社会に絡みつつも、人間の生態を観察し、一歩距離を置く。
『水神夜話』では秀吉の朝鮮出兵を止めようとする水神について語られる。読みごたえがあった。
ある日、朝鮮の名陶工