中島京子のレビュー一覧

  • ココ・マッカリーナの机

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    シアトルの近くの小さな街で臨時講師をした日本人女性のエッセイ。小学校(?)を中心にしたローカルな世界が舞台ですが、全編を通じて'90年代末らしい感じがそこはかとなくとなく出ています。
    軽やかな文体で数ページずつのエピソードが続き、読みやすかったです。観念的な描写がなく、大人も子供も生き生きとした形で描かれていました。

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    2011年08月20日
  • ツアー1989

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    ネタバレ

    「1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた」

    そんな一文に惹かれて購入。
    あまりにもど真ん中のストーリー展開に心臓を打ち抜かれてしまった。
    あああ、何でこんなに惹き込まれるんだろう……!
    どの章のどの登場人物にも奥行きがあって、妄想が止まらない!
    そんなはずはないのに、まるで自分が伝え聞いたことのように思えて、すでに自分があやふやになっておる。

    まだ余韻に浸っていてうまく書けないが、一応以下覚え書き。

    始め、「迷子つきツアー」自体がミステリー要素を含んでいたから、「吉田超人」章にて迎えた解決に、ちょっと物足りなさを感じた。
    けれど、すぐに吉田氏の話を反芻して、この小説にとって謎解きはさ

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    2011年06月12日
  • FUTON

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    花袋の『蒲団』では脇役として影を潜めていた主人公の妻視点で『蒲団』の打ち直しを行うアメリカ人日本文学研究者とその周辺の人々の物語。
    誰が語るかによって世界がこんなにも変わってしまうというのがすごくおもしろい。

    主人公のひとり語りで進む『蒲団』で存在していたたくさんの壁、例えば年齢、性別、価値観など、そういう隔たりに橋がかけられたような印象を受けた。

    『蒲団』で主人公が抱いていた人生に対する圧倒的なさみしさを思い出す。

    そのさみしさは『蒲団』を打ち直す研究者にもおじいさんにも絵描きにも共通していて、誰か何かがその空白を埋めてくれるんじゃないか、自分が誰かのさみしさに寄り添えるんじゃ

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    2011年04月24日
  • イトウの恋

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    明治初頭に北海道を旅した40代後半の英国人女性と、通訳兼ガイドとして彼女に同行した横浜出身の17歳の日本人少年の間の「恋」を描いたフィクション。日本人少年通訳が晩年になって記した手記をたまたま発見した高校教師が現代語訳した手記を、その通訳の子孫である女性(元モデルの劇画原作者)が読んでいくという重層的な物語構造。漫画原作者の女性と高校教師が段々親密になっていくプロセスも同時進行する。複雑な時間構造・プロットを、ややこしい背景設定がされた登場人物が謎解きをしていくにもかかわらず、飽きさせない。個々のキャラクター描写も細かくて良い。

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    2011年01月13日
  • FUTON

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    日系の女学生エミに翻弄される中年のアメリカ人教授デイブの葛藤を軸に、挿入される作中作『蒲団の打ち直し』、そこにエミの曾祖父ウメキチの回想も入り、どのひとつをとってもひとつの小説でいけそうな物語。
    『蒲団の打ち直し』は田山花袋の『蒲団』のremixで、細君の視点から描かれている。デイブとエミの話はデイブ側からの視点なので、この異なった視点の当て方が物語に深みを与えている。
    すごい面白い。

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    2010年12月20日
  • FUTON

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    田山花袋の「蒲団」を読んで準備万端です。

    アメリカ人の日本文学者デイブを主人公に
    「蒲団」の物語を妻の立場からリライト。「蒲団の打ち直し」
    さらにデイブとその教え子の日系人エミを主人公に現代版「蒲団」、
    エミのおじいちゃんの記憶(ボケ?)の話の3本柱に描かれてます。
    3つも絡まってるのに、ごちゃごちゃになることもなかった。
    おもしろかったです。
    それにしても「蒲団」の主人公は好かん。

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    2010年11月14日
  • FUTON

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    おもしろかった!田山花袋の『蒲団』の打ち直し、ってだけで、もうおもしろい。花袋の時代と今の時代では恋愛における価値観はずいぶん違うけれど、恋に振り回される男の狼狽ぶりは同じ。そして、女はさっさと違うステージへ行ってしまう。中島京子の文章は軽妙で、ぐいぐい読ませる。

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    2010年10月26日
  • 冠・婚・葬・祭

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    すてきな短編集! 冠、婚、葬、祭をテーマにした4つの物語が、どれもピリッとしていて、鮮やか。とっても巧みで、ウム、と唸ること請け合い。わたしたちが日常で出くわす冠婚葬祭。関わり方は多々あれど、人の本質って案外そういう場面でうっかり見えてしまうもの。明るくて皮肉、そしてあたたかい。おすすめ。

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    2010年09月29日
  • ココ・マッカリーナの机

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    この体験記を、どこかで「人生変えなきゃ」と思っている、悩める友人たちに贈る。
    と、「はじめに」に書いてあるように、前向きな気持ちになれるエッセイ集だった!
    実際に暮らしてみないと知ることのできない、ブレマートンの人々の文化や日常が興味深くて、読んで楽しい。
    中島京子さんについては、今まで小説を二冊だけ読んでいて、どちらもスキッとする読後が気に入ってたけど、このエッセイを読んでもっと好きになった。

    解説が豊崎由美さん。「今後の作家人生は開運一途間違いなしである」とまで仰られてる。すごい!

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    2010年02月28日
  • FUTON

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    何気なくタイトルに惹かれて手にした本だったのだけれど、予想以上に深く面白い小説だった。
    中島京子という人も初めて知ったのだけれど他にも幾つか書いているようなので是非読んでみたい。

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    2009年10月04日
  • うらはぐさ風土記

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    うらはぐさの地で、今、住む人たちとの交流。歴史が描かれている。
    その土地に住むことは、その土地を知ること、住む人と親しむこと。
    それが生活であり、人生なんだな、と思った。

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    2026年01月28日
  • 小さいおうち

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    前半は、戦前の東京の暮らしが淡々と描かれていく。
    大きな事件が起こるわけでもなく、家事や日常の積み重ねが続くため、
    映画『東京物語』を観ているような趣深さを感じつつも、正直少し退屈にも思えた。

    しかし、途中に挟まれる健史のどこかズレた、トンチンカンな指摘も含めて、全てが最終章につながっていたんだと、読み終わった後で気づかされた。

    美しい映画一本観終えたような余韻に合わせて、
    ミステリを読んだ後のような読後感もあった。

    派手ではないけれど、構成の巧みさと感情の奥行きがある、とても完成度の高い一冊だと感じた。

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    2026年01月18日
  • 彼女に関する十二章

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    いやいや聖子さん、大モテです。が、1番の感想。2番目が離婚なんてまずないだろうと思われる守さんとの会話の多さ。羨ましいです。

    昔の「女性に関する十二章」と絡めた小説としても、とても良かった。

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    2026年01月10日
  • 坂の中のまち

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    新年からカラッとしたいい物語に出会えてうれしいな。
    今年は文豪の名作を読みたくなった。

    後世振り返れば、コロナ禍文学みたいなカテゴリができそうだな。

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    2026年01月03日
  • 長いお別れ

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    認知症という長寿が進んでいるなかでこの病とどう向き合い、連れ添うのか。まだ親族に経験した方はいないが、実際問題しっかり寄り添うことができるかと言われると自信は全くない。しかし、ほぼ避けては通れない関門だと思うので少しずつ準備していかいといけないと肝に銘じることができた作品でした。

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    2026年01月02日
  • 妻が椎茸だったころ

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    たまたま目について手に取ったけど、大正解な作品でした。面白かったー!
    こういうホラーともミステリとも言えない、でも不気味だったりほっこりしたりするのは大好きです。短編集というのも読みやすくて良き。
    個人的には『ラフレシアナ』と『蔵篠猿宿パラサイト』が良かった。

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    2026年01月02日
  • 彼女に関する十二章

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    ネタバレ

    何も考えずに読書をのんびり楽しめる一冊。中島京子さんの本は、たぶん4作目?だけど、いつも言葉選びが知的かつユニークで、それなのに文章にクセがなく、人の温かさが感じられて、すばらしい作家さんだと思う。
    本書は閉経を迎えるか否か、という年齢の聖子さんを主人公に、人との出会いやちょっとした生活の変化にまつわる心の機微を描いている。あーそういう気持ちになることあるよね、という感情を上手に描くので、追体験ができる。印象的なのは、息子の彼女への感情の変化。愚鈍に見えて、なんでこんな子を、と思っていたのに、頼りにされた瞬間、全力で守ろうとする聖子さん。人と人が交われば、そこには何らかの関係と感情が生まれる、

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    2025年12月29日
  • 長いお別れ

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    幼児の子育てですらあれだけ大変なのに、認知症の大の大人を介護することがどれほど大変か、を考えると正直ゾッとした、と同時に、今までの人生で紡いできた絆の深さや想いのこもった接し方に、あたたかさを感じる場面も多かった。何より本人が少しずつ遠ざかっていく様がとても切なく、人生の儚さを感じられた小説だった

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    2025年12月28日
  • 水は動かず芹の中

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    『かたづの』を想わせる、私の好きな中島京子小説。
    しかも舞台は名護屋城のある唐津というんだから、
    そりゃ好き好き大好き。

    スランプの女性小説家・わたしが
    ひょんなことから唐津の陶芸家と親しくなり
    水神(河童)の史書「水神夜話」について聞かされる・・・

    加藤清正による水神ホロコーストから
    朝鮮出兵の悲劇、
    そして秀吉の死・・・

    摩訶不思議な夢とうつつを行き来するような
    世界が良い。
    そして、「戦争は始めたら止められない」ことが
    切々と伝わるのは今だからこそ。

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    2025年12月25日
  • 水は動かず芹の中

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    唐津の作陶家から聞く水神(河童)の言い伝え「水神夜話」。
    時代の大きなうねり、朝鮮出兵に河童が関わっていたなんて。
    そして河童はあくまで平和主義。
    力を持たない者たちに河童たちが奮闘するも、出兵は止まらない。

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    2025年12月21日