中島京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた」
そんな一文に惹かれて購入。
あまりにもど真ん中のストーリー展開に心臓を打ち抜かれてしまった。
あああ、何でこんなに惹き込まれるんだろう……!
どの章のどの登場人物にも奥行きがあって、妄想が止まらない!
そんなはずはないのに、まるで自分が伝え聞いたことのように思えて、すでに自分があやふやになっておる。
まだ余韻に浸っていてうまく書けないが、一応以下覚え書き。
始め、「迷子つきツアー」自体がミステリー要素を含んでいたから、「吉田超人」章にて迎えた解決に、ちょっと物足りなさを感じた。
けれど、すぐに吉田氏の話を反芻して、この小説にとって謎解きはさ -
Posted by ブクログ
花袋の『蒲団』では脇役として影を潜めていた主人公の妻視点で『蒲団』の打ち直しを行うアメリカ人日本文学研究者とその周辺の人々の物語。
誰が語るかによって世界がこんなにも変わってしまうというのがすごくおもしろい。
主人公のひとり語りで進む『蒲団』で存在していたたくさんの壁、例えば年齢、性別、価値観など、そういう隔たりに橋がかけられたような印象を受けた。
『蒲団』で主人公が抱いていた人生に対する圧倒的なさみしさを思い出す。
そのさみしさは『蒲団』を打ち直す研究者にもおじいさんにも絵描きにも共通していて、誰か何かがその空白を埋めてくれるんじゃないか、自分が誰かのさみしさに寄り添えるんじゃ -
Posted by ブクログ
ネタバレ何も考えずに読書をのんびり楽しめる一冊。中島京子さんの本は、たぶん4作目?だけど、いつも言葉選びが知的かつユニークで、それなのに文章にクセがなく、人の温かさが感じられて、すばらしい作家さんだと思う。
本書は閉経を迎えるか否か、という年齢の聖子さんを主人公に、人との出会いやちょっとした生活の変化にまつわる心の機微を描いている。あーそういう気持ちになることあるよね、という感情を上手に描くので、追体験ができる。印象的なのは、息子の彼女への感情の変化。愚鈍に見えて、なんでこんな子を、と思っていたのに、頼りにされた瞬間、全力で守ろうとする聖子さん。人と人が交われば、そこには何らかの関係と感情が生まれる、