中島京子のレビュー一覧

  • 坂の中のまち

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    坂のまち、だと何となく和む風景を思い浮かべるが、坂の「中の」まちと聞くと陰陽いろんなイメージが飛び交う。実際まちを舞台にしたエピソードがリアル且つエグくていい意味で感情を裏切ってくる。しかも文豪の名作を重ね合わせてシンクロナイズされたストーリー展開はちょっとしたタイムリープ感もあって何気に惹き込まれる。

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    2025年10月25日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    このシリーズの4に好きな作家さんがいたので読み始めました。
    4⇒1で読むと、あのお店はこういう話の始まりだったのか~がわかって面白かった!
    短編集なので、もちろん好みのものと、あまりそうでないものはあるものの、全体的には呼んでいて面白かったです。

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    2025年10月16日
  • 彼女に関する十二章

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    伊藤整の同タイトルエッセイをなぞりながら展開する50歳主婦のミドルライフ。理想と現実とよろめきと、色んな事件が巻き起こりつつ中高年も捨てたものではないと思わせる?ほっこり小説。

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    2025年10月03日
  • 長いお別れ

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    年老いた親を持つ者にとってはまさに悪夢である認知症。
    見ないでいられるものなら見たくない親の姿である。
    明るい母を中心に認知症の父、東昇平を最後まで温かく見守る家族の話だ。
    実際の身に起きれば憤懣やる方ない認知症の症状も、チャーミングな母と自立した娘たちは、面白おかしくひとつひとつやり過ごしていく。
    愛情を注ぎたい妻である母、それでもやはり寄る年波には勝てないもどかしさ、それがとても温かく切ない。
    クスリとしながら涙がポロンと落ちるそんな作品。

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    2025年09月22日
  • 妻が椎茸だったころ

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    著者の作品は「小さいおうち」しか読んでなかった。こんな不思議な作品もあるのね。
    「リズ・イェンセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」は結末4行で突然ホラーに転換するのがお見事。さすが泉鏡花賞受賞作。
    他の作品も何かしら「もの」への偏愛が軸にある。
    「ラフレシアナ」では食虫植物、「蔵篠猿宿パラサイト」では石、「ハクビシンを飼う」では文字通りハクビシン。
    来月著者の講演会があって申し込んでるけど、抽選当たるかな…お話聞いてみたい。

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    2025年09月21日
  • 妻が椎茸だったころ

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    タイトルが気になって購入。
    SFというか、ホラーというか、ファンタジーというか、何とも表現のし難い短編集で、初めて小川洋子さんの著書を読んだ時に似た、自分の理解が及ばないものに対する畏怖のような感覚があった。

    自分にしかわからない、自分でもわからない感情や気持ちがすごく読みやすい形で表現されていてとてもいい作品だと思った。

    あと紙質が通常の文庫本より少し厚く感じて、それもまた絵本を読んでいるような感覚になった。

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    2025年09月13日
  • 坂の中のまち

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    坂の多い町の話
    地名や坂の名前が多く土地勘が無いからいまいち想像が追いつかなかったが
    日常プラス非日常感が楽しめた

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    2025年09月04日
  • うらはぐさ風土記

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    読んでいくとタイトルの意味がわかってきた。ウラハグサは地域の名前で中身は風土記の要素が濃い。
    登場人物がいい人ばかりなのはちょっと妬けるが、ストーリーは温かい。

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    2025年08月31日
  • 長いお別れ

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    祖母・母・父と、代々脳疾患による認知症を患った血筋に生まれた私にとって、この物語は決して他人事ではありませんでした。ときに父・昇平に、ときに妻・曜子に、そして娘たちに感情移入しながら読み進めました。

    どんな状況に置かれても、前向きさを失わずにいたい、そのためにも今を一生懸命生きよう、そんな思いをあらためて強くしてくれる一冊でした。

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    2025年08月24日
  • オリーブの実るころ

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    『家猫』人間は自分が都合の良いように解釈しているだけでお互いの気持ちが一緒とは限らないんだという事をみせつけられる 表題の『オリーブの実るころ』今はおじいさんだけれど 若い頃があった 当たり前の事なのに 驚き想像する 

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    2025年08月24日
  • 堤中納言物語

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    日本最古の短篇物語集といわれる「堤中納言物語」を楽しめる新訳集。
    中島さんのわかりやすくウイットに富む文章が古典嫌いにとっても面白い。

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    2025年08月19日
  • うらはぐさ風土記

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    ・優しさが詰まった作品。こうやって人は繋がって暮らし、未来が続いていくといいなぁ、と心から思える物語。

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    2025年07月15日
  • 明日町こんぺいとう商店街 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

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    ずっと読んでいたシリーズの『あずかり屋』さんがアンソロジーに入っている!
    と、読み始めました。
    商店街の店についてのアンソロジーなので、作家さんが違うのに統一感があるように思えました。
    まるで連作短編みたい。
    このシリーズ、積読にあと3冊控えているので楽しみに読みます!

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    2025年07月11日
  • やさしい猫

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    ネタバレ

    キリスト教と社会という大学の講義で、難民問題について、在留ビザについて学んだ。学問として知ったことが現実で起きていると、肌で感じることが出来たのはこの本のおかげだ。

    クマさんが受けてきた差別は、とてもリアルで、差別する側の人たちの気持ちも日本人としてよく分かるからこそ、私はやさしい猫、覚醒した猫にならなければならないと思う。
    外国人を人とも思わない入館管理局の行いは、「追い出してやるぜ」というメンタリティに貫かれた行動は、裏返すと私たち日本人の、マジョリティの考えの現れとも言える。それを正しく理解するべきだと強く迫られる気分になる本だった。

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    2025年07月09日
  • ワンダーランドに卒業はない

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    児童文学の中から18作を選んで書かれたエッセイ。読みながら、そうだったよねーと共感するのと同じくらいに、そんな話だったっけと自分が気がついていなかった読み方に驚くことも多かった。子どもが楽しめるというだけでなく、大人になったからこそ見えてくるものがきちんと描かれている作品であり、子どもの頃の私は心地良さは感じていてもそこまで読み取れてはいなかったからだろう。まえがきに、著者がこの18作を選んだ理由は、読み直してみたときに「子どもの時間を思い出しただけではなくて、大人になったいま、書いてみようという気持ちを起こさせた」作品だからとあった。大人になったいま、読み返してみたいと思う作品がいくつもあっ

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    2025年07月07日
  • 妻が椎茸だったころ

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    なんとも言えない不思議なお話が多く、
    読書だから味わえる世界観。
    私はとても好き。

    表題作がいちばん好き。

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    2025年07月06日
  • 坂の中のまち

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    まず装丁が可愛い 読む前からワクワクする
    富山に住む真智は亡き祖母の親友である志織里の家で下宿させてもう事になる。そこは東京の日向坂にあるのだが近くに曰くありげなキリシタン坂始め数々の坂がある場所。坂にまつわる文豪の話が出てくるので、それらの本を読み返したい。

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    2025年07月06日
  • うらはぐさ風土記

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    東京の西の方だと思われるうらはぐさ。
    アメリカから離婚して帰ってきてうらはぐさの伯父の家に住むことになった沙希。
    そこは学生時代にも馴染みのある場所。
    そこで様々な人々と出会い、その人々と関わっていくことになる。
    その中でうらはぐさの歴史に触れたり、再開発に心を痛めたりしていく。
    沙希が出会う人は年齢も、バックグラウンドも多種多様、まさに現在。
    うらはぐさに大きな何かが起こるわけではないけど、時代が変わっていくと共にうらはぐさも変わっていく。
    何処にでもある都心からちょっと離れた街、そこに暮らす人々の日常、そしてちょっぴり、沙希の海外での生活も顔をのぞかせる。
    大学の非常勤講師である沙希と学生

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    2025年07月02日
  • 平成大家族

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    ネタバレ

    大家族小説と言えば「東京バンドワゴン」を連想するのだが、この小説はあれほどにぎやかで幸せに満ちた一家ではない…いや、静かではないし、とんでもない不幸というのはないし、起こっている事件もあのシリーズでとりあげてもいいようなことばかりなのだが…。

    東京バンドワゴンが昭和の良き日のテレビドラマをリスペクトしているなら、こっちはサザエさん、それもアニメじゃなく、長谷川町子が新聞連載した4コマを平成(コロナ以前と言い換えればよいか)に再現した感じ。

    どこの家族にもある、下手すると大きな事件につながりかねない火種、そういうものを家族が時にはそろって、時には単独や数名のチームで消していく。そういう雰囲気

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    2025年06月10日
  • 樽とタタン(新潮文庫)

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    ネタバレ

    するするっと読める本。
    「幼い頃タタンと呼ばれていた私」のお話し。
    タタンの実体験としての記憶だから自然に流れていくのに、「タタンとは呼ばれなくなった大人の私」が思い出して語るには矛盾や違和感があって、その違和感が読者の中でも膨れたところで、ここはもしかしたら曖昧かも、というような一文が入る。
    最初の方は、そうか昔の記憶だと思い出補正も確かにあるよね、と何も思わなかったのに、特に最後の一編は序盤からとても警戒しながら、疑いながら読み進めた。途中からミステリ小説になったのかと思った。
    ただひたすら最後の一文に向けて書かれたのだなという印象。面白かった。

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    2025年05月20日