中島京子のレビュー一覧

  • イトウの恋

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    作家の想像力、創作力ってすごい。
    イザベラ・バードの「日本奥地紀行」に想を得た恋愛小説。
    通訳兼案内人のイトウとIBの仄かな恋がイトウの側から描かれる。現在と昔のパートを散逸したイトウの手記から辿っていく構成。

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    2026年03月23日
  • うらはぐさ風土記

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    うらはぐざ、あけび野商店街、落ち着いた歩調で進む日々。
    いやな人が出てこないし、煌びやかでも質素でもない。
    マーシーには、ヘンテコ敬語以外は規模の小さい成瀬あかりさんのようでにくめない可愛らしさがあるし、秋葉原夫妻は穏やかだし、第一主人公の沙希さんが物事を悲観的に捉えるタイプではないところがとても好き。
    どこにでもあるようで、なかなか得られない穏やかな日常。
    いいな、と思いました。
    「雄大さが、こぢんまりしています」。ふふ。

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    2026年03月19日
  • 今日もぼーっと行ってきます

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    「ぼーっとする」ことが目的の東京とその近郊のお散歩エッセイ。
    読んでいて、ドラマ『À table!〜ノスタルジックな休日〜』のお散歩シーンを思い出した。天文台はドラマにも出てきてましたね。
    子どもの頃はぼーっとする時間がたくさんあったけれど、大人になってからは強制的ににそういう時間を作らないと、ぼーっとするのもなかなか難しいのかと、今さらながら気づく。
    春だし、地元のぼーっとスポット探ししようかしら。

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    2026年03月10日
  • 坂の中のまち

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    ネタバレ

     中島さんの久しぶり。淡々と進む日常なのにちょっとどきどきすることもあって、いろんな人がいていいんだなって思える。もっと中島さんの読もうっと。

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    2026年03月10日
  • 冠・婚・葬・祭

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    成人式、結婚、葬式、お盆。
    日本の儀式をテーマに描かれる連作小説。
    儀式そのものを舞台に展開される物語ではなく、主人公や作者の視点を少しずらして書かれていて、中島京子さんらしいユーモアも含まれていてとても面白かったです。

    語り手は、成人式を取材に行った地方新聞の若手記者や、かつてお見合いおばさんだった六十代の女性、社命で老婦人の葬儀のお供をした青年、母の生家を手放すのを機に、田舎に集まって最後のお盆を迎える三姉妹。

    今の時代、結婚式も葬式も簡素になってしまったけれど、ここに出てくるお見合いおばさんの存在が何とも微笑ましく、言うことが的を得ていて、中島さんの魅力が存分に感じられます。

    そし

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    2026年03月07日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    スランプに陥った作家「わたし」は唐津に旅をする。
    そこで陶芸家の夫婦と知り合い、不思議な茶碗と、朝鮮の娘と、水神にまつわる話を聞かせてもらうことになった。
    サワタローさんの語る『水神夜話』は、家に伝わる長い話で、水神とは河童のことらしい。

    ファンタジーなのか、ファンタジーを装った歴史小説なのか。それとも反戦小説なのか。
    ここでの水神の祖先は天竺からモンゴルを経て中国へ、半島から泳いで日本に渡り、九州に住み着いた。
    水神は、人間社会に絡みつつも、人間の生態を観察し、一歩距離を置く。

    『水神夜話』では秀吉の朝鮮出兵を止めようとする水神について語られる。読みごたえがあった。
    ある日、朝鮮の名陶工

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    2026年03月07日
  • 今日もぼーっと行ってきます

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    ぼーっとしたい。
    ということで、タイトル買い。

    ぼーっとを目指し、あちこちへ。
    紀行文としてもおもしろく、
    さりげない描写、表現に
    さすがだなぁ、と思うこともしばしば。

    『ぼーっとする、ぼーっとすると書いてきたが、
    本質は「よく生きる」ということだと思う。
    理性を保ってよく生きるには、自分が
    「ああ、これなら息がつける」と思える
    ある程度のスペースと、ほどほどの人との
    関わりが必要だ』

    という一節。

    あぁ、このぼーっとの時間が
    作者の次の名作を紡ぎ出すエネルギーに
    きっかけになるのだな、と思った。

    紹介されたスポットを、ゆっくりと
    訪れてみたい。

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    2026年03月06日
  • 妻が椎茸だったころ

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    初読み作家。
    ちょっと不思議な大人のおとぎ話みたいな短編集。
    文章がシンプルなのに人間味があって、
    スッと入ってくる感じがして読みやすく、面白かった!

    個人的に好きな話は
    1話目の
    テレビから外国で起きたニュースが聞こえてきて
    そういや昔あの辺りの地域に行ったことあるなぁって思い出す回想シーンが始まり、
    そこでたまたま出会ったお婆さんが結構プレイボーイならぬプレイガールで、5人の男と結婚して別れてを繰り返してた人で、
    あのお婆さんに助けてもらったのに恩返しできなかったなぁ、、、って友達に話して現実世界に話が戻ってくるんやけど、
    このお話の最後の終わり方が世にも奇妙な物語っぽくて良かった!

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    2026年03月01日
  • いつか、アジアの街角で

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    台湾が大好きで、表紙があまりにも可愛くてに取りました。

    サラッと読める文章で隙間時間に楽しむのにちょうど良い一冊です。

    台湾に行かなくても、日本に住む日常の中に台湾を感じることができます。

    香港や台湾は、ずっとそのままでいてほしいな。

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    2026年03月01日
  • 水は動かず芹の中

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    ネタバレ

    これは好みが分かれる作品のようだ。
    私は『かたづの』のような作品が好きなので、中島さんの妖なるものと歴史との絡みは面白いジャンルだと思っている。
    今回は「水神」から見た、秀吉の朝鮮出兵の時代。
    現代と、水神が記録した歴史を行き来して物語は進むが、水神から見た人間は、なんとも理解し難いほどの野蛮と支配欲を持った生き物だ。実際の歴史ではなく、水神から見た歴史というところが面白い。
    水神は戦を止めることはできないが、できるだけ役に立ちそうなヒトに近いて、なんとか種族を守ろうとする。
    歴史は事実なのだが、そこに水神が絡むことによって、より歴史の悲しさや虚しさが表れる。
    本当にスランプなのかわからないけ

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    2026年02月26日
  • 小さいおうち

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    ネタバレ

    最後の答え合わせがとても良い。愛すべきタキちゃんの一途さ。(映画ではちょっと違うようで残念。)
    戦争や空襲自体の悲惨さはあまり描かれないが、戦争に向かう時代に人が洗脳されていく姿がある。恭一じいさんは、セイちゃんと遊ばなくなった当時の自分を見つめている。登場人物それぞれの小さな後悔が余韻になって残る。

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    2026年02月21日
  • 長いお別れ

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    いつか自分がそれになった時、それが迷惑だとか、申し訳ないだとか考えることも出来ず、生きている意味も、過去も未来も何もなくなってしまうのが悲しい。

    身に染みて体験まではいかないけど、理解も出来たし、あくまで楽しそうに書かれていて、読みやすかった。


    あえて言うなら、三姉妹の名前が似通っているので、誰が誰なんだかわからなくなった。

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    2026年02月16日
  • いつか、アジアの街角で

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    ネタバレ

    短編のオムニバス。個人的には、中島京子さんの筆致や「よしんば」の発想はさすが卓越してるなぁとか、やはり桜庭一樹は苦手なんだよだなぁとか、比較しながら楽しく読んだ。
    大島真寿美さんの作品は初めて読んだけど、「香港加油」のポストイットのくだりがたいへん良かった。他の作品も読んでみようと思ってググってみたり。こういう出会いがオムニバスの醍醐味だな、と思う。
    ちなみにアジアといっても、台湾や香港が舞台で、もっと東南アジアやインドなど、異文化感の強い舞台の作品も読みたかった。

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    2026年02月16日
  • 坂の中のまち

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    大学生になって富山から出てきた女子学生が居候した先には数々の坂があった。坂道の出てくる明治文学を絡めながら、現代と文学作品の舞台が重なり合い広がっていく、坂にまつわる物語。
    各文学作品を読んでいたら、もっと面白く読めただろうなと思うので、明治の文豪作品を読んでる人におすすめ。

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    2026年02月14日
  • うらはぐさ風土記

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    うらはぐさの地で、今、住む人たちとの交流。歴史が描かれている。
    その土地に住むことは、その土地を知ること、住む人と親しむこと。
    それが生活であり、人生なんだな、と思った。

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    2026年01月28日
  • 小さいおうち

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    前半は、戦前の東京の暮らしが淡々と描かれていく。
    大きな事件が起こるわけでもなく、家事や日常の積み重ねが続くため、
    映画『東京物語』を観ているような趣深さを感じつつも、正直少し退屈にも思えた。

    しかし、途中に挟まれる健史のどこかズレた、トンチンカンな指摘も含めて、全てが最終章につながっていたんだと、読み終わった後で気づかされた。

    美しい映画一本観終えたような余韻に合わせて、
    ミステリを読んだ後のような読後感もあった。

    派手ではないけれど、構成の巧みさと感情の奥行きがある、とても完成度の高い一冊だと感じた。

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    2026年01月18日
  • 彼女に関する十二章

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    いやいや聖子さん、大モテです。が、1番の感想。2番目が離婚なんてまずないだろうと思われる守さんとの会話の多さ。羨ましいです。

    昔の「女性に関する十二章」と絡めた小説としても、とても良かった。

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    2026年01月10日
  • 坂の中のまち

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    新年からカラッとしたいい物語に出会えてうれしいな。
    今年は文豪の名作を読みたくなった。

    後世振り返れば、コロナ禍文学みたいなカテゴリができそうだな。

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    2026年01月03日
  • 長いお別れ

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    認知症という長寿が進んでいるなかでこの病とどう向き合い、連れ添うのか。まだ親族に経験した方はいないが、実際問題しっかり寄り添うことができるかと言われると自信は全くない。しかし、ほぼ避けては通れない関門だと思うので少しずつ準備していかいといけないと肝に銘じることができた作品でした。

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    2026年01月02日
  • 妻が椎茸だったころ

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    たまたま目について手に取ったけど、大正解な作品でした。面白かったー!
    こういうホラーともミステリとも言えない、でも不気味だったりほっこりしたりするのは大好きです。短編集というのも読みやすくて良き。
    個人的には『ラフレシアナ』と『蔵篠猿宿パラサイト』が良かった。

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    2026年01月02日