北方謙三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
上下巻合わせて書く。
楊家将の後編。登場人物がいいな。どちらにも感情移入できるように書いているのだけど、遼がいい。簫大后がいい。
西太后も我が身を投影して彼女のファンだったのだという。
中国では楊家将は演技や京劇で人気があるようだ。
しかしwikipediaの楊家将演義の項目を読むとまるで面白そうに思えない。そこが北方謙三のえらいところだと言えばそのとおりなのだけど、遼の簫大后が魅力的なのは北方謙三がそう書いたからで、少なくともWikipediaの記述を見る限り、西太后が何をどのようにしてこの人を気に入ったのか判断がつかない。
この北方楊家将は中国人にとっても魅力的だそうで、それはそうだろ -
Posted by ブクログ
期せずして宋の北と南で同時に起こった新興国の勃発。
制圧するために国の軍を2つに分け、北と南で戦が始まる。
北部は、童貫の右腕である趙安(ちょうあん)が率いる宋軍が燕国を制圧するために闘っていた。
そのすぐそばで、宋の領土を制圧し、梁山泊軍はじわじわと領土を広げていく。
燕の皇帝耶律淳(やりつじゅん)が暗殺され、宋が勝利したと同じころ南では。
童貫の動きを読みに読んだ呉用が、必勝のための作戦を立てるが、ここにきて方臘の部下たちの反対に会い、力で押し切られてしまう。
そのため絶好の機会を失った方臘軍は、一気に童貫軍に責め立てられる。
このあたりから徐々に方臘軍に余裕がなくなってくる。
童貫 -
Posted by ブクログ
うーん。
あまり熱は感じなかったな。
水滸伝の、梁山泊を造り上げて、守り抜こうと闘う漢たちの熱さは、楊令伝には感じられない。
宋という国の在り方からはみ出した漢たちが、自分で感じ、考えて行動していたのに対して、今の梁山泊は楊令を中心とした第一世代がすでにひとつの在り方として、型になってしまっているような気がする。
せっかく第二世代が育ってきているのに(楊令だって第二世代と言えばそうだが)、即戦力としれ育てるばかりで、育てる側の懐の深さが見えてこない。
だから第二世代は能力が高いのに、みんないい子。
器からはみ出すような子はいない。(今のところ)
公孫勝に至っては、老いたのか?ってくらい -
Posted by ブクログ
第一回日本冒険小説協会大賞受賞作。調べてたらヒットしたので、中古盆屋へ行った時に探してみて見かけたので買ってみた。昔ラグビーやってた弁護士という橋下市長みたいな人物が主人公。とはいえ20年以上前の作品なので橋下さんがモデルというわけではない。負けん気の強さから身体に物を言わせる感じ。格闘技をやってないので無骨な攻撃。印象的な人物が多い。ここに出てくる刑事を作品にしたもの(「檻」)があってそれが二回の大賞のようだ。ジャンルとしてはハードボイルドなので好きな感じの登場人物が多数登場する。まぁ面白かったかな。という感じ。記念すべき第一回の受賞作だからか亡くなった会長内藤陳さんの解説が嬉しい一冊。
-
Posted by ブクログ
大きな闘いが終わり、次への準備段階に入った第10巻。
楊令が目指す「小さく豊かな国作り」のため日本から西域までの交易路を作り始めた梁山泊。
そして金軍の侵攻によって開封府が陥落、ついに宋王朝が終わりの時を迎える。一方、南では李富の野望が動き出す。童貫亡き後の禁軍でも岳飛と張俊が軍閥を率いて独立。幾つもの勢力が入り乱れどこかぶつかるのか、結ぶのか、なかなか読みにくい情勢下に。
そんな中、気になったのが韓成。これまで旧方朧軍の残存兵を率いて悲惨な闘いに傷つく姿、生き残った者たちを想う姿には心が痛くなってきた。
西域への旅の中でその傷ついた魂が癒されていくのか注目していきたい。
そして子午山を降りて