あらすじ
時代は南北朝。肥前のとある浜辺に一人の男が泳ぎついた。密使だった。済州島のナミノオオは、上松浦党水軍に手を結ぼうと持ちかける。やがて両軍の後押しで、波王水軍が旗揚げされた。若き上松浦党の後継・小四郎を大将として。海を祖国を護らねばならない。熱き思いを胸に秘め、小四郎が立ちあがる。敵は、強大な元朝。そして決戦の時は、今。大海原を舞台に描かれる北方歴史ハードボイルドの会心作。
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Posted by ブクログ
武文・・・・・・・ッ!!
口を覆って涙が零れそうじゃーーー。
そんな始まりではないのですが、まず、胸を突かれるのが、柏武文と言う雄雄しくも死んだ武士でした・・・
時代は南北朝。主人公は小四郎。上松浦党の後継者として育てられたけれど、時を待って「波王」となり独立した水軍を作り上げ日本を守るため、元と戦う――んですが!!
海です。
秋野の苦手な海です〜〜〜
戦いのシーンは海戦が主。苦手なはずなのに、文字を追うだけで頭の中に映像が広がる・・・!
北方さんのハードボイルドは、基本的に一人称だ。以前何かで読んだけれど、「バードボイルドは一人称でなければ一人前じゃない」なのだとか。
それは深く頷けるほど、巧い。
主人公の思いや行動ひとつで、周囲の様子が全て分かるというのは半端じゃないと思う。
けれども、この歴史小説たちは・・・各章、各節ごとに視点が変わる。
だから物語の進みも速く、そしていろんな男たちが格好良いってことを、また周囲からの目で見れて、やっぱり格好良い!!! と断言できる素晴らしい手法(笑/そんな意味はないと思うけど)
小四郎は、海と共に生きてきたけれど、時代の波に乗って「波王」となり、「波王」として戦った。
この物語のラストで、戦いを終えた小四郎は「波王」を辞めて一人の男に戻る。
それを誰もが惜しいと思いつつも、今までの小四郎の人生は周囲の人間のためで、それをやはり知っているから、誰も止めることは出来ない。
唯一、一緒にその旅に出ることが敵った波多裕が私はとても羨ましい!!
Posted by ブクログ
ハードボイルドの巨匠、北方謙三の北方太平記のひとつ。
前回読んだときは”武王の門””破軍の星”という傑作の延長で読んだせいか、あまり印象に残っていなかった。今回読み返して、これはこれですごく面白い小説であると再認識。とにかくページをめくる手が止まらない。(多分)前記の作品と違って、主人公が実在の人物ではないために、かなり自由な設定やストーリー作りができたのではないか。それが、この本の利点でもあり、一方何か浮き上がりがちになる理由でもあるようだ。
相変わらず切り詰められた文体は力強い。
Posted by ブクログ
2011年05月 01/024
北方南北朝シリーズで、三度目の元寇を防ぐために立ち上がる海の民の話。中国史詳しくないので、これがどこまで史実なのかはわかりません(もう一度元寇が計画されてたのかとか)が、楽しかった。
終わり方がいつもの感じとは異なるところも良かった。船の戦いは一度映像で観てみないとうまく想像できていませんが、、、