北方謙三のレビュー一覧
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パドレ・・・!
神尾は、背中で死んでいった子供・洋一をずっと引き摺って生きてきた。
誰よりも大事な恋人である恵子と、仲の良い友人の付き合いから進まないのも、そのせいだ。
しかし二人の前に現れたのだ。
深い悔恨に沈む二人を救う子供・マリオが!
マリオの親になるのだと、神尾も恵子も思っていたとき、イタリアからマリオの祖父がマリオを連れ戻しにかかる。
フザケンナ!
と怒鳴りたいのは神尾でなくても。
マリオは両親と兄が死んだためにシチリアマフィアの直系の後継者になってしまったのだ。
それを振り切るにはイタリアに行き、祖父であり一族の長であるステファノにきっぱりといわなければならない。
マリオは、神尾と恵子の子供になるのだ。
しかし行ったら行ったで、神尾が大人しくしてるはずもなく(笑
簡単に孫を取り戻せると思っていたマフィアは神尾の存在に右往左往だ。
けれどマリオが一族を離れるには、一族の掟にしたがって試練を超えなければならない。
その試練は、神尾にとってみればまったく必要性も感じないクソみたいなもので。
しかししなければマリオは自分の息子にはなれなくて。
神尾はマリオを連れて、ステファノの待つメッシーナへ5人の殺し屋を掻い潜り向かわなければならないのだ。
死の境界線スレスレで、神尾は殺し屋の一人を殺してしまう。
その殺し屋には、マリオと同じくらいの息子がいた。
神尾は、その息子に殺されたかった。
その引き金を、引いてほしい、と秋野も思ったくらい神尾の気持ちはよく解かる。
でもマリオがいる。
神尾が死ねば、マリオが悲しむ。
ただマリオを手に入れるために、神尾はもう一度地獄を行く。
地獄の先に着いた場所は、神尾にとって天国よりも幸せな場所のはずだ。
息子に、つまらないことを教えて、母親に叱られてばかりいる。
そんな父親に、なって欲しいと本当に思う。
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Posted by ブクログ
「俺が、天使に見えますか、神尾さん?」
見える・・・!
「僕」から「俺」に変わった秋月くんが!!
しかし神尾は、
「悪魔だよ」
助けなければ、神尾は地獄に戻らなくてすんだのだ。
今回は横浜です。
シリーズも終盤になって、神尾が行き続けなければならない存在が出てくる。
それがマリオくんだ。
例によって、神尾は自分とは関係ないものに巻きこまれていくのだけど、関わると神尾はその中に自分がすることの理由を見つけてしまう。
そうなると誰にも止められないのだ。
マリオという十歳の子供を両親に返したいだけだったはずが、その両親と長男のしなければならないものに神尾は関わり、両親が殺されたあとは長男・ジョバンニを助けイタリアマフィアと戦う!
ジョバンニはまだ十六歳。
弟のマリオはまだ十歳だから外されたとはいえ、ジョバンニだってまだ子供だ。
そのジョバンニが、また神尾の手から零れるように死んでいく。
「恋くらい、しておくんだった」
恋もしたことがなく、死んでいくジョバンニ。
神尾は自分も腹を撃たれ、今度こそ、自分も死ねる、と確信したはずだ。
しかし、地獄に引き戻されたのだ。
秋月くんによって。
すっかり神尾を助けれらる位置まで成長した秋月くん。
四十代になれば、鼻持ちならない弁護士になるだろう秋月くん。
生き続けなければならない神尾のそばに、ずっといて欲しい。
そしてシリーズは最終巻へと続くのだ。
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Posted by ブクログ
「地獄にまで、ついてくるのか、おまえ」
ラストの一言に心臓鷲掴み・・・!!
また日本じゃないです。
舞台は中国からウィグルへと向かう奥地。
神尾が「とりあえず」なんていうほど、先の見通しも立たない仕事始めでした。
ボクシングの師である長坂からの依頼で、ウィグル人のジューを探しにきた。そして連れ戻す。
その仕事のために、神尾はまた眠れない夜が増える・・・
なーんて、暗い神尾は置いといて!(主人公なのに・・・
秋野は秋月くんにむちゅー☆
上記のセリフは、自分でも死んだと思った神尾が秋月の顔を見たときのもの。
ついていきますとも!!
弁護士で英語スペイン語フランス語中国語も話せて司法試験に通ったお祝いにパパにフェラーリを買ってもらった男!
この二年で半端なく強くなっちゃった男・秋月!
それは自分のせいだって、気付いているのかしら神尾!
秋月くんの登場はすごく少ない。
だけど、神尾に信じられて、頼りにされる男になった秋月くん。
これが惚れずにいられようか!
神尾は強い男と見えて、本当は誰より弱いのではないかと思う。
弱いだけ、誰より強い。
それが、悲しい気持ちにさせる。
カシュガルという地に着いて、右も左も言葉もわからない神尾に声を掛けてきた中国人の陳。
一度は持っていた志を折られ、頭が良いだけに卑屈になっていた男。
神尾は出会ったころの秋月を思い出す陳に仕事を持ちかけ、一緒に動くうちにもう一度陳に志と男を取り戻させる。
神尾は相手を突き放すような言葉を選ぶけれど、誰よりその相手を強くしたいと思っているのだ。
そして、強くなった相手を好きになり、先に旅立たれることに涙を流さず悲しむ。
こうして、神尾はまた夜が辛くなってしまうのだ。
陳の最後、神尾が欲しがった煙草をあげるシーンは淡々と書かれているようで、ぐっと秋野の心を掴んで離さない。
神尾の夜と一緒に、秋野の夜も長くなりそうです。
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Posted by ブクログ
秋月くん恋をする!!
なので星の数も増えた(笑
オープニングが面白い。
なにしろ、神尾が料理を失敗するところからだ。
クソ不味いシチューを作り、二日放置し、食べたら腹を壊した(笑
当然なのに、それを知らないところがまた可愛い。
このシチュー、後々響いてくるものになるとは気付かない・・・
秋月くんが恋をした相手は、神尾が船に乗っていたとき親父のように思っていた甲板長・三宅から預けられた娘。
その三宅が突然居なくなって、トラブルが始まる。
男っていうのは、家で大人しくしてれば幸せに暮らせるのに、絶対にそれをしないところが腹が立つというか格好良いと言うか。
残されたものの気持ちも考えろー! と叫びたくなってしまう。
三宅を探しにメキシコに飛んだ神尾は、ひとりで行くと決めたのに男になりつつある秋月くんが一緒に!
神尾が辞めてからもずっとジムに通っていた秋月くんは、それなりに強い男になった。
ただ、生来の真面目さが邪魔をしてどこで力を使っていいのかわからないお坊ちゃんだ。
メキシコに飛んだときも、ぬるいビールは口にしないし、情報収集のためでも娼婦は抱かない。
そんな綺麗な秋月くんが勢いに乗せられるように男になってしまう一冊!
ってあれ? 主人公は神尾なんだよ、一応ー
三宅は三宅でやりたいことをやりぬき、神尾を切なくしてくれる。
このシリーズは本当、神尾を苦しめる物語なのだとしみじみ思う今日この頃。
でも、止められない。
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船を降りた一等航海士・神尾修二。
友人が殺され、自称婚約者が現れ、船を降りた瞬間から事件に巻き込まれる神尾。
かっこいいんです・・・!
どこか殺伐とした雰囲気なんですけど、全てのことに投げやりっぽいんですけど!
実は誰よりも熱い!
自分に決めたルールがあって、それを守り通す・・・さすが北方さんの描く男!
船を降りるのと同時に辞職し、使い道がなく溜まっていった金をあっさり車買ってみたり、殴られても三倍にして返してみたり。刑事さんを出し抜いてみたり。
くあー普通の男じゃない・・・
これだけは、と自分に決めたものを身に付けようとボクシングのジムに入ってみたり。
んでそこを語るなら、秋月くんについても語らねば!
神尾が船を降りた瞬間に声をかけてきた、車いすの弁護士・八木。
何故か八木には逆らえ切れない神尾も好き。
その八木の事務所で働いている新米弁護士・秋月! 彼の成長っぷりはこの一冊の中では一番と言える。
出てきたときは、ガチガチの弁護士で神尾に振り回されてるのに、神尾について行くために自分の中で何かを決めた。そして神尾の居るジムに一緒に入り、すぐに倒れるくせに一日も練習を休まない。
一度、ボロボロになるまで殴られるのだけど、そこからまた秋月くんは大きくなるのだ!
最後、神尾を抑えて沈めるのも秋月くんだ。
なんてゆーか、もう完成している神尾よりも秋月くんの成長は楽しいものだが・・・これは神尾の物語。
神尾が苦しんで悲しむ物語。
最後、守り切れなかった悲しい叫びはいつまでも神尾と秋野の心に残る。
シリーズのしょっぱなからこんな悲しい引き込みで・・・本当北方さんは辛い小説で読者を虜にする酷い人だ。
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Posted by ブクログ
なんだろうか…男同士の友情等々、熱い話ではあるんだろうけど、気持ちがあまり揺さぶられない。ハードボイルドという世界観であることは知った上で読み始めたけど、そのエッセンスや様式美が、物語への没入を阻害したなという印象。
殴り合いの描写が妙に長かったり、タバコを吸う描写が頻繁に出てきたり。男女のやり取りについては…やはり多くの現代女性は不快に感じるのかな。私は「この時代はこうだった」と割り切れるタイプなので不快ではなかったけど、なんだか不自然なコミュニケーションだなとは思った。言葉足らずだし、会話したとしても不躾すぎる(笑)
かといって、物語としてまったく魅力がなかったのかといえば、そうでもない。物語として一本の筋は通っていたし、竜太の成長や男同士の絆は悪くなかった。各々が主体的に考え、行動する点にも好感が持てたし、「厳しさの中にある愛情」というのも嫌いじゃない。あと文章が読みやすかった。まっすぐで、変なクセがなくて好みの文体。世界観に没入できなかったことと相殺で、点数化するならちょうど50点くらい。