北方謙三のレビュー一覧
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菊池武光公は個人的に好きな歴史上の人物の1人なので、彼を題材とした小説が登場してくれてまず嬉しい。
この小説は九州に住んだことのある人なら一層楽しめて読めると思う。著者が九州出身であるからか、地理描写が非常に明瞭である。物語では懐良親王が南朝勢力の旗頭として鹿児島・薩摩半島に上陸したあと、菊池武光との出会いを経て熊本・菊池に征西府を置いて北朝勢力としのぎをけずりつつ、終には佐賀・筑紫平野で展開される筑後川の戦いを決して福岡・太宰府を奪還する。その他にも、菊池と結びつきのある宮崎・西米良、合戦場の一つである大分・日田、水軍の拠点となる長崎・松浦などが舞台となる。
九州地方の南北朝時代という日本史の中でもややマニアックな部分を題材にしているところも去ることながら、上記の様に九州全土をめい一杯使って菊池武光と懐良親王の物語が描かれているところを自分は評価したい。また、この本を片手に九州各地を巡ると、地理描写の鮮明さ、特に山地の表現の緻密さがわかると思う。 -
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クビライが帝位につく。あっさりとしたものだ。モンケの子は相当小さいのだろう。本人が決意さえすればいい。弟のアリピクケだけが抵抗するものの実力差があり過ぎて相手にならない。
時宗は15歳ぐらいか。日本だけでなく、大陸まで足を伸ばす。凄い。事実かどうかは誰にも分からない。このことを後の元寇にどう生かすのだろうか。楽しみだ。しかしそこまであと何巻かけるのか。
「諦めろ。諦めるな。」帯に書かれている文句だが、半分過ぎて意味が語られる。半分過ぎでネタバレになるので書かないでおく。
代わりに一つ気に入った文言。
「情報を共有することは、運命を共有すること」 -
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進みが鈍いと思っていたら~北条時頼の模索する梶原水軍は徐々に姿を整え、自由を求めて執権の座を大叔父の息子に譲り、元服を終えた太郎には京から琵琶湖・若狭から唐津、帰りは南を通らせる旅をさせる。クビライは兄モンケから命じられた襄陽・燓城は陥とせないと判断し軍権を奪われた。タガチャルを先鋒として南宋に攻め入り、後詰めでクビライも軍を指揮するが、兄モンケが陣中で没したと急報が入る~退場していく者が多くて後の人に任せちゃう。ま、それも仕方ないけどね。どうもkの発音をどうするかで悩まされる。ジンギスカンはチンギスハンになり、フビライが定着したのに北方さんはまたkを有効にしたがる。このシリーズは売れるのだろうか?
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楠木正成の本質を深く学ぶことはできないが、
あくまで小説として、一つの角度から楠木正成のストーリーを想像できる作品だったと思う。
上下巻に通じる印象として、私が以前から楠木正成に抱いていた尊王の要素が薄いと感じた。
悪党という当時の武士の世界ではやや異質の身分に楠木正成を設定している。
作中の楠木正成の行動原理は、悪党を発展させるため、武士の世界へ対抗し、帝を中心とした世界に希望を見出す価値観のように思える。
下巻では武士の世界の象徴である足利尊氏との人間ドラマ要素も見られた。
鎌倉幕府に対する戦いで、足利尊氏が参戦したことで、悪党の世界が到来することはなく、この状況に絶望する楠木正成も描かれている。 -
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感想
相変わらず最初は登場人物が多すぎて付いていけない。特に北条氏は似たような名前が多いからややこしすぎ。
モンゴル騎馬隊、騎馬の坂東武者とお互い水軍が苦手だが、将来的にそこがぶつかると思うと楽しみ。
あらすじ
モンゴル帝国は大きくなり過ぎていた。二代目皇帝のウゲティがなくなり、三代目は決まらないでいた。クビライは従者を連れてウラジオから松浦党が居を構える対馬に来ていた。
北条重時は、変わりゆく情勢をしっかり観察していた。安達一族と三浦一族の争いが勃発し、安達が勝利を治める。重時は海の向こうのモンゴル帝国と博多で交易を行い、富が集中することに懸念していた。
5年決まらなかった皇帝がグユクに決まる。モンケは臣下の礼をとったが、バトゥは取らなかった。グユクはバトゥに対して軍を起こすが、進軍中に崩御する。クビライはモンケが皇帝になれるように動く。
佐志将監は交易検討のためにウラジオに来て、ザルギスと話し合う。タケルは日本の間者としてモンゴルの情報を取るように命じる。
重時は、鎌倉にいた。時頼が三浦の残党狩りをするのを見て、日本を一つの国にまとめられるように守護を制御する法を作れと弟に命じる。重時はまずは松野を雇い、船の輸送網を作り上げる。
モンゴル帝国はモンケが皇帝になるクビライに南宋の討伐命令を出す。
重時は松浦党や波瀬水軍と渡りをつけていた。 -
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モンゴル国では4代皇帝モンケの元、弟クビライ他南宋攻略を進める。日本では鎌倉で執権政治を握る北条時頼を中心に来るモンゴルの侵攻に備え水軍強化を進める。この両国の姿を交互に描く。少し慣れてきたが人間関係にまだ混乱状態で読み終える。
モンゴル国
チンギス4男トルイの息子モンケが4代皇帝の座に付き領土拡大に南宋攻略に挑む。クビライは阿朮を赤影隊の隊長に据えモンケの命を受け南宋責めに向うも運河と2つの城の攻略は困難と見極め攻めもせず撤収するもモンケから軍権を剥奪される。モンケはタガチャルに再度攻めの命を出すもタガチャル軍は攻めるも運河を利用した強固な罠を見抜き早々に撤収する。モンケ、クビライ兄弟の従兄弟で兄の様に慕っていたバトウの死を知り落胆する。モンケは南宋攻めを急ぎ自らクビライ、タガチャル他の多方面からの南宋攻めに出るも遠征中崩御する。
諜報機関タキ党を亜令から引き継いだ竜夏以、サキャ派僧侶パクパ等クビライの周りに新手の従者も現れ南宋攻めはどうなるのか?
日本
陸奥国から鎌倉に馬を届ける北条家被官木作繁安の登場から始まり、執権を継いだ北条時頼の祈願とする幕府水軍(梶原水軍)の立上げを綴る。時頼の命で造船から着手すると同時に船頭/船乗の人員強化を安房で安房小太郎の元、唐津(架空の波瀬水軍)、松浦水軍の協力で幕府水軍を立ち上げる。唐津の松浦党では長将監の娘満子を廻り松浦党船頭タケルと木作繁安が争うも満子は女党首を目指し両者振られる。 -
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歴史小説を久しぶりに読んでみた。
あまり大河ドラマ等でピックアップされにくい鎌倉~南北朝時代周辺を選択。
楠木正成自体は非常に有名であり、忠義あるいは大儀のために命を懸ける武将としての印象があり、
また、戦術としても当時の武士の一般的な正面衝突の野戦というよりは、ゲリラ戦により戦果を上げたと認識していた。
この小説では、楠木正成を「悪党」という、正式な武士とは少々異なる出自に設定している。豪族などとも違うが、普段商売により力を蓄え、地域に勢力を持ち、支配下の地域から兵を募ることもできるそんな存在である。
あくまで小説であり、事実もまた異なる部分は多いにあるのだろうが、このような「悪党」としての設定により、鎌倉幕府後期の情勢や、戦に対するモチベーションのようなものが、現代の日本人にとっても身近に感じられるようになっていると考える。
そこはかとなく聞こえてくる社会情勢への不安、「悪党」としての生き残り方、帝の存在、など綺麗ごとや理想論のみでなく、リアリティある思考で「悪党」の楠木正成は悩み、思考している。
(あくまで、事実の楠木正成の功績や素晴らしかった点は否定されない。)
地方の「悪党」が帝のために出兵するという構図も深堀して考えると面白い。
平安時代以来、本来武士は天皇を守る存在であった。
しかし、鎌倉時代以降、武士の世の中になり、むしろ武士は天皇を自分たちにとって都合のよい存在になるかを考えるようになった。
そんな折に、正式な武士の家系によらない「悪党」という存在が帝のために出兵するという構図は、時代を問わず日本の歴史文化として、天皇と民草との間に常に仁義のような関係が根付いていることを示唆していると感じた。
下巻も引き続き読んでいく。 -
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勝っても負けても絶対に変わらないもの、それが志。
金と岳飛の闘いが続くが、やっぱり梁山泊メンバーのエピソードにしか感情移入できない。今度こそ決着をつけるぞ詐欺、いい加減にしてほしい。つかんやん。死んでほしくない!って思えるほど魅力ないから。花飛麟をさくっと死なせてしまったのが本当もったいない。そのくらい、ウジュも岳飛も薄い。
岳飛軍には、総大将たる岳飛以外に魅力的なキャラクターがいない。岳飛自体にも楊令ほどの魅力が無い。まして金など…。
今後どれだけ魅力的な群像劇にできるのか。岳飛伝全体に言えることだが、肝心の岳飛軍の魅力に乏しく、梁山泊メンバーの魅力の残り香でかろうじて保っているように映る。 -
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読んだ本 史記 武帝紀 一 20260419
北方謙三の本を読んだのって、高校生以来かもしれない。読んだかもしれないけど、大藪晴彦とかと混同してて覚えていない。
水滸伝や三国志、シンギスハンとか歴史ものを恐ろしいスピードで書いてるのは知ってるけど、歴史作家の方を選んじゃう。
という中で、知ってる話だとどうしても比べちゃうような気がして、読んだことのない「史記 武帝紀」を読んでみることにしました。
ハードボイルド作家のイメージが凝り固まってるんですが、ちゃんと歴史小説家になってるのが、なんか違和感。
ハードボイルドの要素がないかというと、男の生きざまを描いているのであるってことなんでしょうね。
匈奴との戦いを志向する武帝と衛青が中心となるんだけど、匈奴の単于を含め登場人物がサラリとだけどしっかり個性づけられて、さすがベテラン作家って感じです。
それにしても、なんとなく推敲とかしてなさそうで、微妙にそれを感じるんだけど少しも破綻はしてない。
それもベテラン作家ってことなんですかね。