小林泰三のレビュー一覧
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「玩具修理者』
第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞したデビュー短編集。
ホラー小説として紹介されますが、単なる恐怖譚に収まらない、不条理で寓話的な世界が広がっています。
冷静で冷酷、どこか禅問答めいた雰囲気すら漂い、読み手をじわじわと追い詰める。
ホラーという括りでは説明しきれない不思議な読後感が残りました。
とりわけラストの収め方が好みで奇妙な納得と戦慄が同居します。
クトゥルー神話的存在の名前を、あえて ひらがな表記 で使われているようです。よほど好きでないとわからないかも。
『酔歩する男』
会話劇のような形で進みながら、登場人物たちが心理的に追い詰められていく短編。
ホラー小説であ -
Posted by ブクログ
表題作「玩具修理者」と「酔歩する男」という二編が収録。いずれも「死」という絶対的な境界線を踏み越えようとする物語であり、死体の再生や蘇生というSF的発想を出発点としながら、その発想が徐々に狂気へと変質していく様が描かれる。狂気のホラー短編集。
「玩具修理者」は、壊れた銃やおもちゃ、さらには死んだ猫までも“修理”してしまう謎の男が登場するホラー作品です。
死体の損壊した部位を銃の部品で補うなど、修理の定義が常軌を逸しており、生き物と無機物の境界が曖昧になっていく過程が濃密に描かれています。短いながらもテンポよく、異様な存在感を放つ“修理者”のキャラクターが魅力的で、ブラックユーモアと不安が共存 -
Posted by ブクログ
ネタバレ角川ホラー文庫ベストセレクションの第二弾。今回も8名の作家の8作品だった。特に印象に残ったのは以下の3作品。
「骨」小松左京
なにかに突き動かされるように庭を掘り続ける主人公の姿が最後に悲しみを誘った。何かを思い出しかけているという描写がよかった。
「或るはぐれ者の死」平山夢明
こんなにも悲しい話だとは思わなかった。自分だけでも死者を埋葬しようとしたその清らかな心は悪意に踏み躙られる。
「人獣細工」小林泰三
この作品が最も衝撃だった。自分と父の秘密を探らずにはいられない、そのはやる気持ちが痛いほど伝わってくる。凄まじいラストだった。 -