小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初読み作家さんのミステリ連作集。
登場人物が随分ユニークでキャラが立っていて面白い。
人気ミステリーといえば、名物探偵、とか、でてきますもんね。
短編集だけあって、それぞれ主人公がいるのですが、1番好きなのは超限探偵Σでしょうか。論理的な天才。
等身大な、一緒に頑張って謎を解いていくタイプもいいんですが、小説ならではの超天才キャラって、いつも惹かれちゃいます。安定感と安心感が抜群。
さて、肝心のミステリーですが、どうでしょうか。
短い物語だけあって、謎解きゲームのような味わいです。
それにSF要素も混ざった、ユニークな仕上がり。
死亡推定時期は150万年前…とか、随分と飛躍した要素も出てきて -
Posted by ブクログ
ネタバレ〈140文字要約〉
ゾンビ化した一人の男を「彼は殺されたのだ」と主張する八つ頭瑠璃。〈体の一部がゾンビ化する〉パーシャルゾンビが事件に関わっていると確信した瑠璃は、ゾンビの研究を行う公的機関や、ゾンビの踊り食いを楽しむ女性に接触し推理を組み立てていく。両親の仇を打つために真実を暴いた瑠璃は涙を流す。
〈140文字感想〉
ゾンビとミステリが切っても切れぬ時代に突入していこうとしているのか、と。そもそもゾンビと密室は相性がいいし、なんならゾンビ自体密室のようなものだし、と思いきや意外にも密室で殺されたのはゾンビの方だ。あれよあれよと展開も推理も進むうち、気づけば僕はゾンビのように文字を貪るのでし -
Posted by ブクログ
「ある日、全人類の記憶が10分しか保たなくなる」というシンプルながら強烈な設定一本で、人類がそれをどう乗り越えるのかを描き、乗り越えた先にある混乱、人情、罪も描いているのが凄い。
第一部の民間人の混乱とそこから生まれる才能の開花、技術の発展はあくまでSF的ながらなるほどと思わせる。原発での話もこの状況を説明するにはマッチしているし、人間味があって良い。
そして第二部の、記録が「記憶」となった時代。人間の「こころ」や「たましい」は記憶と同値なのか、人の意思や意志は肉体と記憶どちらに宿っているのか、という「心の哲学」に踏み込んでいく。人間ならこんな行動をしてしまう、こういう選択がこんな結末に発展し