小林泰三のレビュー一覧
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1994年~2011年の間に設けられていた、日本ホラー小説大賞・短編賞を受賞した作品を集めたアンソロジー。(自分にとっての)新しい作家に出会えることを期待して、手に取ってみた。
収録されているのは、以下の5作品。
・小林泰三『玩具修理者』(1995年・第2回)
・沙藤一樹『D-ブリッジ・テープ』(1997年・第4回)
・朱川湊人『白い部屋で月の歌を』(2003年・第10回)
・森山東『お見世出し』(2004年・第11回)
・あせごのまん『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』(2005年・第12回)
『玩具修理者』のみ既読で他4作は初見だったが、一番面白かったのはやはり『玩具修理者』。テキストから滲み出るグロさ、おどろおどろしさ、それだけに終始しないストーリーテリングと衝撃的な展開。間違いなく他よりも頭一つ二つ抜けていた。
『D-ブリッジ~』、『余は如何に~』は生理的嫌悪感に奔り過ぎて物語としての面白さがイマイチで、『白い部屋で~』は設定・展開的に十分に良作となる要素があったように感じたが、うまく魅せることが出来ておらず消化不良な読後感。『お見世出し』は作品としての完成度が高い優等生的作品だが、ちょっと優等生が過ぎたか、インパクトに欠けていた。
「やっぱり小林泰三は面白いな!」という結果に落ち着いてしまい、素敵な出会いは得られなかったが、めげずに次は集成2に当たろう。 -
Posted by ブクログ
ある家族を描いた連作短編集。御茶漬海苔先生のカバーイラストとタイトルから凄惨な内容を勝手に期待してしまった私が悪い(するな 笑)。でもたしかに先が気になって急いで読んでしまったので、面白いことは面白い(のか?)。
幸せ過ぎる自分の人生に疑問を持った辺野古美咲。ある日幼少時の写真を見て当時の記憶がよみがえるが、それはなんと自分の死の記憶で……
この美咲の話もだが連作集全体が屁理屈というか、ああ言えばこう言うの会話劇なのでイライラしてくる人もいるかも。それが作者の狙いなのかもしれないけど(笑)。
一番ウワーとなったのは美咲の母七奈の話「清浄な心象」。完璧な子どもが欲しいとして、添加物を食べただの風邪薬飲んでしまっただの、そんな理由で堕胎を繰り返す女だと言えばその異常さがわかってもらえるだろうか。
この不条理展開劇、どこかで読んだ感じと思ったら、あれだ、筒井康隆のギャグぎりぎりのホラーと似てるんだ。
最後に美咲から驚くべき真実が明かされ、物語は急に悲劇に……いや、狂気だよね。 -
Posted by ブクログ
地球上のすべての生物がウイルスに感染し、いずれ誰もがゾンビ……活性化遺体になる世界。
ある細胞活性化研究者が、先端的な重大発表を控える中密室でゾンビ化するという事件が発生する。彼はいつ死に、どのようにゾンビになったのか。
取り調べが行われる現場に、探偵・八つ頭瑠璃が現れ、その謎に迫る。
死んだら誰もがゾンビ化してしまう地球で起こる、特殊設定ミステリです。
作者さんらしい、理屈っぽく不気味で、シュールな世界観が魅力。世界観や伏線は緻密です。
登場人物たちは皆どこか冷淡に見えて個人的にはあまりハマらなかったかもしれませんが、ラストはほんのり甘くて良かったです。
ミステリ・ホラー、あるいはSFであると同時に、強烈に倫理観を問われる作品でもありました。ゾンビ牧場、食用ゾンビ、野良ゾンビを踊り食いするゾンビイーター。人はどういう状態まで人として扱われるのか。扱われるべきなのか。
特に序盤結構グロテスクなので、苦手な方はご注意ください。
読後肉に対する食欲が減退するかもしれません(笑)
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ゾンビ系ミステリは色々あるけど、テイストが近いかなと思ったのはこれかな?
『そして誰も死ななかった』白井智之(角川文庫) -
Posted by ブクログ
ウルトラマンの話かと思いきや・・・
本作を読む前に我孫子武丸の『修羅の家』を読み、精神的にダメージを受けた後に本作を手にかけたところ、普段乗り物酔いしないのですが高速バスで少し具合が悪くなりました。
それが冒頭の微候でした:飛行機事故にあった夫の遺体を確認する為に妻の沙織は遺体のある公民館へ向かう・・・
遺体の描写が途轍もないです・・・
続いて第一部はとある、宇宙空間に存在するプラズマ生命体の話になります。これだけでも十分興味深い物語です!
第二部以降は一言で言うと『ウルトラマン』です。
主人公の名前は『諸星隼人』です(笑)
小林泰三さんの作品は四作品目になりますが今まで読んだ作品とはテイストがかなり違いました・・・ -
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なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
竹本建治「恐怖」1983
小松左京「骨」1972
SFっぽさあり
宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
新しいなって思う
坂東眞砂子「正月女」1994
女の嫉妬の怖さ
恒川光太郎「ニョラ穴」2013
平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
都会の隅で見過ごされる悲しさ
服部まゆみ「雛」1994
雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
小林泰三「人獣細工」1997
ありえなくもない豚と人間の相互移植
坂東さんの正月女は、言い伝えにまつわる話。死期が近い若い妻が死んだ後の夫への嫉妬。諦めきれない思いや、優しげだけど裏がありそうな家庭の状況等、怖いより上手し。
たぶん、坂東さん読みたかったのだと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「子供を沈める」
いじめを苦にして自殺した被害者が、4人の加害者の子どもに生まれ変わってくるというお話。
被害者は、加害者の子どもに生まれ変わって何がしたかったのだろうか。初めは復讐なのかと思っていたが、最後の加害者が、他の3人の(加害者の子達)分まであなたを愛すると伝えると、微笑みを返したという形で終わっている。
被害者には、前世でいじめられた(というより、怖い事をされたという曖昧な)記憶は残っていても、母親となっている相手が、そのいじめをしていた当人だと分かっている様子はなく、反省を求めるような素振りもない。
もしかすると、加害者自身が具現化した過去の罪と自ら向き合い、それを乗り越える事が、これ以上ない被害者に対する真摯な反省と償いになるということなのだろうか?
加害者4人が全員、追い詰められて自殺をしてしまっていたら、よくある怖い話。
もちろん、いじめは絶対に問答無用でしてはいけないことだが、加害者が現実を受け止め、これからも向き合おうとする覚悟を被害者も受け入れる展開になっている事で、何か救いのある贖罪の物語に昇華しているような印象を受けた。 -
Posted by ブクログ
角川ホラー文庫で新装版が続々刊行されている小林泰三作品。『玩具修理者』と『人獣細工』に続いて刊行された本作を、前2作に引き続き手に取ってみた。
原因不明の旅客機墜落事故が発生。生存者は絶望的としか思えない凄惨な事故の中、乗客の男性が1人"蘇る"。そして始まる、地球外生命体らによる、地上を地獄絵図へと変える血肉に塗れた戦い―――。
血みどろ作家(?)・小林泰三が描く、グログロなウ○トラマン・・・マジでウルト○マン。主人公の宇宙生命体との邂逅とか、主人公の名前とか、"超人"の掛け声とか、まごうことなきウル○ラマン。(あ、某ライダーも入ってるか。)
特撮映像を想起させる荒唐無稽&血みどろどろなヒーロー活劇を描いたテキストを、ひたすらに味わう作品。それ以上でもそれ以下でもない、きっと。
あ、宇宙生命体の正体が明かされるシーンは、驚きで思わず声が出てしまった!(・・・や、結局は「それで?」で落ち着いてしまったのだが。。。) -
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ここの所不思議の国の夢ばかり見ている大学院生の井森健は、ある晩夢の中で、いつもと違う緑豊かな山の中へ迷い込む。そこにはクララと名乗る車いすの美少女がいた。
翌朝、大学へ向かった井森は、校門前でクララと同じ姿の少女くららと出会う。彼女は何者かに命を狙われていると言い、井森に助力を求めるが……。
不思議の国の住人が殺されていくミステリ、『アリス殺し』の続編にあたる一冊。
「クララ」は何の物語の登場人物なのか考えていたのですが、ドイツの作家エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの作品群がモチーフになっているようです。
わたしは『くるみ割り人形』のしかもあらすじ位しか知らなかったのですが、他の作品も知っているときっとより楽しめると思います。
前作に引き続き、現実世界とどこかリンクしている不思議な世界で起こる事件。夢の中の世界(=ホフマン宇宙)に迷い込んだの蜥蜴のビル、ビルと夢で繋がっている大学院生の井森が、現実と夢の世界の両方から謎を解き明かそうとします。
『アリス殺し』と比べ、ストーリーは少し複雑です。登場人物も多いですし、ホフマン宇宙には動いてしゃべる人形がいたり、記憶が改ざんできる人間がいたり。現実とホフマン宇宙でそれぞれ同じ名前の人がいたりするので、どっちの世界のだれの話をしているのか混乱しがちでした。
それでも、他の作品にはない世界観と作風なので、ファンタジー(SF?)的なミステリを求めている方にとってはやっぱり唯一無二。
なお、同作者さんの他の作品に出ているキャラクターなんかも出てきますので、他の作品も多く読んでいれば読んでいるほどより面白いと思います。