小林泰三のレビュー一覧
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"「わたしが彼女にこの家を教えたのよ」礼都は答えた。
「なんで勝手なことをするんだ?」さすがに俺も礼都の身勝手に腹が立ってきた。
「わたし、困っている人を見たら、放っておけないのよ」
「困っているのは俺たちの方だぞ」
「だから、あんたたちを放っておけないの。困っている人は大好物よ」礼都は舌嘗りをした。
「この女異常よ!」母は叫んだ。
俺もそうかもしれないと感じ始めていた。
「この人探偵だって言ってたわよ」幸実が言った。「トラブルを解決してくれるって」"[p.273_パチプロ]
「プロローグ」
「保育補助」
「剪定」
「散歩代行」
「家庭教師」
「パチプロ」
「後妻」 -
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ネタバレタイトルの通り、天と地が逆になった世界を舞台に展開するスペースオペラ。設定はいいし、巨大ロボット(バイオ兵器?)や宇宙艦体の戦闘シーンも迫力があって読み応えあり。なかなかオモロい小説だと思うんだが…
どうも冗長すぎるキライがある。こんだけのページ使ってこの世界の成り立ちすら見えてこない、しかもラストはほったらかし。余韻を残すというレベルじゃなく、次のページ繰らないとアカんレベルのほったらかし。
最初も最後も曖昧模糊ってのは、短編もしくは中編でこそ生きてくる設定だと思う。あとがきで続編云々を述べているが、最初からシリーズ物として展開しているなら、あとがき以前にそう記すべき。
起承転結の承転 -
Posted by ブクログ
人類・・というか生物がウイルスに侵され死ぬとゾンビ化する世界。そこで発生した・・まあタイトル通りの殺人事件的ななにか。
相変わらず不思議なというか奇妙なというかおもしろい世界観や設定を書く作家さんですね。それを下敷きにしたミステリというちょっと変化球なのが魅力です。今回も・・・世界観は実に面白く興味深いです。実際の真相とかはイマイチなところはあるんですが、そこはやっぱり世界観がかなりぶっ飛んで奇抜なのでそれに比べると「なんか普通だな」と思ってしまうのもやむを得ないんじゃないかと。。。
あと、ゾンビゾンビした話なのでどうしてもグロい場面も結構あるから苦手な人は注意ですね。 -
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2017年、33冊目は、フェイヴァリット作家の一人、小林泰三。
探偵の元に、依頼人が訪れる。依頼内容は親友の捜索。手がかりは、「レイ」という名前と、彼女が写っている色褪せた四枚の写真。さらに、依頼人は毎週の進捗状況の報告を願い出たのだった。
探偵と依頼人の会話体の間に、写真に写っている人物の一人語りによる、四編の短編が挟み込まれた構成。
手軽に小林泰三という作家を知るには、もってこいの一冊。プロローグとエピローグがある、あのホラー短編集の質感。オチは、初の長編ミステリーを思わせるトコロある。噛み合ってるんだか……の、イライラさせられる会話。不条理系。ブラックなユーモア。スプラッター描写。 -
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SF界隈での著名人・新人引っくるめてのアンソロジー集です。SFにはあまり馴染みがなく、フィリップ・K・ディックは好きですがそれもアニメ『PSYCHO-PASS』の影響で最初からというわけではなかったので、慣れる、と言うか、映画は好きなんですが小説はなかなか食指が伸びず、アンソロジーならまだ読めるかな?と言う気持ちで購入しました。
冲方丁さんは、『マルドゥック・スクランブル』を読んでいましたし、新井素子さんは名前くらいは聞いたことがあるなあ、『グリーン・レクイエム』は読んだっけな、夢枕獏さんは『陰陽師』だなあ、とか。
個人的に好きなのは宮部みゆきさんの作品。ロボットとの哀愁漂う感じが好き。 -
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傍若無人な探偵・四里川陣に命じられて、助手の四ッ谷礼子は雪山に建つホテルへ殺人事件の調査に赴く。彼女を待ち受けていたのは、密室から消えた死体の謎だった。カードキーでロックされ、しかも衆人環視下に置かれた密室状況はなぜつくられたのか?
本作家さんを友人から薦められ、その中にあった興味を覚えたタイトルが本作品でした。解説にはホラー作家として評価された云々とありましたが、巻頭には”本格ミステリ”とあるし、論理を飛躍したミステリではないにしても、一筋縄ではいかないだろうと想像していました。
読んでみると、とても丁寧に書かれている印象を受けます。連続殺人というわけではなく、関係者の話を伺いつつ一つの -
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短編集。
「双生児」
真帆と嘉穂。
二人は一卵性双生児としてこの世に生まれた。
ある日、駅のホームから二人のうちの一人が転落して電車に轢かれ即死する。
周りで見ていた人たちは皆、身勝手な女の不幸な事故だと思っていた。
でも、本当にそこで起きていたことは・・・?
長い年月をかけて、双子の内の一人は姉妹を抹殺しようと計画してきた。
最期の時を迎えて、ようやくその怖ろしい計画のすべてを知る転落した線路上で気づくもう一人の双子。
事故の瞬間、大勢の人が見ている前で誰にも気づかれずに起きていた不可思議な出来事。
理解できたのは、当事者である二人だけだろう。
読み終えて、もう一度最初に戻って読み直してしま -
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読書録「脳髄工場」3
著者 小林泰三
出版 角川ホラー文庫
p142より引用
“ 早いものだ。あれから、二十年もたつの
か。感慨深げにそう思ってはみたが、回りで
騒いでいるかつての同級生たちを見ていると、
とてもそんな遠い昔のことのような気はしな
い。”
目次から抜粋引用
“友達
停留所まで
声
アルデバランから来た男
タルトはいかが?”
日常生活の続きにありそうな恐怖を描いた、
ホラー短編小説集。全十一話。
少年は父と母の頭に付いている物に違和感
を持っていた。ある時父親に抱き上げられ、
気になっていたそれに触れると…。
(脳髄工場)
上記の引用は、同窓会についての話 -
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"「いったいどういうこと?」
「何かで切られたんだ。刃物のような鋭利なものではなく、何か鉤爪のような尖ったもので、無理矢理切り裂いた感じだ。君のと同じだよ」
「うぐわぁー」裕子は呻いた。
「どうした?」
「急に痛みが」
「怪我をしたことを忘れてたから、一瞬痛みも遠のいていたようだね。ーーうぐわぁー」
「あなたも?」
「うん。何とか動かせるから、筋肉や骨は無事らしい」"[p.117_忘却の侵略]
「見晴らしのいい密室」
「目を擦る女」
「探偵助手」
「忘却の侵略」
「未公開実験」
「囚人の両刀論法」
「予め決定されている明日」
QRコードを読み込ませるのは面白いな。 -
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"「どうぞ。お入りください」先生は応えた。
依頼者が入ってきた時、あんな話題をしていたなんて、先生には予知能力があるのではないかと思った。
依頼者はふらふらと立っているのもやっとな状態で、事務所の中を歩いて、ソファに倒れ込むように座り込んだ。
はあはあと儚げに息をするその様子を見て、わたしは猛烈な吐き気を覚えた。
「大丈夫ですか?」わたしは吐き気を堪えて訪ねた。
「大丈夫です。ちょっと目眩がしただけですから」
「冷えたジュースでも、お持ちしましょうか?」
「駄目よ!!」彼女は絶叫した。"[p.119_ダイエット]
小林さんだからこうくるだろう、みたいな思い込みが先走りして