あらすじ
近未来。犯罪抑制のために開発された「人工脳髄」。天然脳を持つ少年を待ち受ける運命とは? 人間に潜む深層を鋭く抉った表題作ほか、過去から未来、そして宇宙までを舞台に名手が描く怪異と論理の競演!
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はじめての小林泰三さん作品。
「脳髄工場」という度肝を抜くタイトルと、一度見たら忘れられないカバーイラストに惹かれて手に取りました。
短編集でかなり短い(数ページの)お話から、結構長い話まで様々なものを詰め込んだ、欲張りセットのような様相。
私のお気に入りは、
・やはり何と言っても表題作の「脳髄工場」
・無気味さ、ホラー要素が際立つ「影の国」
・ループ物が大好物なので「声」
・ホラー×SF要素満載の「綺麗な子」
です。
「C市」も「わけのわからなさ」が好きだと感じましたが、この「わけのわからなさ」は自分が科学やら物理やら、そう言ったものに疎いせいもあるかな? と挙げるのは保留に(笑)
どの作品も単に怖い、無気味、奇妙というだけでなくて、「考えさせられるテーマ性」を帯びているのが素敵なところです。
「脳髄工場」では“本当の自分とは何か”というテーマが見え隠れします。本来のナチュラルボーンな自分と、人工脳髄を装着した後の自分はどちらが自分なのか? という主人公の懊悩は、現代人の私たちにとっても、ある意味共通の悩みなのではないでしょうか。
例を挙げるとすれば、飲酒の前後の自分はどちらが本物か? という問いは、これに似たものがありますよね。
次はどの作品を読もうかな……新しい楽しみが増えました。
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犯罪抑止のために開発された「人工脳髄」。
健全な脳内環境を整えられることが証明され、いつしかそれは一般市民にも普及していった。
両親、友達、周囲が「人工脳髄」を装着していく中で自由意志にこだわり、装着を拒んできた少年に待ち受ける運命とは?
人間に潜む深層を鋭く抉った表題作他、日常から宇宙までを舞台に、ホラー短編の名手が紡ぐ怪異と論理の競演。
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11の物語の短編集
5ページで終わるほど短いものもあり、とても読みやすい本でした。
小林泰三にしては設定が普通な感じもありましたが、「さすが!」と思わせる場面もあり、十分に楽しめました。
『脳髄工場』
周りのほとんどの人々が脳髄に機械をとりつけ、極端な感情を抑制されている世界で、自由意思を尊重し、機械の取り付けを拒んでいた少年の見た事実は少年を落胆させ、少年の人生を大きく変えてしまう。
『友達』
ひ弱な僕が想像した強い僕。彼に名前をつけ自分と彼との区別をし始めた頃から彼と僕の関係はおかしくなり始める。
『停留所まで』
幽霊の出るバスに間違って乗り込んでしまったわたし、、
『同窓会』
同窓会に現れたその場に居るはずのない人物の招待は、、、
『影の国』
カウンセラーを営んでいる主人公が、ビデオテープの整理中に見つけた奇妙な男の記録。彼は何者なのか、どうして彼のことを思い出せないのか。
『声』
偶然拾った携帯電話。かかってきた電話に出るとそれは自分からの電話だった。言われる通りに行動することでどんどんお金持ちになるわたし。ある国の王子と結婚する機会を逃してしまったわたしは過去の自分に電話をかける。
『C市』
世界中から集められた科学者が住むC市。そこではCと呼ばれる未知のものに対する対策が日々研究されていた、、、
『アルデバランからきた男』
科学技術が発達し、人工増加に耐え切らなくなった惑星から逃れてきた男。人間のバックアップをとりその人物を殺すことで人工問題を解決しようとするその惑星から男は逃れることが出来るのか。
『綺麗な子』
ペットや子供のロボットを買えるようになった時代。人々は本物の犬や出産を拒むようになる。そんな時代の行き着く先は、、、
『写真』
心霊写真を鑑定する男の下に送られてきた一枚の写真。その写真を見た者は24時間以内に死ぬと告げる少女。写真に隠された謎は何なのか、、、
『タルトはいかが』
姉宛ての手紙の内容はだんだんと過激になっていく。同棲する女性が人の血で作ったお菓子を作り。それを食べなければ生きていけないというのだ。どんどん酷くなる内容に対して姉のとった行動は、、、
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11編の短編、掌編が収録されており、どの作品も、今自分が抱いている価値観や常識がどれほどあやふやなものかを鮮明に表していることに「よくこんな狂った世界観がかけるなぁ。」とホラーの完成度と相まって驚いた。特に『脳髄工場』『友達』『綺麗な子』が面白かった。
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短編が11篇収録された小説。
特に気に入ったのは、この2つだった。
ペットも子供も機械だったら食事も排泄の世話も何もしなくていい。けれどいつかは終わりがきてしまう「綺麗な子」
弟から届く手紙の一通一通を読んでいくと、どうにも様子がおかしくて……?という「タルトはいかが?」
Posted by ブクログ
・世にも奇妙な物語や意味がわかると怖い話みたいな話の短編集
・タイトルと表紙からグロいのを想像していたが、あくまで気味の悪さを演出する程度のグロさで、不快にはならなかった。
・ホラーやSF、恋愛など、話のジャンルのバリエーションが豊富で驚いた。
・好きな話は「友達」と「停留所まで」
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犯罪抑止のために開発された「人工脳髄」。健全な脳内環境を整えられることが証明され、いつしかそれは一般市民にも普及していった。両親、友達、周囲が「人工脳髄」を装着していく中で自由意志にこだわり、装着を拒んできた少年に待ち受ける運命とは?人間に潜む深層を鋭く抉った表題作他、日常から宇宙までを舞台に、ホラー短編の名手が紡ぐ怪異と論理の競演。(背表紙)
脳髄工場
友達
停留場まで
同窓会
影の国
声
C市
アルデバランから来た男
綺麗な子
写真
タルトはいかが?
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ホラーよりのSF短編集。
グロとロジック!
「綺麗な子」のラストがいい。きれいはきたない。きたないはきれい。
「同窓会」なんかは世にも奇妙にありそうな感じ。好き。
全体的にわかりやすくて、この前読んだのより真面目にホラーでした。
表紙カバーとタイトルのインパクトが非常によい。
Posted by ブクログ
―――近未来。犯罪抑制のために開発された「人工脳髄」。
天然脳を持つ少年、少女に待ち受ける悲劇とは? 世界の崩壊と狂気を暗示した表題作ほか、過去から未来、そして宇宙までを舞台にした珠玉のホラー短編集!
「綺麗な子」狂気に満ちてて
ものすごく粘度が高くてまずい飲み物を一気飲みしたような気分やった
でもそれ以外は全体的に印象が薄かったなぁ
「停留所にて」「声」なんかは短くスッキリまとまったホラーやったけど
怪異"グロ" と 論理"ロジック" の競演ってほどでもない
小林泰三やからってちょっと期待しすぎたか
ようぐそうとほうとふ
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ホラーというよりSFっぽいかんじの話が多かったです。
が、楽しく読めました。
さらっと、短い時間で読めますし。
「脳髄」を外から管理することでストレスなどから開放されるという近未来、その「脳髄」を入れる描写は小林さんならではの表現だなぁと思いました。
相変わらず表現がグロくて匂いまでかんじられそう!!!
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量産型小林泰三
小林泰三らしさの幹線をぶっちぎった作品。裏返せばガッカリも激しい。
やはりホラーもネタがかぶってきてしまうものなのかしら。
でも、あの抽象的な文体で科学的内容を哲学的な問いに昇華させて這い寄る混沌につなげる独特の構成はやはり萌える。女子高生とかの比じゃない。
オススメは「脳髄工場」と「C市」
Posted by ブクログ
小林泰三の短篇集。星新一のショートショートをよりブラックにした感じ。どの作品も小林泰三の世界が確立していて、ぐんぐん引きこまれた。この人は天才だと思う。小林泰三の脳みそ欲しい。
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■内容(「BOOK」データベースより)
犯罪抑止のために開発された「人工脳髄」。健全な脳内環境を整えられることが証明され、いつしかそれは一般市民にも普及していった。両親、友達、周囲が「人工脳髄」を装着していく中で自由意志にこだわり、装着を拒んできた少年に待ち受ける運命とは?人間に潜む深層を鋭く抉った表題作他、日常から宇宙までを舞台に、ホラー短編の名手が紡ぐ怪異と論理の競演。
■感想
表題の脳髄工場は途中まではものすごく面白かったんだけど、最後がしょぼーんでした。
あとクトゥルフはぜんぜんわからないから、C市のアレはぽかーんとしてしもうた…。
ただややがっかりだったのがこの2作品てだけで、他は楽しめました。
特に面白かったのはドッペルゲンガーの話。
脳髄工場のラストをひきずっていただけに、ドッペル消して終わるのかなーと思っていたら……だったし。
心霊写真も面白かったな。
小林泰三の本は漫画ちっくな感じがする。
内容はホラーなのに、どこかジョークがきいていてコミカルに思う。
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好きです。えぇ〜脳髄つけてよ。自分にも。長い物には巻かれて暮らしてますので大丈夫。
父親みたいな描写はさすがに怖いけど。やはり長編より短編が好きなのです。
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表題作を含むSF・ホラー11作品を収録。
SFとホラーってもの凄く良く似合うよなぁ、と「綺麗な子」を読んで思った。
「停留所まで」「アルデバランから来た男」の様なテンポの良い短くトリッキーな話を私は好む。
「影の国」「声」「タルトはいかが?」は終わらせ方が良いな、と思った。特に「タルトはいかが?」のラスト一文はこれ以外に有り得ないだろう、といった感じ。
Posted by ブクログ
相変わらずいやーな感じの作品が並んでいるところが素晴らしいですね。
ですが、特筆すべきは、そうした「いやーな感じ」はあんまりない『C市』という作品。
これまでの作品でもクトルゥフ神話に対する傾倒を見せていた作者が、真っ正面からクトルゥフ神話に挑んだ作品で、ホントイイ!大好きです。本作は中編ですが、小林氏にはいつか長編のクトルゥフ物をやって欲しいなあと思います。
Posted by ブクログ
読書録「脳髄工場」3
著者 小林泰三
出版 角川ホラー文庫
p142より引用
“ 早いものだ。あれから、二十年もたつの
か。感慨深げにそう思ってはみたが、回りで
騒いでいるかつての同級生たちを見ていると、
とてもそんな遠い昔のことのような気はしな
い。”
目次から抜粋引用
“友達
停留所まで
声
アルデバランから来た男
タルトはいかが?”
日常生活の続きにありそうな恐怖を描いた、
ホラー短編小説集。全十一話。
少年は父と母の頭に付いている物に違和感
を持っていた。ある時父親に抱き上げられ、
気になっていたそれに触れると…。
(脳髄工場)
上記の引用は、同窓会についての話での一
節。若い時代の濃密な時間を共に過ごした仲
間との再会は、合わなかった時間なんて無
かったかのように感じさせるものなのですね。
しかし、若い時分の写真と見比べてしまうと、
やはりはっきりと時の流れを見て取ってしま
います。
ホラーなのですから当たり前かもですが、
全体的に後味が気持ちよくありません。
沢山の怪物とガンガン戦うようなホラーを期
待すると、当てが外れるでしょう。
しんみりとする話もありますが、気持ちが落
ち込んでいる時に読むと、より一層どんより
としてしまうかも知れません。
ーーーーー
Posted by ブクログ
“「何を言ってるんだ?」ドッペルが真顔になった。「他人てのは俺のことか?俺はおまえじゃないか。自分で自分の記憶を思い出す切っ掛けを作ってるだけなんだから、おかしくもなんともない。それとも、まさか、おまえ俺を自分から切り離して考えてるんじゃないだろうな」
「そんなことはないよ」僕は慌てて首を振った。
「それで安心した」ドッペルに笑顔が戻った。「俺はまた、おまえが俺に名前でもつけたんじゃないかと冷や冷やしたぜ」
僕の全身にゆっくりと鳥肌が広がる。”[P.114_友達]
「脳髄工場」
「友達」
「停留所まで」
「同窓会」
「影の国」
「声」
「C市」
「アルデバランから来た男」
「綺麗な子」
「写真」
「タルトはいかが?」
“「ムッシュムラムラ!」先生が呪文を唱えた。
まるでビデオを巻き戻すかのように、すべての針はそれが発射されたのと全く同じ軌跡を後戻りして、六型の体内に戻っていった。どんなに頑丈な鎧に守られていようが、針の発射口は無防備だ。六型は動きを止めたかと思うと、不気味な軋む音を発し、粉々に砕け散ってしまった。
「先ほどのお言葉を返すようですけど」先生は退屈そうに言った。「やっぱり核兵器の方が厄介だと思いますよ。以前、食らった時には、爆風と放射能を無効化するのに苦労しましたもの」
わたしは左目から飛び出す舌の先を握り締めると、七型をぐいと引っ張った。七型は床の上で滑ってひっくり返った。
「先生、こいつどうしましょう?」
「吸収しちゃえば?あなた最近鉄分不足のようだから、ちょうどいいわ」”[P.251_アルデバランから来た男]
Posted by ブクログ
短編によって当りハズレが大きい本だなぁ。
完全な文系脳ということもあって、物理だか、科学だかが絡んでくる話は分かりにくくてつかめなかった。
でも「友達」とか「停留所まで」とかミスリードを誘うような普通のタイプの話は面白かった。
これは読み手を選ぶ本じゃないかな。
Posted by ブクログ
短編含め11作品。世にも奇妙な、的な。
「綺麗な子」「アルデバランから来た男」は星新一をグロく気味悪くしたような感じ。「友達」と「声」は乙一を気味悪くしたような感じ。「停留所まで」「同窓会」は都市伝説や怪談話のような感じ。そんな感じで、作品によってかなり色が違うので、自分に合うものも合わないものもあると思う。好みが分かれそう。
とくに面白かったのは「綺麗な子」と「タルトはいかが?」です。どれもどんでん返しがしっかりしていて面白かった。とくに「綺麗な子」の終わり方は秀逸だと思う。静かに世界が終わっていく感じがいい。「ボッコちゃん」もそうですが、作品が終わった後の静かな世界が余韻のように残るのがいい。
表題作は面白かったけれど腑に落ちない部分があって消化不良。
人は未来を知ってしまったら、もうその未来を変えることはできないのか。
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なんとなく、タイトルと表紙に引かれて立ち寄った本屋で買った一冊。自分以外はすべて人工脳髄を取り付けているという、そんな内容のホラーミステリー。
ネタとしては世にも奇妙な物語に通じるものがある。怖さより不気味さが立つ、みたいな。
C村はクトゥルーネタ
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短篇集なので、コンパクトにまとまりすぎて少し物足りない。
もっとガーッと好きな方向に走り抜けてもいいのに。どこまでも付いていきます。
でもベタな「停留所まで」も実はけっこうお気に入り。
Posted by ブクログ
近未来。犯罪抑制のために開発された「人工脳髄」。天然脳を持つ少年、少女に待ち受ける悲劇とは? 世界の崩壊と狂気を暗示した表題作ほか、過去から未来、そして宇宙までを舞台にした珠玉のホラー短編集!