小林泰三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【2026年78冊目】
彼はずっと海を見ている。日がな一日、来る日も来る日も。彼はただ、彼女のことだけを思っている――表題作「海を見る人」を含む7つのハードSF短編集。
ハードでした笑 もともとSFはあまり得意ではないというのがありますが、いい意味で科学的根拠をベースにしたお話がほとんどで理解しようとするために読むのに時間がかかってしまいました(そして、結局理解できた気はしない)
ファンタジー要素も強いので、理系に強い人は物語性の高さもあって楽しめそうな気がします。どのお話もちょっとびっくりさせてくる要素があって、細部は理解できなかった私でも「おお」となりました。
ホラーのイメージが強い -
Posted by ブクログ
2026.05.04
ホラーアンソロジーはなかなか満足できるものがないんだけど、作家さんたちが錚々たるメンバーだったので久しぶりに購入してみた。
いつもそう思って購入して期待外れだけど、このアンソロジーは読み応えがあって総じて大満足。
小野不由美の短編は名作すぎて覚えていたけれど、読んだはずの常川光太郎と岩井志麻子はまったく忘れていた。小林泰三はこういうアンソロジーでしか読んだことがないけれど、一度も面白いと感じたことがない。正直、小池真理子と小林泰三がアンソロジーに入ってると、その話は「捨て」だなと思ってしまう。
澤村伊智「シュマシラ」
UMAや妖怪に絡むテーマは面白いかったし読んでる -
-
Posted by ブクログ
「人獣細工」「吸血狩り」「本」の3作収録の短編集。
オチるまでがつまらなすぎる。
これは「吸血狩り」「本」にて顕著である。2作とも、工夫が盛られた仕掛けでオチをつけてくるのだが、そこに至るまでに興味がダレてしまっていたので、疲労含みの「あっそ…」の一言となってしまった。
特に「本」の仕掛けは、物語の根幹が全部ひっくり返るような大仕掛で結構驚いたのだが、いかんせんそれまでがだらだらとつまらなかったので、大オチに辿り着く頃には性も根も尽き果てていた。本の呪いで芸術的に狂っていく人々の描写が常軌を逸しすぎていて、もはやギャグだった。ちょっと笑った。
物語の骨子は悪くなさそうなのに、何でこんなにつ -
Posted by ブクログ
ネタバレホラーというより、怪奇小説とSF小説っぽい。個人的には二つ目の「酔歩する男」の方がおもしろかった。
表題の玩具修理者は、生物と非生物の対比が意図的に歪められている。修理可能性は両者にとって等しく魔法的で、生物の定義を揺らがせる提示としては説得力に欠けており、不気味さの基盤としては弱いと感じた。
酔歩する男では、眠るごとに意識の区切りがあって、未来に飛ぶと波動関数が収束し、過去に飛ぶと波動関数が発散してしまう。時間軸を失って、人生が何一つ確定されなくなってしまった小竹田。収束させる能力が壊れて、不確定な世界に怯える血沼。単なるタイムスリップじゃなくて、認識する世界が波状のまま定まらない感じが -
Posted by ブクログ
【短評】
早逝の天才・小林泰三によるホラー短編集。
昔々『酔歩する男』という作品に大層感銘を受けたことを良く覚えている。本作を読んでも感じたが、この人の作品には「自己認識」という領域に対する偏執的とも言える関心が垣間見える。
「私とは何か?」「私は本当に正しいのか?」「私に作用するものとは?」
異なるアプローチに基づくスタンドアロンな作品達の根底に、何故だか同じ衝動を感じさせるのは穿ち過ぎというものだろうか。短編集は各話の好き嫌いが発生するため、総合的な点数が伸び悩む傾向にあるが、トリを飾る『本』は図抜けた傑作だと感じた。この一本に出会えただけでも手に取った価値は十二分にあろう。
①人獣細工