あらすじ
パッチワーク・ガール。そう。
私は継ぎはぎ娘。
その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見える――。
豚の臓器を全身に移植された少女の絶望を描く表題作ほか、圧倒的な知識と想像力で描き出された2編を収録。
『玩具修理者』『アリス殺し』を生み出したグロテスク・ホラーの鬼才による、内臓の匂い漂う傑作短編集が新装版で登場!
感情タグBEST3
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表題作、一気に読みました。
「父親」の所業がおぞましすぎる。縫い目に無頓着なの、そういう……。
人間の定義とは? 定義にこだわらずに生きられないのか? とかいろいろ頭の中ぐるぐる。
夕霞が救われることはありえるのか。
通りすがりのパンク野郎が「バンドやろうぜ!!」とか言ってきて、夕霞が出口のない鬱屈を全部ロックで爆発させる未来を想像した。
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これは面白かった!
ブタの臓器を移植され続けてきた少女、吸血鬼を殺そうとする少年、本による狂気に巻き込まれた女性の3編を収録。
どことなくクトゥルフ神話を想起させるように感じた。
特に第3作『本』には「名状しがたきもの」という表現もあるし、クトゥルフ好きにはニヤリとさせられると思う。
邪悪で狂気に満ちた短編集だが、クトゥルフという狂気に染まっている自分としては、なかなか楽しませてくれるような小説だった。
Posted by ブクログ
ヤバい超面白かった☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆最初は人間のために豚の臓器を移植してると思ったんだけど読み進めていくうちにこれ逆パタなのではと勘づいてしまい結果図星。小林先生の書くホラーというかサイコパスというかなんて言うか人間のリアルとっても好きなのでこれ超刺さった。最終章の本が1番ヤバいってあとがきに書かれてたけどリアルの世界がごちゃごちゃになってて奇妙で薄気味悪くて最高だったな
この世界は本当に現実なのか
われわれが現実と呼ぶものは一体なんなのか
とても考えさせられました
Posted by ブクログ
3部作の短編集。
どれも衝撃的なお話でした!
最後の『本』は、自分自身もその中に入って体験してるかのような描写があったりと、それに限らず3部作とも濃い内容でした!
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何だか独特の世界観と個性的な文章。
3部作になってます。
外国文学の様な、古典文学の様な文章に
ホラーの様なSF作品。
不思議な違和感の世界に引き込まれる。
好き嫌いは別れると思います。
映画になったらB級の面白いホラーになりそう。
ただし、監督が優秀でないと
痛い作品になるでしょう。
Posted by ブクログ
最高値は星5です。「人獣細工」が最も面白かったです。、落ちが非常に残酷で、その落ちへの導線がしっかりしている印象でした。ほんとに面白かったです。残り二つの話は知りません。よく分かりませんでした。
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表題作の『人獣細工』
先天性の病気が理由で生後間もなく
ブタの臓器を全身に移植され続けてきた少女の話
何故こんな事をしたのか
亡き父の記録を調べていくうちに
彼女が辿り着く真実は、、
倫理観を問う話だった
2作目の『吸血狩り』
ちょっぴりエロティックな
ノスタルジーを感じさせる田舎が舞台で
吸血鬼から従姉を護る少年の話、、
3作目の『本』
どこかリングを感じさせた
どれも短編なのに、とても完成度が高い
久々のホラー作品で、初読みの作家さんだけど
良かった
Posted by ブクログ
『本』
小学校の同級生から届いた一冊の本、それは非常に年季が入ったものでタイトルは「芸術論」。
この本は他の同級生にも送られてきているようで、ある日その同級生の元を訪ねると__。
こういった狂気や謎から引き起こされる恐怖が非常に好みであるため、そういったものが好きな人なら満足出来る一冊であろう。
本に綴られている内容も読み物としても興味を唆るもので、異質な世界観を形作るものであると同時に作者の叡智を感じさせる。
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人獣細工
後味がここ最近読んだ本の中で1番悪かったです。
最後のあの1文で全てがひっくり返りました。
1番最後の他にも全てにおいて狂ってました。
上手く言葉が出ないけど言えることは狂ってる。
『本』も表現がとてもリアルでした。
血濡れた表現がとても上手かった。
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ホラー?なのか?
怖さよりも気持ち悪さみたいのが先立つ雰囲気
「人獣細工」も「本」も友達がすごく良いな
「吸血狩り」は解説と同じこと思ったけど、いやでも、色々怪しいことあったしな…いずれにしろ「吸血鬼」が悪いですね
「本」おもしろかった。安部公房の「人間そっくり」思い出しましたね。去年読んだからか
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3編の短編からなるホラー小説集です。
タイトルの人獣細工も含めて、全てが衝撃的なラストを与えてくれます。終盤に向かうまでの狂気に染まっていく描写にもつい夢中になり、読み進める手が止まりません。
短編なので読みやすいのも良かったです。
2作目「吸血狩り」は特に、少年の心情描写も見事でした。没入間に浸れます。
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3つの話に構成されていた小説。
1章が人の臓器が豚の臓器に移植されいていく話。
2章 吸血鬼と戦う話。
3章 呪いの本の真相を辿る話。
よく分からなかった。この3つの話に共通点はない。テーマが思ったより難しい。でも考えとしては面白かった。
Posted by ブクログ
【短評】
早逝の天才・小林泰三によるホラー短編集。
昔々『酔歩する男』という作品に大層感銘を受けたことを良く覚えている。本作を読んでも感じたが、この人の作品には「自己認識」という領域に対する偏執的とも言える関心が垣間見える。
「私とは何か?」「私は本当に正しいのか?」「私に作用するものとは?」
異なるアプローチに基づくスタンドアロンな作品達の根底に、何故だか同じ衝動を感じさせるのは穿ち過ぎというものだろうか。短編集は各話の好き嫌いが発生するため、総合的な点数が伸び悩む傾向にあるが、トリを飾る『本』は図抜けた傑作だと感じた。この一本に出会えただけでも手に取った価値は十二分にあろう。
①人獣細工 ★★★☆☆
先天性の疾患ゆえに、生後間もなくから種々の臓器をブタの臓器に置換・移植した少女の物語。代謝に起因する自己の連続性への疑念というのは、午後の思索に丁度良い高尚なテーマだが、これをブタでやるとは思わなかった。果てしなくキモくて忌まわしい。『魍魎の匣』を思い起こさせた。テーマは大好物だが、着地点がやや安直かなと思ったので三点評価とした。
②吸血狩り ★★★☆☆
少年が吸血鬼を退治せんと奮闘するお話。非常に厭な読後感を齎す作品なのだが「非常に厭な読後感を齎そうとしているな」と早い段階で当たりがついてしまった作品。予期した着地点に淡々と着地した印象が先行したため、評価は振るわなかった。
③本 ★★★★★
本作品集のベスト。有り体に言えばこの作品だけはレベルが違う。端的に言えば、奇っ怪な内容の本を送りつけられた人々が発狂する的なお話なのだが、人を発狂せしめるメカニズムが実にユニークだった。「芸術」である。芸術が如何にして人間の精神に作用し、伝播していくかを「論」という形式を以て叙述する手法が実に気味が悪い。また、本の内容が幻想文学としても一級であり、「鼻血を啜り上げる男」とか「名付けることが禁じられた土地、ゲリル」といった奇妙としか言い様のないモチーフが嫌でも脳に刻みつけられる。インストールに失敗した人の振る舞いを含め、不気味で仕方がなかった。
『本』という奇貨を与えてくれた出会いに感謝したい。
また、盤外の感想で恐縮だが、呂后による「人豚」の逸話が取り上げられた作品を二作品連続で読むこととなった。読書を長く続けていると、こういう出会いもあるものである。感慨深いものだ。
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「テセウスの船」は知ってるだろうか。
古代ギリシャの伝説で、英雄テセウスが使った船にまつわる話。
老朽化した船の木材を次々と新しいものに交換していき、長い年月をかけて最終的にすべての木材が新しくなったとする。
このとき、「この船は本当にテセウスが乗っていた船と言えるのか?」という疑問が生じたことに由来する。
さて、これが人に行われたのが本書だ。
とある少女が臓器移植の専門医である父に、長い年月をかけて豚の細胞を移植し続けた。
少女:夕霞は先天性の病気で生まれた時から多くの臓器に血管があり、赤ん坊の頃から臓器移植のを繰り返して生き延びてきたと説明されている。
心臓、腎臓、肝臓から始まり、角膜、肛門、皮膚、眼球、唾液腺、舌、涙、卵巣、子宮、腕など。人体のほとんどの部位が豚から移植されたこの少女は、人間と言えるのか?
そんな哲学的で、グロテスクなことが身に降りかかった少女は自分という存在、人としてのアイデンティティが何か分からなくなっていった。
ただ、そんな夕霞にもギリギリ自分が人間であるとすがれるものがあった、
それは「生まれつき右肩にある魚のような形の痣」だった。
物語冒頭時点では父は病死しており、夕霞は父の残した研究室・記録を整理しながら自分の手術の真相を探っていく。
そこでとあるビデオテープを見つけた。
そこには遺伝子操作を施された母豚が、大量の奇形の子豚を「排泄するように」産み続ける映像が延々と映っている。
その中の一匹の子豚の肩に、夕霞自身のものと同じ痣があるのを、彼女ははっきりと目撃してしまったのだ。
物語はここで終わり解釈は読者へと委ねられた。
夕霞の肩の痣は「人間の母から受け継いだ印」ではなく、豚側に元々あった形質(=彼女の“オリジナル”は豚の身体)という解釈が有力視されている。
「物体の同一性」や「自己とは何か」といった、哲学的な問いかけをしてくるエグいストーリーだ。
Posted by ブクログ
人獣細工。人体実験の末に生まれた愛も何もないオモチャのような存在。吸血狩り。吸血鬼だと思っていたけど本当はただの人間だったのでは?ともとれるこの2作はラストの「本」に関しては読みづらく、何が書きたいのかもわからないまま本を閉じた。
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移植技術を研究している父は、
病を治すため
豚の臓器を娘の全身に移植し続ける。
そう彼女は全身豚娘。
人と豚との境界はどこにあるのか。
ふと、父の書斎で見つけた手術記録を遡っていくと。。。
命を弄ぶ倫理観ゼロが私にはたまらない。
道徳の教科書に載せて欲しい。
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個人的には吸血狩りが特に面白かった。
主人公の子供故のあまりの純粋さと、子供の有り余るエネルギーで行動しまくって 子供(従姉妹)に手を出すキモイ男の冗談を信じて殺してしまう
そりゃ、吸血鬼なんだから殺さなきゃと思うよね 子供からしたら
自分みたいな感情移入して読むタイプの人間からすると最後は人間だったんかい!!と突っ込んでしまった笑
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1冊目。
3編の物語で構成されている。、1つ目の人獣細工は読みやすく、1番分かりやすい面白さだった。ある程度展開は想像出来てしまうものの最後の1文は衝撃的で読み終わってからより面白さが際立つ。2つ目の吸血狩りは最初は普通の吸血鬼の話だと思うが、読み進めていく内に違和感を感じ想像もしない展開に気づく。主人公の従姉への依存、執着が現実を歪ませ主人公を正当化する世界を作り出してしまっている。3つ目の本はただただ狂気的。現実とはなにかを考えさせられる。面白いが芸術論のところは読むのが苦痛。そして自分の知識では理解できないところがあったため少し難しい話な印象。
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この作家の本は初めて読んだ。
「人獣細工」、「吸血狩り」、「本」の三篇を収録。
どれも読み終わった後の後味が悪かった。
「人獣細工」は狂った医学者が自分の娘に豚の臓器を次々と移植するお話。
プロットの設定としては、有りがちかもしれないが、最後のどんでん返しが気持ち悪い。
「吸血狩り」は、ホラーによくある設定の吸血鬼が出てくる。
吸血鬼と対峙するのは、大人ではなく、子供だ。
最後には子供が吸血鬼を滅ぼすが、その意外などんでん返しに、後味が悪い。
「本」は、あのホラーの傑作、リングと同じ感じ。
リングはビデオを見ると呪われるが、本作では「本」を読むと呪われる。
「本」に記述してある内容は、あまり意味がない。
「本」には芸術論や共生体のことが書いてある。
パソコンのハードウェアやソフトウェアについても書いてある。
意味不明の記述もある。
最後に読んだ「本」は、私には意味が良くわからなかった。
映画の「マトリックス」のような、仮想現実を表したかったのか?
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玩具修理屋がすごく好きで、続く話ということで楽しみにしてました。表題の人獣細工は好みでしたね。
テセウスの船みたいな話でした。
その他2作品ありました!
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話題の「人中細工」は、読んでいて気持ちが悪くなるほどのリアルさだった。最後は衝撃の事実、、、
3つの話の中では、「吸血狩り」が分かりやすく、展開も楽しめました。
「本」は自分では意味が汲み取りづらく、狂気さは楽しめましたが、後味はあまりすっきりしませんでした、
Posted by ブクログ
小林泰三的ジュブナイル物とみた。
「人獣細工」
テセウスの船人体版。
思春期の自我の確立と己のルーツを知る葛藤。
「吸血狩り」
少年の一夏の経験。
従姉の変わりようの方が恐ろしく感じた。
「本」
世界系?
親友と謎に挑む、的な。
ラスト現実と非現実の融合。
小林氏なのでグロ描写や気持ち悪さはあるんだけど、夏休みに読むにはちょうどよかったな。
Posted by ブクログ
人獣細工を読むために購入。
自分を構成する臓器が9割以上豚のものだったら、あなたは人、豚のどちらに該当するでしょうか。
何をもって人、動物とを定義するのか。
唯一自分が生まれた時からある大きな痣。
これが私を人間たらしめている。
そう思っていた。この痣のせいで、私は…。
Posted by ブクログ
【2024年126冊目】
私は人彘なのだ――「人獣細工」
従姉を助ける、取り返しがつかなくなる前に――「吸血狩り」
呪いを広げる芸術論を騙る書物――「本」
表題作「人獣細工」を合わせた三編からなる中篇集。
表題作が読みたくて買ったのですが、どれもこれもパンチが強くて「また増えたな現代の奇書が」って思いながら読みました。
まず、まずね「彘」こんな漢字初めて見たんですけど?じわじわ絶望で攻めてきて耐性をつけさせてくれているのかと思いきや、最後の最後で這い上がれないほどの絶望に突き落としてくるの最高でした。くそー好き。
「吸血狩り」はフェアな吸血鬼にきゅんとしました。えっ、優しくない…?結末が不服でしたが。
「本」途中の文章は読み飛ばしたので、私はおもむろにダンスを踊り出す心配はなさそうです。読者を煙に巻く「結」も良かったですね。
話によって文体や雰囲気もがらりと異なる作者さんです、見事。