あらすじ
パッチワーク・ガール。そう。
私は継ぎはぎ娘。
その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見える――。
豚の臓器を全身に移植された少女の絶望を描く表題作ほか、圧倒的な知識と想像力で描き出された2編を収録。
『玩具修理者』『アリス殺し』を生み出したグロテスク・ホラーの鬼才による、内臓の匂い漂う傑作短編集が新装版で登場!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
人獣細工
後味がここ最近読んだ本の中で1番悪かったです。
最後のあの1文で全てがひっくり返りました。
1番最後の他にも全てにおいて狂ってました。
上手く言葉が出ないけど言えることは狂ってる。
『本』も表現がとてもリアルでした。
血濡れた表現がとても上手かった。
Posted by ブクログ
「テセウスの船」は知ってるだろうか。
古代ギリシャの伝説で、英雄テセウスが使った船にまつわる話。
老朽化した船の木材を次々と新しいものに交換していき、長い年月をかけて最終的にすべての木材が新しくなったとする。
このとき、「この船は本当にテセウスが乗っていた船と言えるのか?」という疑問が生じたことに由来する。
さて、これが人に行われたのが本書だ。
とある少女が臓器移植の専門医である父に、長い年月をかけて豚の細胞を移植し続けた。
少女:夕霞は先天性の病気で生まれた時から多くの臓器に血管があり、赤ん坊の頃から臓器移植のを繰り返して生き延びてきたと説明されている。
心臓、腎臓、肝臓から始まり、角膜、肛門、皮膚、眼球、唾液腺、舌、涙、卵巣、子宮、腕など。人体のほとんどの部位が豚から移植されたこの少女は、人間と言えるのか?
そんな哲学的で、グロテスクなことが身に降りかかった少女は自分という存在、人としてのアイデンティティが何か分からなくなっていった。
ただ、そんな夕霞にもギリギリ自分が人間であるとすがれるものがあった、
それは「生まれつき右肩にある魚のような形の痣」だった。
物語冒頭時点では父は病死しており、夕霞は父の残した研究室・記録を整理しながら自分の手術の真相を探っていく。
そこでとあるビデオテープを見つけた。
そこには遺伝子操作を施された母豚が、大量の奇形の子豚を「排泄するように」産み続ける映像が延々と映っている。
その中の一匹の子豚の肩に、夕霞自身のものと同じ痣があるのを、彼女ははっきりと目撃してしまったのだ。
物語はここで終わり解釈は読者へと委ねられた。
夕霞の肩の痣は「人間の母から受け継いだ印」ではなく、豚側に元々あった形質(=彼女の“オリジナル”は豚の身体)という解釈が有力視されている。
「物体の同一性」や「自己とは何か」といった、哲学的な問いかけをしてくるエグいストーリーだ。
Posted by ブクログ
人獣細工。人体実験の末に生まれた愛も何もないオモチャのような存在。吸血狩り。吸血鬼だと思っていたけど本当はただの人間だったのでは?ともとれるこの2作はラストの「本」に関しては読みづらく、何が書きたいのかもわからないまま本を閉じた。
Posted by ブクログ
個人的には吸血狩りが特に面白かった。
主人公の子供故のあまりの純粋さと、子供の有り余るエネルギーで行動しまくって 子供(従姉妹)に手を出すキモイ男の冗談を信じて殺してしまう
そりゃ、吸血鬼なんだから殺さなきゃと思うよね 子供からしたら
自分みたいな感情移入して読むタイプの人間からすると最後は人間だったんかい!!と突っ込んでしまった笑
Posted by ブクログ
人獣細工を読むために購入。
自分を構成する臓器が9割以上豚のものだったら、あなたは人、豚のどちらに該当するでしょうか。
何をもって人、動物とを定義するのか。
唯一自分が生まれた時からある大きな痣。
これが私を人間たらしめている。
そう思っていた。この痣のせいで、私は…。