あらすじ
玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く……。現実なのか妄想なのか。生きているのか死んでいるのか――その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
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Posted by ブクログ
人生で初めて読んだホラー小説。
表題作『玩具修理者』の短編集とは思えない破壊力と『酔歩する男』の読書初心者ながらに感じた、「これ、なんか嫌」という感覚。
数年ぶりに読んだが、その読み心地は色褪せるどころか、昔抱いた感覚以上に、より凶々しい笑顔で迎えられるかのような、恐怖を感じた。
『玩具修理者』
「小林泰三」がこの作品の時点で出来上がっている。
いちいちグロい、いちいち会話がまどろっこしい、この読めば読むほど味がする「小林泰味」が50頁足らずの短編に濃縮されている。
読んだことない人は是非、登場人物である男の視点で読んでいただきたい。
『酔歩する男』
SF強めのホラー。
昔に読んだ時は上記の感想だったが、改めて読むと、結構怖い。
幽霊や化け物等は一切出ないが、根源的な恐怖を想起させる、拒みたくなる、受け付けたくない状況と文章が波のように押し寄せてくる為、好き嫌いは別れるが、かなりゾワっとする。
Posted by ブクログ
表題作の『玩具修理者』と『酔歩する男』の二部構成。前者は引き際の潔いキレイな一撃、後者は短いながらプロットの作り込まれたおぞましいSFサスペンスで、どちらも文量に対して満足度が高い。
小林先生って理系なんですね。機会があったら長編にも手を出そう。
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久しぶりに面白い小説に出会った。オチはどうでもよくて、ストーリーの進行じたいで充分に面白い。収録されている二篇ともが面白いので、おそらく文体が好みなのだろう。
小林さんの作品を追ってみたくなる。
Posted by ブクログ
小林先生のメルヘン殺しシリーズを読み、登場人物達のキャラの濃さに「元ネタがあるかも」と調べてみると過去の作品に登場しているということで読んでみました。大学時代にクトゥルフ神話TRPGを齧っていたので、すごく刺さる内容でした。夏の夕暮れ時の蒸し暑さ、非現実的だが納得せざるを得ないタイムトラベル等、臨場感溢れる文体が全身を襲ってくるようで目の前で本当に話を聞いているかのような感覚でした。何度も何度も読み返した作品です。
2024/05/05に『酔歩する男』の聖地である兵庫県東灘区の処女塚古墳に訪れました。いつか東西の求女塚古墳にも訪れてみたいと思っています。
追記)2024/06/02に東求女塚古墳、西求女塚古墳を訪れました。行って何かをするという訳ではないですが、伝説に縁のある地で物語に触れられて嬉しかったです。
Posted by ブクログ
読んでいて頭がごちゃごちゃになる感覚が堪らないし個人的には酔歩する男がドストライク。限られた理解力しか持たないわれわれの脳があまりにも複雑な世界に対面した時に壊れてしまわないために脳自身が設定した安全装置が因果律っていう文章が超好きで、なんて言うか自分が生きてる時間は存在してると考えるのかとかまだまだ人間として未熟な知識しか持ち合わせていなかったり、本当に原因が先で結果が後なのかとかぐるぐる考えた。時間が進んでいるように見えて、自分だけが眠りについたら違う空間や時空にいたらって考えるとものすごく不思議な感覚.読んでてすごく楽しかったし考えさせられたしこういうお話って大好き、だから小林先生の小説他のも読んでみるドキドキさせてください。
Posted by ブクログ
「玩具修理者」は、グロいけど分かりやすくて上手く短編としてまとまっていて良いと思った。
「酔歩する男」は悪夢のSFだった。変な名前の登場人物達。頭がこんがらがるけど、これはこれで面白かった。
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ドロシィ殺しで玩具修理者のことが出てきたので、読みました。
小林泰三さんらしい作品だなと思いました。グロテスクではあるが、読み進めてしまうところが魅力だと思います。
玩具修理者は短いながらも背筋がヒヤリとするような作品でとても満足感が高いです。
酔歩する男は正直自分の頭ではあまり理解が出来なかったです。ただ、タイムトラベラーへの認識が変わりました。そんな風に考えるのかと驚きました。
Posted by ブクログ
怖い。久々にこんなに怖い小説を読んだ。不安が強いときに読まなければよかった。
ただ、とにかく怖い本を読みたいときには、またこの本を読むと思う。特に『酔歩する男』はすごかった。
Posted by ブクログ
「玩具修理者」と「酔歩する男」の2篇。
どちらも独特な話だった。
読後は、遠い昔の思い出を、毎日会う人を、日常の風景を疑ってしまいそうになる。
「玩具修理者」では、子どもが見た暑い夏の白昼夢のような体験について、会話する二人の関係が分かると、ぐっと気持ち悪くなる。
「酔歩する男」では、手児奈をめぐってタイムトラベルをすることになった小野田の混乱と絶望と空虚感が生々しい。小野田の語る因果律や波動関数の話が、時間の概念をぐちゃぐちゃにしてくるのが気持ち悪い。
読後は、しばらくモヤモヤしてぼんやり考えこんでしまった。
「物語を聞いたからには、その物語の語り手は実在しなければなら ─── 」
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短編の『玩具修理者』と中編の『酔歩する男』の2編からなります。
『玩具修理者』は、お洒落なカフェで読むものではなかった…!グロテスクな描写があるので、食事の合間に読むのはおすすめしません。
よく分からない素性の者が、よく分からない言葉を叫びながら修理する。たとえ死んだ猫でも。
あらすじだけでもとても興味を惹かれますが、面白いのが、玩具がたくさん集まらないと修理しないこと。すべての玩具のパーツを外して、なんと別の玩具のパーツとごちゃ混ぜにして修理するんです。…怪しいニオイがぷんぷん。
また、玩具修理者は正確だけど馬鹿正直すぎるところがあります。どんな風に直して欲しいか伝えるのですが、言われたことはその通りに。言い忘れたらやってくれません。
オチが綺麗にまとめられていて、短編だけど満足感があって良かった◎
『酔歩する男』は、ホラーよりもSF要素が多め。
パブで、自分の「大学時代の親友」と名乗る見知らぬ男と出会います。自分は見覚えがないのに、親友とまで言われる…。意味不明ですね。
男の話がちぐはぐでモヤモヤ。呼び出したタクシーをキャンセルしてまで、男の話を聞くことに。
科学の専門的な話が出てきたりと、内容は難しめですが、何となくで読み進めても楽しめました。
SFは苦手意識があって避けがちでしたが、冒頭部分からは想像できない不思議な世界に、すっかり惹き込まれてしまいました!
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「玩具修理者」「酔歩する男」の2篇。
全体的にはホラーだが、後者はSF色が強く、気質が合わない読者も多く出そうである。
しかし2篇ともに理屈の恐怖を味わえる名作である事には間違いない。
特に「玩具修理者」は、グロテスクと耽美は相性が良い事を示してくれている。
良い読書体験でした。
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玩具修理者
ページ数が少ないのに凄く濃厚だった。玩具修理者の正体気になる、、、。
酔歩する男
終始難しい。頭パンクしそう(笑)意味はほとんど理解できなかったけどとにかく小林泰三さんは凄い人ってことは分かった。「玩具修理者」よりもホラー感ないのに、最後めちゃくちゃ恐ろしかった。
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「酔歩する男」は「菟原処女の伝説」を忠実になぞりつつ、そこに数学などの要素を盛り込んでいるのが面白かった。
「菟原処女の伝説」で手児奈に特に執着していた菟原壮士と弩智壮土は、手児奈が自殺した後も黄泉の国まで追いかけて行き、最終的に菟原壮士と手児奈が結ばれるらしい。
名前などからも恐らく上記二人をモチーフにしている「酔歩する男」の小竹田丈夫と血沼壮士はどちらが手児奈と結ばれるのだろうかと想像を膨らませていたが…
タイム・トラベルの能力を身につけた小竹田のほうが手児奈に近づいていると思うが、血沼に語る小竹田の雰囲気からは手児奈に再会できた喜びは感じられない。
手児奈は自分達の意識が産み出した存在だという考えは、まだ出会えていないからか、それとも出会った上で何か悟るものがあったのか…
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玩具修理者
最後に固まった。面白かった!途中グロテスク。
酔歩する男
なんだかつらい。ややこしい。
途中で最後が分かってしまった…。
Posted by ブクログ
『玩具修理者』(短編)
どんな玩具でも直せる玩具修理者の元へ、死んだ子供を連れて行ったら────。
怪我や修理の描写や子供の純粋で異質な思考が不気味だった。
ラストにも驚かされた。
『酔歩する男』(中編)
私と大学の同級生であったと自称する年配の男と出会う。
「わたしと貴方は大学時代の親友であった。ただ、今も昔も無関係でしょう。」
男が語り出す内容と序盤の部分がどんどん繋がっていく様が面白かった。
SFチックな作品で難解な要素は多々あるが、この作品の世界観にどっぷり入り込む事が出来た。
Posted by ブクログ
そこまで怖くないからなんか物足りなさはある。
中身伏線回収とかあって楽しかった!
有り得なさそうすぎる設定なのにリアルな想像ができちゃったりして振り返ると面白いなーと。
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「玩具修理者」は、耽美な美しさと、気味の悪いグロテスクさが共存した良質な短編ホラー。途中で出会った友達の質問攻めがたまらない。最後の「実は主人公が弟」は予定調和だけど、綺麗なオチ。
「酔歩する男」は、今ではよく見る「死んでしまったあの子を時間を遡って助ける」というテンプレ展開なのだけど、そこに収まらない不気味さを持った不思議なSF作品。途中の物理的な説明は?だったけど、「脳に時間を制御する部位があり、そこを壊すことでタイムトラベルを可能とする」というのは面白いなと思った。
Posted by ブクログ
良い狂いっぷり!
正常と狂気の狭間で、何が正しくてなにがおかしいのか、その境目が曖昧に溶け出し、気づくと混乱の渦。
淡々と進む会話が泥沼にはまるかの如く、ずぶずぶ思考力を失わせ、新しい世界線に立たされる気分。
Posted by ブクログ
ホラー小説大賞短編部門を受賞した「玩具修理者」と独特の視点からタイムトラベラーを描いたSF「酔歩する男」の二編。
・玩具修理者
ある夏、喫茶店にて、男女の会話は幼いころに出遭った「玩具修理者」の思い出に移る。 なんでも直してくれるという事で近所で評判だったその人物にあの夏転落死してしまった弟を預けたというのだが・・・。
・酔歩する男
飲み屋で出会った男は、大学の同窓生であり、昔は親友であり、今は無関係だという。 私は目の前の男に何の覚えもない。 それでいて相手は私のことをよく知っている。 大学時代の過去の話とその顛末を聞くうちに私の意識は揺らぎ始める・・・。
独特なSFじみた非現実的設定と小林氏のどろっとした描写で狂気的なホラーとして仕上がっている。 特に酔歩する男での時間遡行の斬新な捉え方には感嘆。
Posted by ブクログ
「玩具修理者』
第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞したデビュー短編集。
ホラー小説として紹介されますが、単なる恐怖譚に収まらない、不条理で寓話的な世界が広がっています。
冷静で冷酷、どこか禅問答めいた雰囲気すら漂い、読み手をじわじわと追い詰める。
ホラーという括りでは説明しきれない不思議な読後感が残りました。
とりわけラストの収め方が好みで奇妙な納得と戦慄が同居します。
クトゥルー神話的存在の名前を、あえて ひらがな表記 で使われているようです。よほど好きでないとわからないかも。
『酔歩する男』
会話劇のような形で進みながら、登場人物たちが心理的に追い詰められていく短編。
ホラー小説でありつつ、強いSF色を感じます。
時間のずれ、人間関係のずれが次々と現れ、読者は不可解なパラドックスに巻き込まれていく。
筋立てを無理に理解しようとすればするほど、かえって不快感や不安が増していく――その感覚こそが本作のホラー性だと思います。
この作品は、瀬名秀明『パラサイト・イヴ』と同じ第2回日本ホラー小説大賞から生まれています。
瀬名作品が「科学的リアリティに根差したサイエンスホラー」なら、小林作品は「人間存在が不気味に映る論理的ホラー」。
同じ年に違う方向性のホラーが認められて楽しさが増えたんですね。
Posted by ブクログ
玩具修理者、いや〜なグロさが良かった。
酔歩する男、難しい……。でも、意味のわからない悪夢をずっと見続けてるような不快感があって、玩具修理者とは別ベクトルで怖くて良かった。
Posted by ブクログ
表題作「玩具修理者」と「酔歩する男」という二編が収録。いずれも「死」という絶対的な境界線を踏み越えようとする物語であり、死体の再生や蘇生というSF的発想を出発点としながら、その発想が徐々に狂気へと変質していく様が描かれる。狂気のホラー短編集。
「玩具修理者」は、壊れた銃やおもちゃ、さらには死んだ猫までも“修理”してしまう謎の男が登場するホラー作品です。
死体の損壊した部位を銃の部品で補うなど、修理の定義が常軌を逸しており、生き物と無機物の境界が曖昧になっていく過程が濃密に描かれています。短いながらもテンポよく、異様な存在感を放つ“修理者”のキャラクターが魅力的で、ブラックユーモアと不安が共存する印象的な一作でした。
対して『酔歩する男』は、よりSF色が強い作品でありながら、その飛躍した発想と奇妙な論理展開により、むしろホラーとしての側面が色濃く感じられます。「あなたは初対面だが、私はあなたと親友だった」という不可解な一言から始まる物語は、過去と未来、記憶と因果が入り乱れる異常な世界に読者を放り込みます。しかしながら、物語中盤以降の設定説明がやや冗長で、思考実験的な内容に引っ張られすぎて物語の勢いを削いでしまっている部分も否めません。論理性を保ちながらも突飛すぎる展開は、理屈でねじ切られたホラーとも言うべき独特の読後感を生み出しています。
両作に共通するのは、「生と死」「人間と物質」といった境界の揺らぎに対する問いかけです。しかし、それは哲学的な思索に留まらず、極端な状況に置かれた人物たちの狂気を炙り出すための装置として描かれており、結果として読む者の感性をじわじわと侵食してきます。
総じて、『玩具修理者』はホラーと哲学とSFが絶妙に混ざり合った異色の短編集であり、特に「玩具修理者」は短編としての完成度も高く、怪しげでダークな世界観を好む読者には強くおすすめできる一作です。対して「酔歩する男」は、その独特な論理展開に付き合えるかどうかで評価が分かれるところでしょう。読者を選ぶ作品ではありますが、その異様な世界観に触れてみたい方には、ぜひおすすめしたい一冊です。
Posted by ブクログ
しっかりしたストーリー。世にも奇妙な物語で実写にしてほしい。2作収録されているが、ともに良。玩具修理者は短時間でモヤっとする事なくホラー読みたい時におすすめ。酔歩する男はSF小説が好きな方には合うと思います。私は酔歩する男は長かったです。
Posted by ブクログ
個人的には「玩具修理者」よりも「酔歩する男」の方が面白かったです。
途中かなり難しい話が続いたりする場面もありますが読み進めれば読み進めるほど自分の精神も持っていかれそうな不吉さや不気味さを感じました。
Posted by ブクログ
2編からなる短編集。
表題作は短いながらもインパクトのある面白さでした。ゾワっとしました。
もう1編は、私には中々に難解で、一つ一つ整理をしながら読まないとまとまりませんでした。登場人物は少ないのに、誰が今話してるんだろう?となり混乱しました。が、終わってみると面白かったですです。
Posted by ブクログ
ずっと意味わかんない文法で意味わかんないこと言ってて、でも先が気になるこの感じなんかアリス殺し思い出すな〜とか思ってたらアリス殺しの作者だった
酔歩する男はガチでSF、時かけ系でむずい
時系列行ったり来たりを文法めちゃくちゃで言われると理解に時間かかる
Posted by ブクログ
玩具修理者
ネフェルピトーの念の元ネタ。グロ描写も怖いが、ラスト1ページで主人公も修理されていたことが分かりぞっとする。
酔歩する男
ホラーというよりは筒井康隆風のSF。話としては分かるようで煙に巻かれた感じもする。
Posted by ブクログ
表題作はグロテスクで不条理なホラーですが、まだ理解できるという感じ。
二本目の「酔歩する男」は本当にこれは読んでもいい話なのかと不安になるような怖さでした…
Posted by ブクログ
喫茶店での衝撃のやりとり。
壊れたものは決して治らない。
タイムトラベルする話は難しい。
何が正解なのか、頭が混乱する。
もう少し読解力がほしい。