【感想・ネタバレ】玩具修理者のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

結局玩具修理者の素性も発する言葉の意味も何もわからないまま終わるのめちゃくちゃ怖い。クトゥルフ由来との事。
なんとなく、喋り方に葛葉ライドウシリーズのイッポンダタラを想起させる玩具修理者、ちょっと好き。

酔歩する男、タイトルの印象から夢遊病の追体験のような、足元の覚束無い所感のあるお話だろうか、と思いながら読み始めたが全然真逆であった。そして切ない。主人公たちの記憶に何も担保がないが、手児奈の存在だけは確実に漂っている…
結局手児奈って実在したのか?という点で、今となっては確実な事は何もわからなくなってるの恐ろしい。

0
2024年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「玩具修理者」目当てで読んでみたが、読後は「酔歩する男」の方が印象に残った。ただただ「タイムトラベルなんてするもんじゃない。」という気持ちになった。

0
2023年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ


がっつりネタバレ注意。

2023/10/23
1ミリも覚えてなかったので再読。(おれの人生こんなことばっかりや。本自体見つからないから再購入した。前のレビューが2014年なので、俺の記憶は9年以内に消え失せることがわかる)

「玩具修理者」と、「酔歩する男」の二篇を収録。

◆玩具修理者
夕暮れ時、喫茶店で話をする男女。女はサングラスをしている。
男「なぜいつもサングラスなんだ?」女「いつもじゃない。夜はしてない時もある」男「だいたいいつもしてるじゃないか。なぜ夜もしなきゃいかない」女「子どもの頃の事故のせい」男「そんなこと今まで一度も言わなかったじゃないか」……。

女は、子どものころの事故の話を語り始める。
子どもの頃、近くに玩具修理者が住んでいた。石で作った小屋のような家に住んでいて、何歳なのか、男か女か、何人か、分からない。一応日本語は通じるが、時折り変な言葉を叫ぶ。近隣の子どもたちは、玩具が壊れた時、親に怒られないようこっそり玩具修理者のもとへ持って行く。玩具修理者にどこをどう直して欲しいか頼めば直してくれる。その時修理者は、複数の玩具を同時に分解しごちゃ混ぜにしてから組み立て直す。部品は混在してしまうだろうが、不思議なことにすべて元通りに直るのだ。
ある暑い夏の日。女は、10歳にいかないくらい。まだ赤ん坊である弟の道雄をおんぶしてお使いに行くところだった。両親は厳しく、弟の世話をしっかりできなければ厳しい折檻を受けるのだ。歩いていると、前から知り合いの女の子がやってくる。その子は死んだ猫を引きずっている。「どうしたの?」「子猫が動かなくなったから玩具修理者のとこへ持ってくの」
子猫が生き返るなんて思わないが、無視して女は歩き続けた。歩道橋を登るとき、あまりの暑さで朦朧とし、階段を踏み外す。気がつくと、全身から血が流れていた。おんぶしている弟は、息をしていない。女は、急ぐ。
玩具修理者の家へ着いた。ふすまから出てきた玩具修理者に、元の形に、動き、話し、食べ、飲み、汗をかき、泣き、考え、感じるよう治してくれと頼む。玩具修理者はやはり、複数のおもちゃたちを集めて分解を始める。弟も、毛の一本一本まで丁寧に分解されていく。そして再構築。弟は蘇った。
しかししばらくして、弟が成長しないことが発覚する。病院に行っても原因は分からない。姉は、あらためて玩具修理者に修理を依頼した……。

男「そんなもの、嘘だ妄想だ」
女「いいえ、すべて本当のことよ」
男「二度目の修理はどうなったんだ」
女「途中で帰ったから見てないわ」
男「そんなバカな。なぜそんなことをする。やっぱり嘘なんだろう」
女「道雄が泣き出したからよ。カッターナイフで皮膚を切った時に泣き叫んだの。さすがに見てられず帰ったの」
男「……サングラスの話は結局どうなったんだよ、なんの関係もないじゃないか」
女「私、歩道橋から落ちた時に顔の四分の一がなくなったの。だから、わたしも修理してもらっていたのよ。私が気を失っている間に。さあ、見て!私の瞳は強い光を受けると細くなるのよ、猫の目だから」
男「……姉さんはいったい何者なんだ?」
女「道雄こそ何者なの?」

これでおしまい。約40ページの掌編。とてもよくできている。


◆酔歩する男
主人公は血沼壮士(チヌソウジ)というサラリーマン。おそらく40〜50歳。血沼の独白形式の短編。
血沼は、時々、馴染みの店にたどり着けないことがある。いつも行ってるのに、なぜか歩いてみても見つからない。次の日行くと見つかったりする。
ある時、酒場で帰りのタクシーを待っている時、同年代くらいの男が話しかけてくる。「私を覚えていますか?」「いいえ、人違いでは?」「そうですか。私はあなたを覚えていますが、あなたが覚えていないのであれば私たちは無関係でしょう」
血沼は、そんな記憶ひとつもない。しかし小竹田丈夫(シノダタケオ)というこの謎の男は、血沼のことをよく知っている。そして、血沼の知らない2人の過去を語りはじめる。

かつて2人は大学の同窓生で、同じ研究室に所属していたという。ある時シノダは、研究室に新しく来た女性、菟原手児奈(ウナイテコナ)と付き合うことになる。しかし勝手な嫉妬心からテコナに別れを告げる。数ヶ月後?テコナは血沼と付き合う。シノダは、今もテコナを忘れられず、テコナもきっと自分を愛していると信じている。ちょっとボタンの掛け違いをしてしまっただけだと。それを聞いた血沼にとってはたまったものではない。テコナに話したところ、3人で会おうとのこと。そこで誰を選ぶか発表すると。
変な提案だがそれを飲み、待ち合わせ場所に向かう2人。しかし、テコナは電車に轢かれて死んでしまう。ふらふらと吸いこれるように落ちていったという。絶望する2人。
葬儀から一月。廃人のようになったシノダが正気を取り戻し、血沼のもとを訪ねる。シノダ同様、血沼もショックから立ち直っていない。血沼は、テコナが死んだのはお前のせいだとシノダを責め、ひとつの提案をする。「医学部への編入試験を受けろ。俺も受ける」。提案の理由は分からないままに、シノダはつぐないのため、要求を受け入れる。しかし合格したのはシノダだけだった。
血沼は言う。「お前は医学でテコナを救う道を探せ。おれは今の学部で別の道を探す」「血沼、もうテコナは死んでしまった。命を呼び戻すことはできない」「お前が殺しておいて、簡単に諦めるのか。俺は、あの事故の日、テコナの一部を入手した。クローン技術が使えるはずだ」。
血沼の手には、ビニール袋に入った謎の個体/液体があった。シノダは絶句する。「いいかシノダ、俺は俺のやり方を試す。俺が失敗したときに備えてお前は医学を研究しろ」。
三十年後。シノダは医者で、大学教授になった。そこに血沼が現れる。
「研究は進んだか?まだならまぁいい、そんなに簡単ではないからな」。血沼は、30年間同じ思いで狂気の研究を続けていた。
「俺は30年間考え続けた。テコナを助ける道は大きく2つ。ひとつはクローニング技術、もうひとつは時間逆行だ。医学部へ行ったのはお前だから、おれはクローンでなく時間逆行を研究した」。

絶句するシノダ。血沼はまたも狂気の提案をする。「脳の障害で時間感覚が狂ってしまう患者がいる。三半規管が損傷すると平衡感覚が狂うように、特定の脳の部位を破壊すれば、時間感覚が狂う。これを意図的に行い、過去に戻る」。
大学の装置を使い、シノダは血沼の言う通り、血沼の脳をいじる。しかし処置後、血沼に変化はない。血沼は、プログラムのバグだ。バグを直しもう一度やる。次はお前だ、と。
シノダはそれを受け入れる。処置において、すべての色が知覚され、過去の記憶が津波のように押し寄せる。永遠のように長く感じられる処置が終わり、装置からシノダが出てくるが、やはり変化ぎない。時間は通常通りに感じられる。
失意のなか互いに帰宅し、眠る。翌朝起きると、シノダは1ヶ月先の未来で目覚めた。次の日は、また別の過去で目覚めた。どうやら、眠るたびに数ヶ月の間を過去や未来にジャンプし続けてしまっているようだ。ある日目覚めて研究室に赴くと、血沼が同じ状態になっていると言う。ただし、ジャンプするたびに別の世界に飛んでいるようなもので、もう一度どこかで会っても、それは今の俺とは別の意識の俺であり、もう二度と会うことはないかもしれないという。
シノダはその後も何度もジャンプを経験するが、数千回に一度、大跳躍が起きることがわかった。何十年も過去あるいは未来へと飛んでしまうのだ。あるときは小学生、ある時は老人、胎児……。
自殺をしても、また別の時間へ飛ぶだけ。
話を終えたシノダは言う。
「主観的にはもう、何万年も生き続けています。絶望さえも枯れ果てました。いいですか血沼さん。タイムトラベルは能力ではない。能力の欠如です。時間認識、時間制御、その他いろいろな能力を私は失ったのです。あなたはいかがですか?本当に街は昨日のままですか?行きつけの店の場所は変わっていませんか?友達の中に見知らぬ人はいませんか?……」「私とあなたは、あの日病院で脳に処置を行いました。あの処置が原因なのです。テコナは、あれが原因となって生じた存在であり、だからこそ彼女はすべてを知っていた、いまはそう思えるのです」
血沼は、もう普通には戻れなかった。自分に声をかける同僚の顔を見られなかった。相手は私を知っていて、私は相手を知らないかもしれない。

というお話。
タイムトラベルものの宿命だが、後半になるほどなかなかややこしい。原因と結果が入れ替わる。また、最後の最後に、血沼の家にいる妻が、テコナであることが明かされる。そうなるともうわけがわからんが、とにかく圧倒される物語である。


2014.08.04
すげぇ。
玩具修理者は、上質な怪談って感じ。
酔歩する男は、読者の理性とか当たり前に思ってる現実を揺さぶろうとする話。
どんどん読める。どうなるんだ?って強く思うから、ページを進めるのがまったく苦にならない。

0
2023年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1.玩具修理者
よくある話で普通だった.最後の文まわりが少し腑に落ちないにはなった.
2.酔歩する男
凄い面白いになった.時間に対しての概念を根底から考え直すきっかけにはなった(?).この物語の構造にケチをつけようとしても、結局自分主観の世界で、逆にいうと視点がそれしか無いので、物理法則などは第三者視点から見ると当てにならないのはそれはそうだし、かなりメタだなと思った.(波動関数が発散するという体で押し通すなら意識が過去に戻った時に引き継がれるのは理屈的におかしく無い?にはなった.)最近は量子力学の一部の理論を切り取って(マルチバースなども含む)都合よく脚本を描いたものが映画や小説などでよく見られてうんざりしていたけど、この話なら良いなぁにはなった.(けど彼女の正体などはかなり謎でそれは説明されることを想定してないのではと思った.また暇な時に考察サイトでもみようかな...)(ところで..最近読んだ姑獲鳥の夏でも同じようなことが本質にあったなということを思い出した.)色々書いたけど2話目にこんなに言及しているということは少なからず心には残った素晴らしいものだということ...
日本語が下手すぎて思ってることと全く違う書いてるになってる(やっぱり、意識の繋ぎ直しならやり直し時(つまり波動関数が発散)に記憶が引き継がれてるのはおかしい)

0
2023年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・玩具修理屋
淡々と話を進めていくから不気味さがあった。
「クリーピーパスタ」にある「おチビちゃん」を思い出した。
最初に修理屋に行くところがグロかった。

・酔歩する男
話の始まりからは想像できなかった展開になって面白かった。
タイムトラベルに対してのイメージが明るいものから暗くなった。

0
2023年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

玩具修理者
ネフェルピトーの念の元ネタ。グロ描写も怖いが、ラスト1ページで主人公も修理されていたことが分かりぞっとする。

酔歩する男
ホラーというよりは筒井康隆風のSF。話としては分かるようで煙に巻かれた感じもする。

0
2024年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題『玩具修理者』『酔歩する男』ともに
『世にも奇妙な物語』のような
不安な気持ちになる作品だった。

特に『酔歩する男』は
ホラーというよりもSF。
タイムトラベルの独自解釈が
非常に楽しめ、厭な不安感も秀逸。
同著の他作品も読んでみたい。

0
2023年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

玩具修理者
短い中にちゃんと纏まっていてなおかつ読みやすくちゃんとホラーだった。
グロテスクな生々しい描写、ラストに回収される伏線、子どもの頃の回想らしい歪に気づかない気持ち悪さ、とても良かった。
読みたいホラーはこういうのだよね。こういうのでいいんだよ。って感じ。

酔歩する男
タイトルになってる玩具修理者より長く期待していたけど個人的には少し残念。
というのも中身はとても面白かったけどその実ホラーだと期待していた人はガッカリする内容かもしれない。
これはホラーとSFの割合が1:9くらい。

0
2023年08月04日

「小説」ランキング