小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人生で初めて読んだホラー小説。
表題作『玩具修理者』の短編集とは思えない破壊力と『酔歩する男』の読書初心者ながらに感じた、「これ、なんか嫌」という感覚。
数年ぶりに読んだが、その読み心地は色褪せるどころか、昔抱いた感覚以上に、より凶々しい笑顔で迎えられるかのような、恐怖を感じた。
『玩具修理者』
「小林泰三」がこの作品の時点で出来上がっている。
いちいちグロい、いちいち会話がまどろっこしい、この読めば読むほど味がする「小林泰味」が50頁足らずの短編に濃縮されている。
読んだことない人は是非、登場人物である男の視点で読んでいただきたい。
『酔歩する男』
SF強めのホラー。
昔に読んだ時は上記 -
Posted by ブクログ
好き嫌い別れる感じだと思うけど私は大好きだった。
会話のみで進むパートが多くてかなりテンポ良く読める。
夢と現実を行ったり来たりするような構成で、次は何が起こるのか、誰がどんなことを言うのか気になって一気読みだった。
不思議の国での会話がほんとにおもしろい。
直前の記憶しか残らなければこんな会話になるのかな。
基本ずっとふざけた調子だから、グロ描写は割としっかりあるけどそれすらコミカルで、この残酷さをズーンとならずに描けるの凄いなと思う。
真面目に想像しちゃうと結構きついけど、そうする隙を与えない軽さとスピード感。
不思議の国のアリスを知った上で読んだ方が楽しめるだろうけど、知らないキャラクタ -
Posted by ブクログ
最後やりすぎな程にトラウマを植え付けられて読んでるだけで苦しくなってしまいました。
メルヘン殺しシリーズの中で個人的に1番楽しく読むことが出来ました!常識外れという言葉が1番似合う小説だと思います。ミステリーでは常識外れが当たり前ですが、こんな非常識を知ってしまうとこの本の沼から抜け出せなくなってしまいます(^^♪♪
アリス殺しを最初に読んでから、小林泰三先生の癖を理解しつつ推理しながら読むのですが、相変わらず思い込ませるのがとても上手で、毎回「そうだったの?!」と驚いてしまいます。最初から確かに違和感はあったのにしっかり策略にハマってしまってお手上げ状態です。自語りですが、私はとても頭が悪 -
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ネタバレこの真綿で首を絞める狂った論理が小林泰三!一話目を読んでそういうことか〜と思いながら楽しみ、きっとラストにひっくり返してくると予想してたら期待通りだった。
・アイドルストーカー
依頼人を狂った中年男性に疑わせておいて本物のアイドルに反転するラストがいい。この話自体が罠になって次以降の話にバイアスかけてくる構成が好き。ストーカーエピソードはめちゃくちゃ怖い。
・消去法
大掛かりなドッキリ。そんな馬鹿なって思うしやりすぎだろと思うけどそれでも超能力より科学的。
・ダイエット
こんなにわかりやすく罠を張られて騙されるんだ……と二度読みでショックを受けた。冷凍ピザをそのままいくの……?
・食材
話を -
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「家が呼ぶ」に大興奮して以来、すこしずつ朝宮運河さん編纂のアンソロジーを買い集めている。今作も大興奮!
✂-----以下ネタバレです-----✂
はじめに収録されたタイトルドンピシャの「恐怖」は、短くもラストにドキッとする極上の作品。最初からこの作品…もう期待しかないが、続くは小松左京「骨」。じっくり掘り進められた恐ろしく壮大な情景が、蘇る記憶とともに一気に駆け抜ける大迫力に感動…。
「夏休みのケイカク」「正月女」は現代の割と身近な景色を思い浮かべつつ読み進めていたけど、オチに違ったカラーのダークさがあり面白い。
今回すごく好きだった「ニョラ穴」は、SFチックな作風。日本のこ -
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はじめての小林泰三さん作品。
「脳髄工場」という度肝を抜くタイトルと、一度見たら忘れられないカバーイラストに惹かれて手に取りました。
短編集でかなり短い(数ページの)お話から、結構長い話まで様々なものを詰め込んだ、欲張りセットのような様相。
私のお気に入りは、
・やはり何と言っても表題作の「脳髄工場」
・無気味さ、ホラー要素が際立つ「影の国」
・ループ物が大好物なので「声」
・ホラー×SF要素満載の「綺麗な子」
です。
「C市」も「わけのわからなさ」が好きだと感じましたが、この「わけのわからなさ」は自分が科学やら物理やら、そう言ったものに疎いせいもあるかな? と挙げるのは保留に(笑)