小林泰三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
短編の『玩具修理者』と中編の『酔歩する男』の2編からなります。
『玩具修理者』は、お洒落なカフェで読むものではなかった…!グロテスクな描写があるので、食事の合間に読むのはおすすめしません。
よく分からない素性の者が、よく分からない言葉を叫びながら修理する。たとえ死んだ猫でも。
あらすじだけでもとても興味を惹かれますが、面白いのが、玩具がたくさん集まらないと修理しないこと。すべての玩具のパーツを外して、なんと別の玩具のパーツとごちゃ混ぜにして修理するんです。…怪しいニオイがぷんぷん。
また、玩具修理者は正確だけど馬鹿正直すぎるところがあります。どんな風に直して欲しいか伝えるのですが、言 -
Posted by ブクログ
ネタバレメルヘン殺し第1弾
大学生の栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
不思議の国で起こる連続殺人?事件。しかも、不思議の国での死と現実世界での死は繋がっているようだ。
最重要容疑者となってしまったアリスはトカゲのビルと共に事件の真相を追う。
そして、現実世界からも栗栖川亜理は同じ不思議の国の夢を見ている同級生の井森と共に事件の真相を追う。
最初のうちは不思議の国の住人たちの会話の進まなさに「えっ!?何これ!?」「いやいや、まさしく“不思議の国のアリス”の世界観じゃないの〜もうちょっと頑張ろう」と自分を励ますように読んでいました。
しかし、不思議の国の住人たちの会話 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「酔歩する男」は「菟原処女の伝説」を忠実になぞりつつ、そこに数学などの要素を盛り込んでいるのが面白かった。
「菟原処女の伝説」で手児奈に特に執着していた菟原壮士と弩智壮土は、手児奈が自殺した後も黄泉の国まで追いかけて行き、最終的に菟原壮士と手児奈が結ばれるらしい。
名前などからも恐らく上記二人をモチーフにしている「酔歩する男」の小竹田丈夫と血沼壮士はどちらが手児奈と結ばれるのだろうかと想像を膨らませていたが…
タイム・トラベルの能力を身につけた小竹田のほうが手児奈に近づいていると思うが、血沼に語る小竹田の雰囲気からは手児奈に再会できた喜びは感じられない。
手児奈は自分達の意識が産み出