小林泰三のレビュー一覧

  • 玩具修理者

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    『玩具修理者』(短編)
    どんな玩具でも直せる玩具修理者の元へ、死んだ子供を連れて行ったら────。
    怪我や修理の描写や子供の純粋で異質な思考が不気味だった。
    ラストにも驚かされた。

    『酔歩する男』(中編)
    私と大学の同級生であったと自称する年配の男と出会う。
    「わたしと貴方は大学時代の親友であった。ただ、今も昔も無関係でしょう。」
    男が語り出す内容と序盤の部分がどんどん繋がっていく様が面白かった。
    SFチックな作品で難解な要素は多々あるが、この作品の世界観にどっぷり入り込む事が出来た。

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    2024年10月22日
  • 幸せスイッチ

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    ネタバレ

    「この本超危険」
    表紙の謳い文句に誘われ読んでみた。
    小林泰三さんの作品は初めてでしたが、とんでもなく奇抜な本でした。
    近づいてくるメリーさんに対抗するために、さとるくん•テケテケ•カシマさんを呼び寄せ追いかけっこさせるというクソ訳わかんない話…「怨霊」
    娯楽水道電気食事医療等全てにできる限りお金を使わずに、貯金残高の数字が増えることこそが幸せと捉える女の話…「勝ち組人生」
    私とスマホどっちが大事?私と車どっちが大事?私とあなたどっちが大事?弁解がひたすら通じず大事なものが壊され続けるという、愛の試験をひたすら受け続けさせられる男の末路は…「どっちが大事」
    腹痛を訴えているという子供の元に駆け

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    2024年10月20日
  • ティンカー・ベル殺し

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    メルヘン殺し最後の作品。ティンカーベルを殺したのは誰か?犯人がわかった時、つい前のページを遡って自分がどこで錯覚したのか確認してしまいました。登場人物が多いのもありますが、ビルを始めとした人物たちの会話の複雑さがより読者も惑わせる世界観はすごく引き込まれます。
    現実世界でまさかこいつはあのキャラクターなのか?と考えていると、え!まさかのそっち!?二転三転ひっくり返されてより複雑さがシリーズの中で多いと思います。
    そして最後、恨めしく思うあの人がスカッとする最後で気持ちよかった(笑)
    最後の言葉は私の中でまた惑わされる言葉に感じましたが、これは読む人によって解釈がかなり違う場合もあるんじゃないで

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    2024年10月10日
  • 家に棲むもの

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     どこか異常な世界観で描かれる七つのホラーが収録された短編集で、起こっていることはめちゃくちゃな筈なのに何故か部分的にだけど納得してしまうような不気味さが終始漂っていた。『家に棲むもの』『お祖父ちゃんの絵』が特にズシンと来た。

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    2024年10月06日
  • 家に棲むもの

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    不気味で恐ろしく、異様な世界に惹き込まれ、グロすぎな話もあり、面白かった。「家に棲むもの」「お祖父ちゃんの絵」がとくに怖かった·····。

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    2024年10月03日
  • 殺人鬼にまつわる備忘録

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    読み始めたら止まらないくらい一気に読み進めた!
    二吉ときらどっちの目線でも語られてるところとか、ハラハラしておもしろい!

    けど、直接対決のとこから、理解が追いつかなくなってきて、スッキリしたようなスッキリしてないような…?最後の女はあの女なのか引っかかるし…
    何も誰も信じられなくなる怖い

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    2024年09月29日
  • 肉食屋敷

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    ネタバレ

    表題作が好きだ。
    「ジャンク」には小林泰三節が炸裂していた。

    短編は苦手だけど全てがあっさりしていて読みやすい。

    文体や浸透する速度はあっさりしているものの、濁ったどろどろの泥水みたいな澱がゆったりと心に残り落ちているような感覚が続くのが、著者の良さであると思う。

    さっぱりと重いので混同してまた読みたくなる。

    相変わらずクスッと面白い要素もあり、好感触。

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    2024年09月27日
  • ティンカー・ベル殺し

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    ピーターパンがサクサクっと人の命を奪っていく。しょっぱなから衝撃を受けつつ始まったお話。
    ティンカーベルが残酷で無残な死を遂げ、物語は進んでいく、びっくり仰天なミステリー作品でした!読み応えあり!

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    2024年09月22日
  • 見晴らしのいい密室

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    後半のSF4編が素晴らしい。
    観測不能の侵略者との戦いがスリリングな『忘却の侵略』が特に面白かった!

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    2024年09月02日
  • 日本ホラー小説大賞《短編賞》集成1

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    小林泰三『玩具修理者』

    いや〜いいホラー。ゾクッとはしないが、読んでいてドキドキしてどんどん読んじゃう。話の運びから設定まで良い作品でした。

    沙藤一樹『Dーブリッジテープ』

    ぁぁぁぁあああ!!!いやぁぁぁぁああ!!って描写が多い。イチイチムカつく金持ちズとあんまりにも可哀想な子供達。足と車のドアの部分とかバスの中で思いっきり顔を顰めてしまいました。二人とも私が覚えててやるからな!!!いやほんとに!!!

    朱川湊人『白い部屋で月の歌を』

    ホラー、というよりかは幽霊の出てくる小説というイメージ。ただ最後の終わり方とか、主人公の設定とかがすごい!!!良い作品でした。

    森山東『お見世出し』

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    2024年08月31日
  • 殺人鬼にまつわる備忘録

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    ネタバレ

    そうか。俺は話し方教室に通っているのか。

    目を覚ました田村二吉は目の前に置かれたノートに「記憶が数十分しかもたない」「今、自分は殺人鬼と戦っている」と記されているのを見る。記憶がもたないから信じられるのはノートだけ。そんな主人公は、人の記憶を自由に改ざんできる能力を持つ殺人鬼に勝つことが出来るのか。


    主人公の記憶は不確かかつ、記憶改竄ができる能力者が登場するからには、記憶より記録の方が正しいだろう。…と思って読んでいたのに、記録の方も改竄されているなら何を拠り所にすれば?
    北川先生と結ばれたと思ったら夏生?徳さんはいい人かと思ったけど、やってることはキラと同じ?もう何も信じられない…!

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    2024年08月23日
  • 肉食屋敷

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    『玩具修理者』、『人獣細工』、『AΩ 超空想科学怪奇譚』に続く、角川ホラー・小林泰三作品の新装版にて。表題作『肉食屋敷』を含む4編が収録されている。

    『肉食屋敷』
    「古生物を復元するための研究によって復元されてしまった、おぞましき地球外生命体―――。」

    著者お得意の、ラヴクラフト的コズミックホラー。展開は予想の範囲内で特に意外性はなかったが、分かっていてもゾクッとさせられる生々しくおどろおどろしい筆致は流石のもの。SAN値が削られていく感覚が堪らない!

    『ジャンク』
    「人体が生体部品として売買される世界。生体部品として売り捌くために人々を襲うハンターと、そんなハンターを狩るハンターキラー

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    2024年08月13日
  • 玩具修理者

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    そこまで怖くないからなんか物足りなさはある。
    中身伏線回収とかあって楽しかった!
    有り得なさそうすぎる設定なのにリアルな想像ができちゃったりして振り返ると面白いなーと。

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    2024年08月02日
  • 見晴らしのいい密室

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    小林泰三さんらしく軽快かつ煙に巻かれているような会話劇と綿密なロジックが両立しており、素晴らしい短編集だった
    お気に入りは「忘却の侵略」と「未公開実験」
    「忘却の侵略」は一種の能力バトル物のような展開で、青春らしいラストも良
    反対に「未公開実験」はコミカルな掛け合いとは裏腹に少しヒヤリとさせるラストが印象深く、作中だけでなく現実の我々へ想起させるものがあった

    「探偵助手」のとあるギミックは、こちらの問題なのか正しく機能しなかったためご注意

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    2024年07月18日
  • 殺人鬼にまつわる備忘録

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    小林泰三さんの作品、初めて読みました。
    ミステリーにSFやサスペンスの要素が加わった作品でとても面白かったです。
    一冊しか読んでいませんが作者独特の世界観を感じました。他の作品も読んでみたいです。

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    2024年07月08日
  • クララ殺し

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    ネタバレ

    まさか3人とも偽物のアーヴァタールだったとはな...
    『アリス殺し』でアーヴァタールを偽る人がいたにも関わらずまた騙されてしもた。徳さんがスキュデリだってことは分かったのに...悔しい...
    登場人物全然覚えられなかったので、くるみ割り人形を履修してからもう一度読みたいですな。
    最後のシーンで、『アリス殺し』の前の話なのか?と思ったけど、レッドキングがまた新しい夢を見てたってこと?

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    2024年07月07日
  • 人獣細工

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    ネタバレ

    人獣細工
    後味がここ最近読んだ本の中で1番悪かったです。
    最後のあの1文で全てがひっくり返りました。
    1番最後の他にも全てにおいて狂ってました。
    上手く言葉が出ないけど言えることは狂ってる。

    『本』も表現がとてもリアルでした。
    血濡れた表現がとても上手かった。

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    2024年07月07日
  • 玩具修理者

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    ネタバレ

    「玩具修理者」は、耽美な美しさと、気味の悪いグロテスクさが共存した良質な短編ホラー。途中で出会った友達の質問攻めがたまらない。最後の「実は主人公が弟」は予定調和だけど、綺麗なオチ。

    「酔歩する男」は、今ではよく見る「死んでしまったあの子を時間を遡って助ける」というテンプレ展開なのだけど、そこに収まらない不気味さを持った不思議なSF作品。途中の物理的な説明は?だったけど、「脳に時間を制御する部位があり、そこを壊すことでタイムトラベルを可能とする」というのは面白いなと思った。

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    2024年06月11日
  • 脳髄工場

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     11編の短編、掌編が収録されており、どの作品も、今自分が抱いている価値観や常識がどれほどあやふやなものかを鮮明に表していることに「よくこんな狂った世界観がかけるなぁ。」とホラーの完成度と相まって驚いた。特に『脳髄工場』『友達』『綺麗な子』が面白かった。

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    2024年06月08日
  • 安楽探偵

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    ネタバレ

     探偵が事務所から一歩も出ることなく依頼人から話を聞くだけで真相を解き明かす安楽椅子探偵形式のストーリーで助手がシャーロック・ホームズのワトソンのように書き記していく展開が続いたかと思いきや、最後の『モリアーティ』で全ての事件が根本から覆される描写に驚き「だから『モリアーティ』なのか。」という納得感もあった。全体的に会話文が多く読みやすいが、だからこそどこが伏線かを巧妙に隠している部分も良かった。ただ、落ちが少し弱いとも感じた。

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    2024年05月28日