小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「玩具修理者」と「酔歩する男」の2篇。
どちらも独特な話だった。
読後は、遠い昔の思い出を、毎日会う人を、日常の風景を疑ってしまいそうになる。
「玩具修理者」では、子どもが見た暑い夏の白昼夢のような体験について、会話する二人の関係が分かると、ぐっと気持ち悪くなる。
「酔歩する男」では、手児奈をめぐってタイムトラベルをすることになった小野田の混乱と絶望と空虚感が生々しい。小野田の語る因果律や波動関数の話が、時間の概念をぐちゃぐちゃにしてくるのが気持ち悪い。
読後は、しばらくモヤモヤしてぼんやり考えこんでしまった。
「物語を聞いたからには、その物語の語り手は実在しなければなら ─── -
Posted by ブクログ
短編の『玩具修理者』と中編の『酔歩する男』の2編からなります。
『玩具修理者』は、お洒落なカフェで読むものではなかった…!グロテスクな描写があるので、食事の合間に読むのはおすすめしません。
よく分からない素性の者が、よく分からない言葉を叫びながら修理する。たとえ死んだ猫でも。
あらすじだけでもとても興味を惹かれますが、面白いのが、玩具がたくさん集まらないと修理しないこと。すべての玩具のパーツを外して、なんと別の玩具のパーツとごちゃ混ぜにして修理するんです。…怪しいニオイがぷんぷん。
また、玩具修理者は正確だけど馬鹿正直すぎるところがあります。どんな風に直して欲しいか伝えるのですが、言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「酔歩する男」は「菟原処女の伝説」を忠実になぞりつつ、そこに数学などの要素を盛り込んでいるのが面白かった。
「菟原処女の伝説」で手児奈に特に執着していた菟原壮士と弩智壮土は、手児奈が自殺した後も黄泉の国まで追いかけて行き、最終的に菟原壮士と手児奈が結ばれるらしい。
名前などからも恐らく上記二人をモチーフにしている「酔歩する男」の小竹田丈夫と血沼壮士はどちらが手児奈と結ばれるのだろうかと想像を膨らませていたが…
タイム・トラベルの能力を身につけた小竹田のほうが手児奈に近づいていると思うが、血沼に語る小竹田の雰囲気からは手児奈に再会できた喜びは感じられない。
手児奈は自分達の意識が産み出