小林泰三のレビュー一覧

  • 人造救世主 アドルフ・クローン

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    ネタバレ

    結局最後まで表紙の人は誰なのかわからなかったんですが。(1巻の表紙は葵かな…?)最後まで楽しませてもらいました。一気に読んでしまう。
    超能力対決面白いです。そして全編を通して薄っぺらい人物像とか安っぽい少年漫画風味とか丸ごと好きでした。小林さんらしいウィットにとんだ作品だと思います。
    純粋な能力勝負にならず駆け引きや知能戦が入ってきて、どっちに転ぶかわからないところがいいですね。
    小林流では「何もないところから勝手に何かを発生させる」という理はありえず、雷にしろ氷にしろ論理的な物理学のアプローチを入れてきて戦況を変えるのが他では見られない能力対戦の魅力だといえます。みんなが適当にバカというのも

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    2013年04月09日
  • 惨劇アルバム

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    ーーーなぜわたしの人生には、幸せなことしか起こらないのか?
    美咲は、古びたアルバムを開いた。彼からのプロポーズ、大学合格…そこには様々な幸福の光景が。
    ところが、一枚の写真から蘇ってきたのは、(自分は幼い頃に死んだ)という、あまりにも鮮明な記憶だった。混乱する美咲に母が語り始めた、戦慄の「家族の物語」とは?
    悪夢と惨劇に彩られた恐怖の連作集。

    小林泰三の連作ホラー
    やっぱ小林泰三はこうじゃねえとな。

    彼の真骨頂、歪んだロジックによる関節の外れた世界
    理屈抜きに、恐怖が感覚に訴えてくる短編
    少しずつテイストの違う作品たちが集まって一つの物語を形作っている。




    不完全な人の泣く声が聞こえ

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    2013年02月04日
  • 大きな森の小さな密室

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    死亡推定時期は150万年前という「更新世の殺人」など、それぞれに特徴(クセ?)のある短編ミステリー7編からなるオムニバス。
    もはや何でもありだな。。と笑ったのが「正直者の逆説」。
    ロジック遊びの感もある作品ですが、結構楽しめました。
    ミステリを読み飽きていて、ちょっと変わった毛色の作品を希望されている方にはお勧めできそうです。

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    2021年06月29日
  • セピア色の凄惨

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    ―――「親友を探してほしい」。
    探偵は、古ぼけた四枚の写真を手がかりに、一人の女性の行方を追い始める。
    写真に一緒に写っている人々を訪ねていくが、彼らの人生は、あまりにも捩くれた奇妙なものだった。
    病的な怠惰ゆえに、家族を破滅させてゆく女。
    極度の心配性から、おぞましい実験を繰り返す女…。
    求める女性はどこに?
    強烈なビジョンが渦巻く、悪夢のような連作集。


    小林泰三の文庫書き下ろし
    一人称語りの短編とインターバルが繰り返される構成

    読んでると、「価値観」なんてものは真の意味で同じになることはないんやろうなと思う

    心の中に潜む狂気から匂い立つグロまで

    読後感が

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    2012年12月30日
  • 脳髄工場

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    ―――近未来。犯罪抑制のために開発された「人工脳髄」。
    天然脳を持つ少年、少女に待ち受ける悲劇とは? 世界の崩壊と狂気を暗示した表題作ほか、過去から未来、そして宇宙までを舞台にした珠玉のホラー短編集!


    「綺麗な子」狂気に満ちてて
    ものすごく粘度が高くてまずい飲み物を一気飲みしたような気分やった

    でもそれ以外は全体的に印象が薄かったなぁ
    「停留所にて」「声」なんかは短くスッキリまとまったホラーやったけど
    怪異"グロ" と 論理"ロジック" の競演ってほどでもない

    小林泰三やからってちょっと期待しすぎたか

    ようぐそうとほうとふ

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    2012年12月30日
  • 天体の回転について

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    ―――無垢な青年が抱く、宇宙への憧れとみずみずしい初恋を描いた表題作のほか
    ロボット三原則の盲点が引き起こす悲劇を描いた「灰色の車輪」
    宇宙論とクトゥルフ神話が驚愕の融合を果たす「時空争奪」など
    ヴァラエティに富んだ全8篇収録の傑作ハードSF短篇集。


    表紙はちょっとアレやけど
    小林泰三によるガッチガチのハードSF短編集

    『玩具修理者』みたいな、SFホラーの暗黒面的な作品は少ないけど
    その分論理が徹底されてて、かつグロ要素と結び付いて
    もはや爽快ですらある笑”

    「地球に来る宇宙人は、超高度な文明を持っているはずなのに、なぜ野蛮な手段に出るのか」
    に解答を与えた『三〇〇万』
    と、『灰

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    2012年12月30日
  • 忌憶

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    ―――何をやってもうまくいかず、悲惨な生活を送る直人は、幼い頃よく見た夢の中を彷徨う。
    直人の恋人・博美は、腹話術に盲執する男の姿に幻惑される。
    直人の親友・二吉は、記憶障害となり人生の断片をノートに綴る…。
    彼らの忌まわしき体験は、どこまでが現実で、どこまでが幻想なのか。
    読者を狂気の世界へと誘う禁忌の三重奏…。著者初の連作ホラー。


    久しぶりに小林泰三の短編

    前のレビューでも書いたけど、小林泰三の物語は最初こそ確かな現実に基づいてるんやけど、読み進めるうちにいつの間にか「関節の外れた世界」へと誘われる。
    この不気味さは彼の作品ならではやと思う

    この本の中では最後の『き

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    2012年12月30日
  • 天体の回転について

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    短編集として、面白かったです。
    前半はハードSFながら、後半の作品、特に最後はクトゥルフ神話と時空理論をあわせた、一風変わった作品で、楽しめました。
    と、ここまで読んで、実はこの本、前に一度読んだことに気が付きました。
    何となく覚えのある作品があるなぁ、とちょっと思っていたのですが、確かどれも読んだ記憶が・・・
    忘れっぽいのは、楽しみが増えていいとも言えますが、それでいいのかな?

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    2012年12月06日
  • セピア色の凄惨

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    すごく読みやすいので一時間かそこらで読み終わると思います 
    とにかくみんな真面目に狂ってる
    後味が悪い話、とまで言っていいのか分かりませんがとにかく読み終わってもいい気分にはなりません
    でも結構好きです
    ただ、私にはメインの話のオチがちょっと弱く感じられました

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    2012年10月21日
  • 天体の回転について

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    非常にバラエティに富んでいて、設定と発想で魅せるSF短編集。
    それぞれの作品の色がまったく違ったものなので、飽きずに楽しんで読んだ。

    表題作と、ロボット反乱ネタの「灰色の車輪」と長期記憶をメモリに頼らざるを得なくなった人間を描いた「盗まれた昨日」が個人的には好き。
    表紙のミクさん(違)はエレベーターガールだったんですね。

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    2012年10月12日
  • 天体の回転について

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    ネタバレ

    どれも面白かったけど、表題の「天体の回転について」は感銘できるところもあり凄くよかった。文化をなくした人間でも、2次元には惹かれてしまうんだなぁと、呆れるような安心するような。

    個人的には2次元に恋をした人間は報われないと思っているので、最後のオチはあんまり納得いかなかったけど、あれは小林泰三の良心だと思うことにする。

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    2012年08月08日
  • 完全・犯罪

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    ネタバレ

    SF・ミステリー・ホラーとタイプの違う作品を入れてきた短編集。個人的には歴史改変タイムトラベルものをブラックコメディチックにまとめた表題作とミステリーでお馴染の「双生児」ものがお好み。

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    2012年08月02日
  • 天獄と地国

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    面白くてあっという間に読んでしまった。
    多分世界設定に惹かれるんだろう。

    頭上に地面、足元に星空、極端に資源不足な過酷な世界での生き残りのための生活
    超兵器同士の戦闘シーンも面白いけど、空に向かって落ちていくシーンが何とも言えずいいなぁ
    ラストが少し暗いけど、明るい面が無いわけじゃないのでイイかな

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    2012年07月13日
  • 惨劇アルバム

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    オムニバスホラー。非の打ち所のない幸せな人生のはずだったのに、それが崩れてしまう衝撃。塗り替えられた記憶の意味。不条理ホラーのように思えたけれど、最後まで読むとこれはミステリでもありました。うわ、なるほど! そういうことだったのか。
    お気に入りは「正義の場面」。これにはやられたなあ。とても「ありがち」なネタの逆ですね。案外単純なことだけど、思いつきもしませんでした。

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    2012年05月31日
  • 脳髄工場

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    ネタバレ

    ホラーというよりSFっぽいかんじの話が多かったです。
    が、楽しく読めました。
    さらっと、短い時間で読めますし。

    「脳髄」を外から管理することでストレスなどから開放されるという近未来、その「脳髄」を入れる描写は小林さんならではの表現だなぁと思いました。

    相変わらず表現がグロくて匂いまでかんじられそう!!!

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    2012年05月16日
  • 海を見る人

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    SFなんだけど、「感じる」小説です。タイムパラドックスとかが好きな人も、恋愛小説が好きな人にもおすすめ。5年位前に読んだ。

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    2012年05月12日
  • 脳髄工場

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    量産型小林泰三

    小林泰三らしさの幹線をぶっちぎった作品。裏返せばガッカリも激しい。
    やはりホラーもネタがかぶってきてしまうものなのかしら。

    でも、あの抽象的な文体で科学的内容を哲学的な問いに昇華させて這い寄る混沌につなげる独特の構成はやはり萌える。女子高生とかの比じゃない。

    オススメは「脳髄工場」と「C市」

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    2012年05月07日
  • 海を見る人

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    次の年、カムロミは夏祭りに来ませんでした。
    わたしはさらに一年を耐え忍びました。
    その次の年もカムロミは現れませんでした。
    わたしは待つことをやめました。


    わたし、先生に約束するわ。
    次に出会うことがあったら、その時は…
    今度はわたしが苺ミルフィーユを奢ってあげる。

    (時計の中のレンズ/独裁者の掟/天獄と地国/キャッシュ/母と子と渦を旋る冒険/海を見る人/門)

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    2012年03月19日
  • 天獄と地国

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    ネタバレ

    あーー楽しかった!!!面白かった楽しかった。王道娯楽、宇宙活劇だと思う。

    泰三先生お得意のグロは大分なりを潜めている…と思うので、そこが苦手な方にもどんとお勧めの逸品となっております!(あ、ゼロではないんですけどね……グロではなくて、リアルを追求していると理解してます!)

    世界設定は、表紙のイラストとタイトルがきっちり示してくれている。天地が逆になっている空間で生活している人間達の物語だ。天にぶらさがってへばりついて暮らし、そこから踏み外すと真っ逆さまに星の海へ落ちていってしまう。泰三先生お得意、ガチっと理屈をこらした上での仰天世界設定。

    物語は三章立て。
    減少する一方の資源を切り詰めて

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    2012年07月07日
  • 天獄と地国

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    タイトルを見た瞬間に、小林作品で1,2を争うほど好きな短編集「海を見る人」のあのぶらさがってる人たちだ! と思って手にとりました。

    前半は読んだ瞬間、懐かしくなる4人のかけあい。
    頭上の地面にしがみつかなければ、星くずだらけの宇宙に永遠に落ちていく過酷な世界。落穂拾いと呼ばれる彼らの生き方。
    結局エレクトラはどうなったのか、カリテイが見た謎の物体の正体は、と気になる続きが硬派に続くのかと思いきや、そんなことはなかった!

    物語はスケールの大きな、宇宙ロボットバトルものに。
    ザビタンとか出てくるし。
    シリアスなのに、場面を想像すると笑えたり。
    アマツミカボシのパイロットになってからのカムロギは

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    2012年05月21日