小林泰三のレビュー一覧

  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    記憶が数十分しかもたない男が殺人鬼に挑むミステリー。
    記憶がリセットされてしまうため何度も繰り返す主人公の思考を読むにつれ、読み手には不安や混乱が蓄積されていく。不確かな記憶に頼りきっている自分に気づきゾッとした。
    登場人物はごく少ないのに、先が気になる緊張感で一気読みだった。
    そしてラストの不穏さ...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    人格とは、魂とは、記憶とは、何だろう?
    人類が記憶する能力を失った混乱を描く第一部と、外部記憶する事で生きていくようになった人類の悲哀を描く第二部からなる。
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    殺人鬼が犯罪を犯すシーンは見ていてとても胸糞悪かった。サイコパスってこういうことなんだなぁと思った。
    物語のテンポが良く、200ページくらいを一気に読みました。最後が情報量が多く、私の読解力が至らないせいだと思いますがよく分からなかったです。
    何となくこうかなーという解釈は自分なりにしましたが、他の...続きを読む
  • クララ殺し
    『アリス殺し』と同時にタイトルに惹かれて購入したが、前作同様予想以上だった。おとぎ話をコンセプトにしている、というこのシリーズに共通するコンセプトが良い。ちょうどいい比率でメルヘンさと怖さがミックスされていて計算されているな、と感じた。絶妙に『アリス殺し』と繋がっている所が見え隠れしていて巧妙だと思...続きを読む
  • 神獣の都―京都四神異譚録―(新潮文庫nex)
    和風ファンタジーで面白いです。個人的には好みです。
    ただ、現代的な感じなので作風に見合った時代でも良かったのかなと思います。なのでこの評価です。
    最後の方は京都がめちゃくちゃになってるのを想像してありえないと思いながらも楽しませていただきました。
    最後の朱雀が何とも軽い感じの会話をしている場面があり...続きを読む
  • 臓物大展覧会
    冒頭の「透明女」がグロすぎで心折れそうになりますが、それを除くと、SFありミステリありのちょいグロバラエティ短編集といったところ。「悪魔の不在証明」は、緻密な論理展開とちゃぶ台ひっくり返しラストが小林泰三氏らしくて素晴らしい。読んでください。
  • 杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~
    杜子春とカンダタはちょっといい話だったのに後半…
    随所にこれまでの小林泰三作品が散りばめられているところに、切なさを感じる。
    大好きな作家さんでした。ご冥福をお祈りします。
  • アリス殺し
    2時間半ぐらいで一気読みしました。

    世界観も謎解きも面白かった。
    主に会話で話が進むので、台詞回しがくどいところもあったけど、読みにくくはなかったです。

    ビルが可愛い。読んでる途中、それ一人で行っちゃダメなやつー!とか、トカゲなのだから尻尾をうまく使って頑張ってくれーとか、思ってました。

    謎解...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    小林泰三は大抵読んでるけど、これ表紙とタイトルのイメージでなんとなく積んでたのですよ。読んでみたらけっこうなハードSF。記憶/精神の保存、肉体はただの器といったオルタードカーボン的なサイパーパンクの王道でむしろ好み。
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    全体的にテンポが良く、ページをめくる手が止まらなかった。主人公の対応力と冷静な判断に感心し続けていた。「新しい記憶を失う」という主人公の特性上、出来事の時系列の整理が難しかった。ラストの女性は、最初にピンポン連打した人だとは思うが、あの警戒心が強い主人公が部屋に招き入れた理由が全くわからない(徳さん...続きを読む
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    好きな作者の方のミステリーで今回もハラハラしながら一気みできた。
    途中の古田さんが出てきたあたりからの殺人鬼との攻防や、ノートだけでうまく生活していく様子なんかも楽しく読めた。
    ただラストはよくわからなかった。この作者さんの小説でしょっちゅうラストで??ってなるからそういう人だと割り切るべき??私の...続きを読む
  • 幸せスイッチ
    『怨霊』
    探偵Σが登場。懐かしい。解決策がバカバカしすぎるけど、バターになるの好きだな。
    『勝ち組人生』
    貧乏描写が鬼気迫っていて、辛い。ループ。
    『どっちが大事』
    なんとなく、奥さんの春子の冷たさに新藤みを感じた。
    『診断』
    頑なに自分以外の考えを受け入れない母親の姿に逆に好感のようなものを抱いた...続きを読む
  • 大きな森の小さな密室
    色々なタイプの事件の短編ミステリー集です。

    ・大きな森の小さな密室(犯人当て)
    ・氷橋(倒叙ミステリ)
    ・自らの伝言(安楽椅子探偵)
    ・更新世の殺人(バカミス)
    ・正直者の逆説(??ミステリ)
    ・遺体の代弁者(SFミステリ)
    ・路上に放置されたパン屑の研究(日常の謎)

    「殺人鬼にまつわる備忘録」...続きを読む
  • 神獣の都―京都四神異譚録―(新潮文庫nex)
    やすみんのシン・ゴジラのようなウルトラマンのような特撮モノのような。最終バトルは好き放題に京都を壊していて面白かった。

    会話のテンポがリズムよくてめちゃくちゃ気持ち良いし笑えるしで最高。会話を重ねることで本質を探ろうとしてていいし、そこまで突き詰めずにそうかもね程度に濁らせているのが、落ち着く感じ...続きを読む
  • 杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~
    最後の「白の恐怖」の万華鏡のくだりがよく分かりませんでした(涙)?
    マルコビッチの穴みたいな感じ?
    新藤礼都が突然出て来てビックリ!!
    何故に礼都さんが・・
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    これは読む人によってラストの解釈が違ってしまう話という認識で良いのだろうか。

    前向性健忘症で、数十分しか記憶がもたないという二吉。
    備忘録をノートにメモしているのですが、ある日、記憶を改竄できる超能力を持った殺人鬼、雲英光男(きらみつお)に出会います。

    この殺人鬼の能力と、二吉の健忘症との相性が...続きを読む
  • 杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~
    上手い、座布団一枚! という作品が多くて、読み終えてスッキリという感じです。
    芥川龍之介が本科取りなら、こちらはそのオマージュかな。
  • 見晴らしのいい密室
    他の本と併読しようという腹づもりで読んでいたのだが、どの篇も多彩な表現やロジックで魅了してくるためそれどころではなかった。

    まず、すぐに世界観を把握させるのが上手いと思う。ああ、そういうことねとその篇の世界のルールを頭から諒解させられるので、物語がすっと頭に入ってくる。
    実際に話す時もそうだが物語...続きを読む
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    普通は大人になる前に怒りの感情を抑えないと自分が損することを学習して覚えるが
    稀に学習できない人間がいて、そのような人物は社会不適合者とされる
    この文章にとても感銘をうけた。

    ラストは気味悪く、他の作品を読んでいないのでちんぷんかんぷんだったが、序盤からずっと面白く
    ページを捲る手が止まらなかった...続きを読む
  • 天体の回転について
    SF。ホラー。短編集。
    「時空争奪」は既読。
    作者らしさ溢れる一冊。定期的に挟まれるグロ描写が印象的。
    「性交体験者」が特に好き。異様な世界観でのミステリという、自分好みのジャンル。白井智之さんっぽさを感じた。
    表題作、「灰色の車輪」、「三〇〇万」も良い。