小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初の三編『ショグゴス』『首なし』『兆』がすごくよかったです。
『ショグゴス』寓話的で皮肉の効いたSF短編。南極に現れた謎の海百合型生物と不定形生物。二種の偏った依存関係を否定しながらロボットの人類への奉仕を当たり前とする人類の矛盾。人類側指揮官の倫理感により話が予想外の方向に向かっていくのがすごく面白い。クトゥルフかじってればさらに楽しい。
『首なし』あごから上を失っても生きている男。その世話をしながら愛を注ぐ女性の狂気に美しさすら感じる。
『兆』自殺したはずのクラスメートに付きまとわれる女子中学生。自殺の理由を探るうちに深みにはまっていくフリーライター。日常から異界へと足を踏み外していく怖 -
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Posted by ブクログ
2015年、30冊目は小林泰三。
今年に入って、『忌憶』『目を擦る女』と読んだが、イマイチ当たってない印象。果たして今回は……?
短編七編収録。今回はランダムに(というか、『兆』は既読なので、最後にとおもったため)よみました。では、極々簡単に内容を……。
「ショグゴス」共生と従属関係の話。ユーモラスな面もある、SF系。
「首なし」近世日本が舞台の猟奇的ヤンデレ話。
「兆」いかにも、小林泰三らしい作品。『ゆがんだ闇』以来、約1年ぶりに読んだが、やはり好き。
「朱雀の池」ドッペルゲンガー(?)な歴史曲解(?)モノ。
「密やかな趣味」ブラックな、だからこそ超絶極まりないスプラッター。
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Posted by ブクログ
夏の終り頃購入し、長く積読にしていた1冊。
完全にタイトル買い。購入後、同作者の『玩具修理者』『人獣細工』『肉食屋敷』『アリス殺し』(順不同)と別作品を発掘 、先に読んでしまって……。
タイトル、プロローグと本編との関わりは薄く、期待していたモノとは異なるが、色とりどりの9編を取り揃えたあたりは大展覧会。
「ホロ」ヴァーチャル・オチ的なのは個人的に、あまり好みじゃないかな。
「少女、あるいは自動人形」は世界観は好きだけど、アレレ?って感じ。
ショートショート的「釣り人」のオチは、ソコへ至るまでとのギャップに、思わず笑ってしまった。
「透明女」「攫われて」はスプラッター描写に目を奪われがちだが、