小林泰三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレなかなか複雑な内容で、面白かったけど理解するまで何度かページを読み返した。あとがきで、特殊設定ミステリ作家と我孫子先生が言われていたが、本当にその通りだと感心した。ゾンビまでは昔からからよくある体だが、プラスαが凄い。パーシャルゾンビなんて、誰が思いつくだろう。部分的に死んでいるだけだから、生きているなんて。その為か、巧妙なトリックではなかったが、伏線は見事だった。ただ、コンタクトに関しては❓のままで…。パーシャルゾンビでも目は白濁するから、人間と区別つかないめに、一条は作った。でも、葦土はゾンビに扮装した時に、コンタクトを使った。もともとパーシャルゾンビなのに❓どっち用のコンタクト⁉️考えるほどこんがらがるので、再読しようと思う。
小林先生、ミステリだけど、描写がしっかりホラーでした。
あと、タイトル…さすがです!
-
Posted by ブクログ
ネタバレ● 感想
アリス殺し,クララ殺しに続いて,今回もアーヴァタールの誤認トリックを仕掛けているのかと思ったら,そうではない。カンザスが地球のカンザスではなく,オズの魔法使いのカンザスだったという世界誤認トリックが仕掛けられている。この作品でも、誰が誰のアーヴァタールかで叙述トリックを仕掛けているかと思いきや,世界そのものを誤認させる叙述トリックが仕掛けられていていたものであり、シリーズ作品であることを逆手にとったトリックといえる。
派手なトリックで,衝撃はなかなか。作中でもビルが「えええええええええええええええええええええええええええええええっ!!」と驚くほどなので,作者も,このトリックには自信があったものと思われる。
アリス殺しのアリスが「栗栖川亜理」のアーヴァタールではなく,「ハムスターのハム美」のアーヴァタールだったことに匹敵するくらいの衝撃。クララ殺しのトリックが,アーヴァタールのすり替えでありながら,複雑な関係になっていて,しっかり考えないと驚けなかったことと比べると,かなりの衝撃である。
真犯人のエムおばさんの殺害は衝動的なもので,作中での犯人としてはイマイチ。読者を驚かすための作品と割り切るべき作品で,ミステリとしての完成度はクララ殺しの方が上かもしれないが,この外連味は魅力。あと,玩具修理者や散歩する男といった小林泰三のほかの作品を読んでいれば,もっと楽しめたようで,さらに評価が上がったように思う。アリス殺しほどではないが,トータルの完成度は高く★4で。
● メモ
アリス殺し,クララ殺しに続くメルヘン殺しシリーズ第3弾。今回の舞台はオズの魔法使い。オズの魔法使いの舞台となるエメラルドの都で,ジンジャー将軍とドロシイが殺害され,さらに,重要な手掛かりを知っていた案山子が殺害される。
今回も,オズの魔法使いの世界と地球がリンクしており,地球とオズの魔法使いの世界にアーヴァタールが存在する。ドロシイ殺しでは,地球のアーヴァタールとオズの魔法使いのアーヴァタールで,誰が誰のアーヴァタールかを誤認させるトリックが仕掛けられている訳ではない。地球上の登場人物は,小林泰三の他の作品である玩具修理者や散歩する男といった作品の登場人物である…らしい。この辺りの作品は未読
ちなみに,今回のアーヴァタールの対応関係は以下のとおり
【オズの魔法使いの世界】 【地球】
ドロシイ 手児奈
案山子 血沼壮士
ブリキの樵 小竹田丈夫
ライオン 田中和巳の飼い猫
オズマ 手児奈のおばさん
グリンダ 田中和巳
オズの魔法使い 玩具修理者?
ジュリア・ジャム 餡樹理亜
ジンジャー将軍 生姜塚将子
スクラップス 夕霞
エムおばさん 忍成道雄
犯人は,エムおばさん=忍成道雄。忍成道雄は,地球上では田中和巳の弟で,玩具修理者の登場人物らしい。オズの魔法使いの世界での動機は,ドロシイに対する嫉妬のような感情か。オズの魔法使いの世界での犯行にトリックらしいトリックはなく,むしろ,エムおばさんが地球上のカンザスの人物だと誤認させる世界の誤認トリックが肝となっている。
案山子の「ジンジャーの言葉の意味がやっとわかった。僕は間抜けだった。殺人者は外から来たんだ。」というセリフは,真相を知ってみれば,ドロシイの親族,カンザスから来たエムおばさんが犯人と言っているようにしか聞こえない。このあからさまな伏線は見事 -
Posted by ブクログ
ネタバレ● メモ
不思議の国に住む蜥蜴のビルは,道に迷い,溺れかけたのちに,ホフマン宇宙という世界に迷い込む。ビルは,クララという少女とドロッセルマイヤーという老人に出会う。
前作,アリス殺し同様,地球と異世界との間で,アーヴァタールという存在がある。今作では,地球とホフマン宇宙との間で,アーヴァタールという記憶を共有する存在を有する者が登場する。
ホフマン宇宙とは,19世紀初頭に活躍したドイツの作家,エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンの小説の世界であり,黄金の壺,くるみ割り人形と鼠の王様,砂男,マドモワゼル・ド・スキュデリといった作品の登場人物が,今作には出てくる。
クララ殺しは,アリス殺しを踏まえたものであり,アーヴァタールの存在を踏まえ,アリス殺し以上に複雑な犯罪計画が実行される。
この作品のポイント,肝となるのは,地球とホフマン宇宙でのアーヴァタールのつながりの誤認である。これは,ビルに積極的に誤認させることで,アリバイを作ろうとする作中人物に対するトリックと,読者を誤認させる叙述トリックが合わさっている。そのため,適当に読むと,「なんか複雑だけどすごい」程度の感想になってしまう。
この作品は異世界モノであり,ドロッセルマイヤーは,人形を人間にしたり,人間を人形にしたり,記憶を改ざんすることができる。このような人物がいれば,なんでもありであり,もはやミステリとしては成り立たなくなる。そのため,この作品にも,やや無理が生じている点は否めない。
ドロッセルマイヤーが,「ゲーム」のために,マリーという人間の娘と,クララという人形を入れ替えてしまう。これが発端となり,マリーはクララの殺害を計画する。そのクララ殺害のアリバイ工作に,「アーヴァタール」を利用する。ビルのアーヴァタールである井森と一緒に地球で死亡するという点をアリバイ工作に利用するというものだ。
この計画のために,地球上に偽ドロッセルマイヤーを用意する。地球で,募集広告を掛けて,探したという設定だ。地球上の「くらら」は,ホフマン宇宙のマリーのアーヴァタールである。これを,くららはクララのアーヴァタールであるとビル=井森に思い込ませるのが目的であった。
しかし,この地球上の偽ドロッセルマイヤーは,ホフマン宇宙のクララのアーヴァタールであった。クララは,偽ドロッセルマイヤーの募集広告を見て,何かあると気付き,偽ドロッセルマイヤーとして計画に関係する。
かくして,偽ドロッセルマイヤー=クララの前で,マリーによるクララの殺害が計画され,実行に移される。これでは,クララ殺害が成功するわけがない。
ホフマン宇宙のドロッセルマイヤーにもアーヴァタールが存在し,これは地球上の新藤礼都である。この指導礼都は,登場のタイミングと,ビル=井森の捜査を手伝うという役回りから,マドモワゼル・ド・スキュデリのアーヴァタールだと誤信させられる。これは主に読者に対する叙述トリックとなっている。
もっとも,スキュデリ=新藤礼都にはやや違和感があり,これは別の人物のアーヴァタールではないかと読書に感じさせるような印象ではある。しかし,新藤礼都=ドロッセルマイヤーのアーヴァタールだとはなかなか気付けない。
スキュデリにもアーヴァタールが存在し,それは,今作ではちょっとだけ登場する「徳さん」という人物であった。徳さんは,小林泰三の他の作品にも登場する人物ということであり,気付ける人には気付けるのだろうが,この作品を読んだだけで,徳さん=スキュデリだと気付くのは困難だろう。
マリーの計画を逆手にとり,クララはマリーを殺害する。既にクララは死亡していると思われているので,クララは,スパランツァーニという発明家が作成したオリンピアという自動人形になりすます。クララ=オリンピアは飛び散る。ドロッセルマイヤーやスパランツァーニが新たに組み立てても,それはクララでもオリンピアでもなくなるかもしれない。
ドロッセルマイヤー=新藤礼都の計画により,マリーは殺害され,クララは大破。ビル=井森も井森として4回も殺害される。
● 感想
傑作,アリス殺しの続編。小林泰三のこのシリーズは,メルヘン殺しシリーズとも呼ばれている。アリス殺しのようなシンプルさはなく,非常に凝った仕掛けである。地球とホフマン宇宙のアーヴァタール関係を利用した人物誤認トリックが使われている。
普通に読むと,以下のような関係だと思ってしまう。
【ホフマン宇宙】 【地球】
ドロッセルマイヤー ドロッセルマイヤー
クララ くらら
スキュデリ 新藤礼都
しかし,読んでいると,特にスキュデリ=新藤礼都のところに違和感を感じてしまう。真相は,
【ホフマン宇宙】 【地球】
ドロッセルマイヤー 新藤礼都
クララ ドロッセルマイヤー
スキュデリ 徳さん
マリー くらら
読んでいると,マリー=くららではないかというところは,正直予測できてしまう。しかし,ドロッセルマイヤー=新藤礼都,クララ=ドロッセルマイヤーの関係は,かなりの驚き。そして,スキュデリの地球上のアーヴァタールが徳さんというのは,圧巻。これは,小林泰三のほかの徳さんが出てくるミステリを読んで,その内容をある程度覚えて入れば,よりふ楽しむことができてのだろう。
クララが考えたアリバイトリックを乗っ取ってしまうというマリーの考えた殺人計画は面白い。トータルで見ると★4といったところだろう。 -
購入済み
人格とは、魂とは、記憶とは、何だろう?
人類が記憶する能力を失った混乱を描く第一部と、外部記憶する事で生きていくようになった人類の悲哀を描く第二部からなる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『怨霊』
探偵Σが登場。懐かしい。解決策がバカバカしすぎるけど、バターになるの好きだな。
『勝ち組人生』
貧乏描写が鬼気迫っていて、辛い。ループ。
『どっちが大事』
なんとなく、奥さんの春子の冷たさに新藤みを感じた。
『診断』
頑なに自分以外の考えを受け入れない母親の姿に逆に好感のようなものを抱いた。強い。
『幸せスイッチ』
常々考えていたことを小説として出されて満足。いやほんと脳を騙して生きていきたい。それって生きるってことなのかっていう定義付けの話は脇に置いて。ほんとに。この世は地獄すぎる。
『哲学的ゾンビもしくはある青年の話』
書き下ろし短編としてのまとめのような、そんな面もありつつ、主人公の青年がいなくても噛み合う会話劇を描いててすごい。頭疲れる。
クオリアについての掘り下げがそれほどなくすすんだので逆に軽くて読みやすかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きな作者の方のミステリーで今回もハラハラしながら一気みできた。
途中の古田さんが出てきたあたりからの殺人鬼との攻防や、ノートだけでうまく生活していく様子なんかも楽しく読めた。
ただラストはよくわからなかった。この作者さんの小説でしょっちゅうラストで??ってなるからそういう人だと割り切るべき??私の技能不足で読み取れてないだけかもだけど読み終わって疑問に思ったところをメモしておくので読み解けた方がいたら教えてくれると嬉しい。
北川先生はどうなったの?
キラは??
徳さんは何者だったの??
「夏生」は誰なの?
最後の女は夏生なの??
なんで二吉の部屋にいたの?
徳さんと夏生と最後の女についてはほんと謎。
似た設定?続編?があるようなのでそっちも読んでみようと思う。それで上の疑問が分かるといいな。
ノートにあえて書かないでメディアを隠すところなんかはすっきりするトリックだったけどいまいち時系列とかがわかりづらかったかもしれない。
あと電車でキラが痴漢をでっち上げた時、喫茶店でのことをキラは「昨日」、二吉は「数週間前」って表記してたのはただのミスなのか二吉の記憶障害を利用したトリックなのか私はわからなかったのでこっちも誰か一緒に考察してもらえたら嬉しいです。