小林泰三のレビュー一覧
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ネタバレ『怨霊』
探偵Σが登場。懐かしい。解決策がバカバカしすぎるけど、バターになるの好きだな。
『勝ち組人生』
貧乏描写が鬼気迫っていて、辛い。ループ。
『どっちが大事』
なんとなく、奥さんの春子の冷たさに新藤みを感じた。
『診断』
頑なに自分以外の考えを受け入れない母親の姿に逆に好感のようなものを抱いた。強い。
『幸せスイッチ』
常々考えていたことを小説として出されて満足。いやほんと脳を騙して生きていきたい。それって生きるってことなのかっていう定義付けの話は脇に置いて。ほんとに。この世は地獄すぎる。
『哲学的ゾンビもしくはある青年の話』
書き下ろし短編としてのまとめのような、そんな面もありつつ、主 -
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ネタバレ好きな作者の方のミステリーで今回もハラハラしながら一気みできた。
途中の古田さんが出てきたあたりからの殺人鬼との攻防や、ノートだけでうまく生活していく様子なんかも楽しく読めた。
ただラストはよくわからなかった。この作者さんの小説でしょっちゅうラストで??ってなるからそういう人だと割り切るべき??私の技能不足で読み取れてないだけかもだけど読み終わって疑問に思ったところをメモしておくので読み解けた方がいたら教えてくれると嬉しい。
北川先生はどうなったの?
キラは??
徳さんは何者だったの??
「夏生」は誰なの?
最後の女は夏生なの??
なんで二吉の部屋にいたの?
徳さんと夏生と最後の女について -
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色々なタイプの事件の短編ミステリー集です。
・大きな森の小さな密室(犯人当て)
・氷橋(倒叙ミステリ)
・自らの伝言(安楽椅子探偵)
・更新世の殺人(バカミス)
・正直者の逆説(??ミステリ)
・遺体の代弁者(SFミステリ)
・路上に放置されたパン屑の研究(日常の謎)
「殺人鬼にまつわる備忘録」の謎をすっきりさせたくて読みましたが、直接関係はなさそうです。
「備忘録」にも出てきた岡崎徳三郎(徳さん)が「路上に放置されたパン屑の研究」にも登場します。田村二吉との普段からのやり取りがそのまま伺えます。
この短編を読んでから「備忘録」を読んだ方が、ほんの少しですが、ひっかかりがなくて良いかもし -
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やすみんのシン・ゴジラのようなウルトラマンのような特撮モノのような。最終バトルは好き放題に京都を壊していて面白かった。
会話のテンポがリズムよくてめちゃくちゃ気持ち良いし笑えるしで最高。会話を重ねることで本質を探ろうとしてていいし、そこまで突き詰めずにそうかもね程度に濁らせているのが、落ち着く感じ。
5行説の属性相性関係については最後まで結局覚えきれなかったので、そこだけ図は欲しかったなあと思った。棟梁毎の能力バトルや能力者vs非能力者のバトルも良かった。
京都についてある程度地図の把握をしていたので、地名が出る度にあそこか~となって楽しい。でもやっぱこれも地図欲しいな。
あと表紙イラス -
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これは読む人によってラストの解釈が違ってしまう話という認識で良いのだろうか。
前向性健忘症で、数十分しか記憶がもたないという二吉。
備忘録をノートにメモしているのですが、ある日、記憶を改竄できる超能力を持った殺人鬼、雲英光男(きらみつお)に出会います。
この殺人鬼の能力と、二吉の健忘症との相性が悪く、殺人鬼にとって二吉は邪魔な存在になります。
なくなる記憶と、重要な殺人鬼に纏わるメモ、記憶を改竄しまくる殺人鬼との戦いには目が離せなくなります。
記憶に関するお話しは「失われた過去と未来の犯罪」と似たような印象がありましたが、数十分しか記憶が持たない点以外は全く趣旨が違うものでした。
小 -
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ネタバレ他の本と併読しようという腹づもりで読んでいたのだが、どの篇も多彩な表現やロジックで魅了してくるためそれどころではなかった。
まず、すぐに世界観を把握させるのが上手いと思う。ああ、そういうことねとその篇の世界のルールを頭から諒解させられるので、物語がすっと頭に入ってくる。
実際に話す時もそうだが物語においても掴みは肝心なのだ。
しかもその時点で重要な伏線を張っていることがあるので以前読んだ『玩具修理者』同様油断ならない。
個人的に大好きなのは「未公開実験」、
それから「忘却の侵略」「囚人の両刀論法」、「目を擦る女」
おや大体好きだな。
「未公開実験」は当人たちが真面目なのにも関わらずやりと -
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小林泰三さんの小説はアクが強い、というのが自分の中のイメージ。独自のユーモアやブラックジョーク、ナンセンス、詳細なロジック、特異なキャラクターに文体、そしてグロ描写と、合わない作品はどうにも合わないのですが、ハマるときはハマる、そんな不思議な作家さん。
この『海を見る人』に関して言うと、文章や独自のユーモアやといった小林さんのアクの部分は大分抑えめな印象。一方で精緻なSFの論理と世界観のこだわりであったり、通常の概念を揺さぶるような物語のテーマは健在。「綺麗な小林泰三さん」というべき短編集かも。(他の作品のイメージが、どんなんなんや……と思われそうだけど)
収録作品は全6編。そしてそれぞれ -
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これは発想がおもしろいなぁ。
本書は2部構成。突如として記憶が短時間で消えてしまう「大忘却」が発生した世界を舞台に、第1部では大忘却発生から事態の把握とトラブルの回避に努める人々を描きます。一方、第2部では時を進め、人々が記憶を外部記憶装置に頼ることになった時代、そして大忘却後に生まれた人々が繰り広げるドラマを通じ、人間の本質や世界の姿を考察するところまで至ります。
第1部はドタバタ劇と泰三流ロジカルを楽しめましたが、第2部の最初のドラマを読んで、ああ1部は序章に過ぎなかったのだな、とてもおもしろいテーマを扱ったな、と痛感しました。最初のドラマとはちょっとした事故で他人の外部記憶装置を間違って -
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「自分の記憶は数十分しかもたない」
衝撃の警告文から始まる本作は、新しい記憶を長期記憶に移行できない前向性健忘症の主人公の物語だ。そして彼は今、記憶を改竄する超能力を持つ殺人鬼と戦っている。
……とこの時点で抜群に面白い設定だが、最強の殺人鬼とその能力に最も相性が悪い健忘症の主人公という組み合わせが複雑でスリリングな展開を創り出していく。目の前の男が殺人鬼かどうかも忘れてしまうのだから。
そしてこの物語にも「記憶」と「意識」というテーマがある。記憶の代わりに記録を残すなら、記録こそが意志なのかもしれない。
これについてはこの小説に先んじた『垝憶』でもそうだし、比較的最近の『失われた過去と未来の -
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*『記憶破断者』改題*
小林泰三作品を読むのは3作目。
他人の記憶を改ざんできる力をもつ殺人鬼という有り得ない設定ながら、数十分しか記憶がもたない男vs記憶を操作できる男という構図が面白い。
過去の自分が書いたノートだけを頼りに、人智を超えた能力をもつ殺人鬼をジワジワと追い詰めていく様子に引き込まれて一気読みした。
犯人との頭脳戦が主で、サスペンスドラマを見ているような気持ちで読んでいたら、ラスト一行で突然のホラー感。思わずページを戻って確認してしまった。
結局徳さんは何者なのかモヤモヤ。
あと、数十分ごとに記憶がリセットされるため、同じようなやり取りが繰り返されるのは仕方ないとはいえ、 -