小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初読みの作家さん、書店のポップに惹かれ購入、読み応えのある佳作であった。
特殊設定が前提にある、主人公は前向性健忘症なる精神疾患があり、記憶が数時間しか保持できない、ということ。つまりは夜眠って起きたら昨日の記憶は全くない!とのことである。そして悪役には超能力が備わっている、他人の記憶改竄が可能なのである、発動条件があり、触れた状態で「言葉」で言い聞かせる。ということらしい。悪役は徹底的にクソ野郎であり、能力を使ってありとあらゆる犯罪に手を染めている。記憶改竄によって容疑者にもならない、目撃者の記憶を消す、被害者の記憶を消す、やりたい放題である。この完全犯罪能力を持つクソ野郎の天敵とないうるのが、記憶の保持ができない主人公である、つまりは改竄する記憶がないゆえクソ野郎の術には陥らないのである。
この設定を踏まえた上で、主人公vsクソ野郎の戦いが非常に緻密に描かれている、元来知性に溢れ応用力の高い主人公であるが、失われた記憶を補完するものとして「ノート」を持ち歩いている。これを唯一の武器としていくのだが、クソ野郎もそれなりに頭のキレは良く、観察眼にも優れている。斯くしてそのバトルは息詰まる展開で読者を飽きさせない、最終局面においても読みあい騙しあいの末のどんでん返しが見事であった。
総じて満足できる内容だったのだが、イマイチすっきりしない部分があった。よくよく調べてみると、この記憶が持たない主人公をシリーズとして、幾作かが存在するとのことであった。
機会があればそちらへも行ってみたいと思う、そう思える出来栄えであった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやっと文面に慣れてきましたが、慣れてきても私の頭では複雑さにはついていけないのが悔しいです。ビルの不毛な掛け合いが面白く、案山子やライオンの心無い残忍さにヒヤッとさせられるところも面白いです。
ただ、世界と人をまたいだ推理に、全くついていけないんですよ。私が。それが、理解できれば、もっと楽しめると思うんですけど、今回も人物相関を諦めて読みました。それでも、このミステリーは面白いので、凄いと思います。
そして、今回はめちゃくちゃ衝撃を受けた巻になりました。それは、作者が亡くなっていたことです。やっと、ビルのウザさに慣れてきたのに、後1冊でお別れなのが辛いです。ご冥福お祈りします。 -
Posted by ブクログ
2022年、1冊目は、小林泰三の短編集。
今回は、一言コメントを添えて。
玩具:タイトルからしてデビュー作を彷彿させる。そして、やはり。
逡巡の二十秒と悔恨の二十年:自分とヤスミンとの出会いのきっかけになった一編。
侵略の時:SF的一編。
イチゴンさん:大人のダーク・ファンタジー。大好物です。
草食の楽園:SF作再び。
メリイさん:ホラー・コメディー(んなジャンルあるのか⁉️)、落語的一編。時空、飛び抜けてます。コレも大好き。
流れの果て:散文詩的な一編。
食用人:ココでグロ系キタ━━━って感じ。
吹雪の朝:サスペンス調の一編。
サロゲート・マザー:見事なヒネり。
ホラー~コメディーまで幅広く収録されてる。没後1年以上になるが、本当に氏の短編好きだなぁ。ほぼほぼ、文句ナシの、★★★★☆評価。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアリス殺し、クララ殺しと続いてメルヘン殺しシリーズ第三弾!
作中にも書いてありましたが、このドロシイ殺しの舞台となるオズの国は雰囲気がアリス殺しと似ています。相まってストーリー展開もアリス殺しに少し似ていたように思いました。クララ殺しでミステリーとしての難易度がおもいっきり上がって、正直置いていかれていたので、今回もかな?と身構えていたのですが、今回はそこまで難しくありませんでした。ミステリー初心者の私としてはとても読みやすかったです。
相変わらずビルの天然ばかっぷりは炸裂しています。でも心なしかビル賢くなってるような印象を受けました。それでもビルがかわいくみえてしまうのは、メルヘン殺しシリーズに慣れてきたからでしょうか...癒やしです(^^)
まわりくどい会話も相変わらずたくさん見られますが、やっぱり私はこの雰囲気が大好きです。ずっと聞いてたい笑
ドロシイ殺しでも不思議の国から外れて路頭に迷うビルですが、並行してアリス殺しのストーリーも続いているようで...?時系列がわからなくなってきましたが、なんだか井森は亜理のことが気になっているようにも捉えられる文章もあったので、続きが気になるばかりです。早く文庫化しないかなぁ...