小林泰三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ文庫本が発売されたので再読。
やっぱり泰三の言葉運び好きだなあ、この次のティンカーベル殺しで終わりなんて本当に悲しい。
ビルだけでなく案山子もわけわからんからいらいらと面白さが2倍で暑苦しい笑。ビルがキャンディマン食べちゃうところとかひどくて本当面白い。
犯人の動機や映画でドロシイを演じた人の背景を踏まえてたり凄く色々調べてる。
一見平和で幸福溢れる国にみえるけど完璧な国なんてないのかな、政治とは平和とは何かなって考える。あとその人をその人たらしめるものとは何か、これは他の泰三作品にも通ずるものだと思う。『人獣細工』『玩具修理人』ともリンクしているのでひゃっほ!!!って気分が高揚しながら読み終 -
Posted by ブクログ
未収録作品集。どれもこれもがシュールだったりユーモラスだったりグロテスクだったり、インパクトのある作品ばかりです。
お気に入りは「メリイさん」。これ、「怨霊」の別バージョンですよね。やっぱり抱腹絶倒。怖いはずなのに大笑い。
「逡巡の二十秒と悔恨の二十年」、これは恐ろしいような、優しいような。どう考えても「悔恨の二十年」の方がずっとずっとつらいはずなので、これは幸せな物語なのでしょうか。
「侵略の時」も、恐ろしいシチュエーションなのになぜか抱腹絶倒。いやもうこんな事態になったら諦めるしかないでしょうね。
「吹雪の朝」もインパクトのあるミステリです。これはけっこう知らない人も多いのでは……? 勉強 -
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Posted by ブクログ
ネタバレこの人は明らかに、作品、作品で自分の作風、文体を自在に変化させている。おそらく遠慮なく物語を書かせれば、とんでもないものを書くのではないか富と思うのです。
ゾンビという設定を科学の中に落とし込み、それが出現した社会の法体制、揺らいでしまった「死の基準」を司法がどうするのかということまで書いていきます。そしてキャラの設定も抜群。主人公キャラについてはある短編を読まないこと。それから、なんでこんな表紙絵にしたんだ!ということで表紙絵をあまり見ないこと。これが大事です!
理系出身で博覧強記の方だと思います。そしてその知識をドブにすてない。知識が邪魔になるような読者対象を想定している場合、持っている知 -
Posted by ブクログ
凄く面白かった~名作万華鏡 芥川龍之介篇、となっているからどんどん続いてほしいな。
芥川龍之介の短編世界と、現代日本世界を生きる人間が一時的にクロスオーバーする、という筋立て。この文庫本に収められている4編がうっすら連作なのも良いし、過去の小林泰三作品とも重なっているのも長年のファンには嬉しい仕組み。具体的に言うと、玩具修理者、人獣細工、代表取締役アイドル、新藤礼都シリーズを読んでおくとクスっとなります。新藤礼都の性悪さと、河童料理描写の気持ち悪さには若干エグみがありますが、それ以外は控えめなので、小林泰三未読の方にもおすすめしやすいのも◎
新藤礼都の名言をメモ。
『死ぬより辛い目に合わせる