【感想・ネタバレ】失われた過去と未来の犯罪のレビュー

あらすじ

ある日、人類は記憶障害に陥り外部装置なしでは記憶を保てなくなった。バラバラにされた心と身体が引き起こす、悲劇と喜劇。様々な生の記憶を宿す「わたし」とは一体何者なのか。壮大な物語が幕を開ける!

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Posted by ブクログ

私の見ている現実は本当に起こっていることなのか???
頭がおかしくなりそうになった
意識と実体というものは難しい

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2021年08月13日

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宇宙規模の壮大なスケールに感動しました。
ある日突然、全人類の記憶が10分程度しか持たなくなる危機が訪れます。
半導体チップを身体に埋め込み、記憶を記録する人類へと進化していきます。
身体と記憶が完全に分離した時「魂」は存在するのか。
死後再生が可能な世界では、様々な葛藤が生まれます。
「あなたはあなたの心のままに生きればいいのですよ」と第一動者は言いました。
人生が現実だと思って疑わないが、実はそうしたいと自分の心の中で願っているだけなのかもしれません。

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2020年07月28日

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ミステリというよりかはSF。
人類の長期記憶がメモリに頼るようになったら…という設定の物語。その世界できっと行われるであろう犯罪の数々。

もし死んでも、生まれ変わった時に今の記憶があればいいのにな、とか、子供になってやり直したいとか、そういう願望がなくはないのだけどね。

肉体と記憶が別々になったら「自分」はどちらが主体なのか、「死」はどういう定義になるのか。いろいろ考えさせられる話でした。

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2019年09月10日

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ネタバレ

最初はプククと笑いながら読んでたんだけど、あれ、これは一体どこへ連れて行かれるの?

予測不能の物語に、さすがとか、まいったとかは言えないわ。

恐れ入りました。

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2019年09月02日

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前回読んだ「未来からの脱出」でも感じたけれど、しっかりと読んでいないと頭がこんがらがりそうになる。面白い。

長期記憶が持てなくなった人類。それによる弊害。実際にそうなっても人間はどうにかして順応してやっていけるんだろうなと思った。思えた。

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2025年10月12日

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表紙の可愛さに釣られて何も知らず買った人が可哀想(褒め)「アリス殺し」の時も思ったけど台詞のみの文が続いてもキャラが立ってるので誰の台詞なのかちゃんと分かる特に原発のシーン!好き。終盤かなりブラックなSFだけど読みやすくて一気読みでした〜

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2025年09月01日

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ネタバレ

あることがきっかけで新しく記憶が出来なくなって、外部記憶装置を使うようになった世界の話。

最後の展開はあまり飲み込めなかったけれど、「死」について考えさせられた。

他人の記憶を体験するのは三雲岳斗先生の「忘られのリメメント」を思い出した。
メモリの挿入で時間が飛ぶのにはAppleTVの「セヴェランス」を思い出した。

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2023年07月16日

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ネタバレ

突如訪れた「大忘却」によって人類は新たな情報の記憶能力を失った。 覚えてられるのはごく最近の出来事である短期記憶と体に染み付いた手続き記憶だけ・・・。 遠くない未来、人間の記憶は体に埋め込む機械型のメモリーに委ねられた。 ここに一つのメモリーがある。 体は事故で失ってもう無い。 生きた人間にこのメモリーを挿し込めれば。 これは未来の犯罪の物語。

 小林泰三氏の「記憶」をテーマにしたSF作品。
第一部にて人類が記憶能力を失った様子をパニック小説のように描いている。あくまで失ったのは「大忘却」以降の記憶能力で機械の操作などの手続き記憶やそれまでの人生での記憶は保持されていた。実際過去の記憶を完全に失っても言葉は話せるんだから本当に不思議である。ほとんどの人類が行動しては忘れてを繰り返す中、少しづつであるがこの驚異に立ち向かうものがいた。やがて人類は外部に取り付けたメモリーに記憶を蓄積することによって従来の生活を取り戻していく。
第二部から物語が始まったと言って良い。メモリーという擬似的記憶装置にて新たな復活を遂げた人類とそれに併発する未来の犯罪の物語だ。今まで肉体に付従してきた記憶という概念が完全に肉体から切り離されたのである。しかしメモリー=命といって良いのになぜそんなに剥き出しで取外し可能なのだろう?普通誰にも見せなくないでしょ。
小林氏らしいブラックなオチの付くSF、気に入ったら記憶破断者もおすすめだ。

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2025年05月31日

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ネタバレ

色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。本物と幻を区別する方法がないのなら、本物と幻は同じものだと考えるしかない…そんなめちゃくちゃな!(でも「阿・吽」で般若三蔵も「目に見えるものも記憶も全ては虚妄」って仰ってた…)
人とは記憶なのか、魂とは記憶なのか。ある人の記憶を他者に入れたら、その人を定義するのは肉体に依るのか記憶に依るのか…これはだいたい記憶が勝っていました。記憶が永遠に失われないとしたら、人が死ぬことは無くなるのか。
いやぁもの凄いですね…人類の記憶が10分しか保たなくなるパニックSFかと思いきや、人とは何かをじわじわ考えさせられ始める。数多の人々の記憶を取り込んで輪廻転生に近いものになった、とか。
地球に浄土が爆誕してしまうラスト、そして「間違ったら何度でもやり直したらいい」の創世記。面白かったです。

解説の終盤に深く頷きました。今の風潮では「(今すぐ)役に立つか立たないか」で役に立つ知識が尊ばれるけど、大事なのは今は役に立つかわからんけどいつかは役に立つかもしれない知識でも入れとく事だろうと思います。役に立つか立たないかなんてこの瞬間にも変化してるかもしれないのに。
そう思い、今日も役に立たなそうな知識を蓄えながら生きていく訳です。一劫の長さとか今のところあの世でしか必要ない。

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2022年12月22日

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ある日突然全人類が10分程度しか記憶を保持できなくなる、というSFです。よくもこんなシチュエーションを思いつく。
出会いがしらの人格の入れ替わりは使い古されたテーマですが、それをここまでSF的なロジックに落とし込んだ作品を私は見たことがありません。作中では言及されていませんが、外部メモリを悪用すると不死が実現しますね。

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2022年09月13日

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これは人間の魂と記憶の物語だ。魂は肉体に宿るのか、それとも記憶の中に存在するのか…人々から長期記憶が失われた世界で、様々な事例となる物語が紡がれ、問いと答えが重ねられていく。
魂と記憶なんて全然別モノだろうと思って読んでいたのに、なんだかどんどんアヤフヤになっていく感じが怖いね。自分として生きている自覚が持てないことは辛い。自分の中に他人を積み重ねるより、ちっぽけでも唯一無二の自己でしょ、やっぱり。

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2021年05月06日

購入済み

人格とは、魂とは、記憶とは、何だろう?
人類が記憶する能力を失った混乱を描く第一部と、外部記憶する事で生きていくようになった人類の悲哀を描く第二部からなる。

#エモい #深い #ダーク

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2021年04月21日

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小林泰三は大抵読んでるけど、これ表紙とタイトルのイメージでなんとなく積んでたのですよ。読んでみたらけっこうなハードSF。記憶/精神の保存、肉体はただの器といったオルタードカーボン的なサイパーパンクの王道でむしろ好み。

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2020年12月05日

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実際に外部記憶装置に記憶を記録出来る時代がやってきたら本当にこの本に書かれてる出来事が起こりそう…

ってかよくこんな話思いつくな…と深く感心した

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2020年04月03日

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これは発想がおもしろいなぁ。
本書は2部構成。突如として記憶が短時間で消えてしまう「大忘却」が発生した世界を舞台に、第1部では大忘却発生から事態の把握とトラブルの回避に努める人々を描きます。一方、第2部では時を進め、人々が記憶を外部記憶装置に頼ることになった時代、そして大忘却後に生まれた人々が繰り広げるドラマを通じ、人間の本質や世界の姿を考察するところまで至ります。
第1部はドタバタ劇と泰三流ロジカルを楽しめましたが、第2部の最初のドラマを読んで、ああ1部は序章に過ぎなかったのだな、とてもおもしろいテーマを扱ったな、と痛感しました。最初のドラマとはちょっとした事故で他人の外部記憶装置を間違ってはめてしまうというもの。その結果、記憶は自分だが、体は他人という事態が発生。これは、自分とは肉体ではなく記憶なのか、自分の定義とは一体何なのか、という問いに結びつきます。第2部ではこういった肉体と記憶が切り離せるようになった世界で、アイデンティティーを問うようなドラマが展開。ついには外部記憶装置により、死者を蘇らせることすら可能になります。
テクノロジーの進化がアイデンティティーの所在を問う物語はもちろんこの作品に限りませんが、ちょっとユニークな事象をキックに思考を推し進めるところが著者らしさでしょうか。

泰三流のイかれた掛け合いこそ弱めな印象ですが、時折垣間見える登場人物のクレイジーさにニヤニヤしたりと、人におすすめしたくなる作品でした。

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2020年03月09日

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はじめは「殺人鬼にまつわる備忘録」でうんざりするほど読まされたやり取りをまた…?と思ったけど、こういう方向に持っていくのか!
知の共有が究極的には個人へ回帰されるという流れは結構好きです。

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2020年01月02日

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ある日突然、記憶力がなくなり長期記憶が出来なくなった人類の話。
そして、未来のイタコのお話になる。
想像すると怖い設定の世界だけど、実際その当事者になると全く怖くないと言う不思議な世界。

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2019年09月22日

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作者の本を多く読んでいるわけではないが、記憶に関する本を多く出しているように感じます。今回も記憶に関する話です。
第一部では、全人類がある瞬間から長期記憶できなくなる状況について描かれます。この第一部は100頁程度ですが、これだけで一作、あるいはパニック映画の題材にすることができるほど面白いと感じました。長期記憶できなくなるとどうなるか、その時どのように対応するか、原子力発電の作業員も出てくるので、ハラハラするような状況になり、どうなるんだろうと思え、続きが気になる展開です。

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2025年05月16日

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ネタバレ

人類が突然、記憶する能力を失ってしまった世界でのお話。
当初はパニックに陥るものの、それから数十年後、記憶の外部記憶装置が完成し、人類はそれなくしては生きられなくなっていく……。

記憶力を失い、肉体と記憶が切り離された世界で起こる様々な事件。記憶装置なく生きることを決めた人々、そして死者の外部記憶装置を挿入して“口寄せ”するイタコ。
自己というものは何なのか、記憶や現実はどこまで信用できるのか。魂は一体どこにあるのか。
新人類の創世神話ともいえるのかもしれない。
色々なことを考えさせられる一冊です。

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2022年06月19日

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記憶と体が別々に存在することになった世界で起きる、様々ストーリーはやがて一つに収束していきます。人の心や意識が記憶に依存するなら、記憶って命なの?とか考えてしまいます。

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2021年11月18日

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ネタバレ

長期記憶を保持する能力を失った人類の未来についての物語。人の自我は記憶にあるのか、身体にあるのか、魂は存在するのかというテーマ。
記憶破断者を読み終えたあとだったので、全人類が同じ症状という設定は新鮮だった。終わりは結構謎だけど。

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2021年03月15日

Posted by ブクログ

「ある日、全人類の記憶が10分しか保たなくなる」というシンプルながら強烈な設定一本で、人類がそれをどう乗り越えるのかを描き、乗り越えた先にある混乱、人情、罪も描いているのが凄い。
第一部の民間人の混乱とそこから生まれる才能の開花、技術の発展はあくまでSF的ながらなるほどと思わせる。原発での話もこの状況を説明するにはマッチしているし、人間味があって良い。
そして第二部の、記録が「記憶」となった時代。人間の「こころ」や「たましい」は記憶と同値なのか、人の意思や意志は肉体と記憶どちらに宿っているのか、という「心の哲学」に踏み込んでいく。人間ならこんな行動をしてしまう、こういう選択がこんな結末に発展し兼ねない、というような空想の先にある「架空のあるある」を感じさせて、やはり面白い。
一つの思考実験としても興味深く、考えさせられる。小林泰三はこの題材を他でも使っているが、人類の行き先にまで解釈を広げたのは一つの到達点なのかもしれない。

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2019年10月27日

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