小林泰三のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
ついにあの人が主役に! 性格最悪でしかも○○までやっちゃってるけど、探偵としてはとっても有能な新藤礼都が活躍する連作ミステリ短編集。ずけずけと歯に衣着せない辛辣な物言いは実に爽快です。……だけど、実際には付き合いたくないよねこの人(笑)。というよりも、他にも関わり合いになりたくないような人がいっぱい登場します。実に癖の強い作品。
お気に入りは「パチプロ」。なんとも奇妙な状況の物語で、なかなか真相が見えませんでした。ううむ、なんとまあ手間暇のかかることを……!
「散歩代行」も凄いなあ。真相、なんとなく見当がつくのだけれど。まさかそれはなかろうと思っていましたよ。あまりにぶっ飛んでます。 -
Posted by ブクログ
子どものころ、よく親に「屁理屈だ」とか「理屈っぽい」などといわれたが、ロジックでしか推論できないし、ロジックでしか物理的世界に働きかけることができない。ロジックこそ人間がこの世界を生き抜くすべである。
とはいえロジックというのも使い方がある。ビンスワンガーが報告する、不治の病に冒された娘の誕生日に棺桶をプレゼントする統合失調症患者の話は、論理的に正しいことが、人間生活においては必ずしも正しくないことを示している。有用性のロジックと平行して、感情のロジックが働いているのだが、その片方しか見ないのは病的とみなされるわけである。
他方、不完全性定理が示すように、ロジックはそのシステム内では無矛 -
Posted by ブクログ
いわゆる記憶喪失というのがあるが、あれは一時的に記憶を失っているようにみえるだけで、脳の中に記憶は残っており、人間性まで変わってしまうわけではない。では、脳の記憶中枢が破壊されて、すべての記憶を失ってしまったら、私は私でいられるだろうか。記憶がなくなったら、もう私らしく振る舞わないような気がするが、そうだとしたら、記憶こそが自己ということになる。しかし、自己がただの記憶の連なりかというと、そうではないような気もするし、私の記憶を他人に植え付けたとしてもそれは私ではないと永井均ならいうだろう。
小林泰三はそうした問題をテーマに扱うため、「北」とか付く長たらしい名前の独裁国家の訳のわからない -
Posted by ブクログ
『AΩ』に次ぐ、小林泰三のSF長編第2作。
「天国と地獄」ではなく「天獄と地国」であるのが、設定を語っている。大地は頭上にあり、下は星海。落ちるということは遙か真空の宇宙空間に吸い込まれてしまうわけであり、これが天獄。人々は大地に穴を穿って住み、乏しい資源とエネルギーをやりくりして何とか「村」を維持している。大地の下には独立した岩塊「飛び地」があり、ここには空賊が住み、村を襲っては資源とエネルギーを奪う。破壊された村の生き残りは「落穂拾い」となって、一人乗りのオンボロ宇宙船を駆って、空賊の略奪の残り物を漁る。
という設定からすぐさま、この世界の人々は遠心力によって疑似重力を生み出している -
Posted by ブクログ
SF作品を8編収録した短編集。
小林さんらしい独創的なアイディアやグロ描写、ナンセンスなユーモアがたっぷり詰まっています。その一方で今まで読んできた小林作品よりとっつきやすい短編が多かったので、全体的に読みやすく感じました。
表題作「天体の回転について」は科学とは無縁の世界に住む少年が宇宙エレベーターに乗り未知の科学と宇宙の世界へ旅立つ話。
作中の宇宙エレベーターの説明も面白かったのですが、その案内役となるホログラムの少女のセリフが個人的にいらっとしました(笑)
というのも「さあ、笑って♥」「これを使ってね♥」という風に彼女の喋る言葉のほとんどの語尾にハートマークがつくからです(笑) -
購入済み
妙な話だなあ
ミステリーだと思って読んだら、ほとんどミステリーとは程遠い話ばかりでがっかりしました。しかし変わった話と思って読むと面白かったです。夢野久作と蘭郁二郎を合わせたような短編集でした。妙な話が好きな方にはお勧めです。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ同じ作者の作品が面白かったので買ってみた本。
天体の回転については科学を恐ろしいものと考えるようになった人類の中で科学に興味を持った青年?が天橋立(軌道エレベーター)に乗る話。リーナかわいい。
一応、ハッピーエンドなのかな?
妖怪がよくわからなかったけど、科学を使う人類のこと?
灰色の車輪はロボット三原則を主題にした内容。ちょいグロだったけど面白かった。
性交体験者は超絶エログロだった、こういうのはいい!
300万も予想外の展開で楽しめた。テラってそういうことだよねw
盗まれた昨日と銀の船は衝撃のラストで面白かった。
他の作品もなかなか面白かった。 -
Posted by ブクログ
―――場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作
円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など
冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚異の異世界を描いた7篇を収録したSF短篇集。
小林泰三(グロくない!笑”)
持てる想像力をフルに活用して楽しむタイプのハードSF
「世界がこういう形だったら」
「この場所にこんな力が働いていたら」
という前提から、ひたすら展開させていってるのはすごい
主に地学と量子力学の難しい概念も出てくるけど
解説にあるみたいに「充分に発達した科学技術は魔法と区別がつかない」から
もちろんファンタジーとして楽しむことも可能
『天 -
Posted by ブクログ
―――この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作
物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵Σ」
無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥穽「予め決定されている明日」ほか
冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける、邪悪な7つの罠。
小林泰三の短編集
私たちが常識として受け入れ、小指の甘皮ほども
疑いを入れない考えに
「ほんまに?」
と問いを投げかけ、足下をおぼつかなくさせる。
ハードSF、ミステリ、ホラー
どれも「いけるクチ」の人に読んでもらいたい
この中では、やっぱり『未公開実験』が一番面白かったな
不確定性原理とか量子力学もそやけど
や