あらすじ
両親が急死し、多額の遺産を相続した少女が恋をした。初めての恋が、彼女から財産も将来への希望も、何もかもを根こそぎ奪ってゆく。絶望の末に少女が出会った、すべての苦痛から解放してくれる「幸せスイッチ」とは?(表題作) 一刻を争う病状の幼女を搬送する救急隊員に、母親が無理難題を押しつけて翻弄する「診断」。鬼才が仕掛ける、邪悪で奇妙な6つの物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短篇集だが、各作品が横糸となって最後の「哲学的ゾンビ、もしくはある青年の物語」につながっていく。哲学的ゾンビ~は著者の別の作品「脳髄工場」と同じテーマだが、より洗練され完成度の高い物語となっている。
おすすめ度:5(5点満点)
Posted by ブクログ
「この本超危険」
表紙の謳い文句に誘われ読んでみた。
小林泰三さんの作品は初めてでしたが、とんでもなく奇抜な本でした。
近づいてくるメリーさんに対抗するために、さとるくん•テケテケ•カシマさんを呼び寄せ追いかけっこさせるというクソ訳わかんない話…「怨霊」
娯楽水道電気食事医療等全てにできる限りお金を使わずに、貯金残高の数字が増えることこそが幸せと捉える女の話…「勝ち組人生」
私とスマホどっちが大事?私と車どっちが大事?私とあなたどっちが大事?弁解がひたすら通じず大事なものが壊され続けるという、愛の試験をひたすら受け続けさせられる男の末路は…「どっちが大事」
腹痛を訴えているという子供の元に駆けつける救急隊員。しかし、ドクターヘリがいいだの、CTなんて被曝するから無理だの、腸が壊死してるなんて誤診だ!死んだなんて誤診だ!恐ろしく話が通じない母親がもう無理…「診断」
両親を飛行機事故で亡くし、その遺産を詐欺男に騙し取られ、男との子供も暴力で失い子供も埋めなくなってしまった女に、幸せスイッチの広告が目に留まる。
スイッチを押すとA10神経系が刺激され悩み事が生きる上で問題でないと思えるという代物を彼女は使い…「幸せスイッチ」
ガールフレンドとの話していると、少し前の時間に話したフレーズを繰り返していることに気づく主人公。友達に相談するも、なんとその友達にも同じ現象が発生し…物理的には触れられるのに世界中の人々が機械のように動いていることに気づく。狂っているのは俺なのか?周りなのか??…「哲学的ゾンビもしくはある青年の物語」
結構笑える部分もあるし、コメディ感満載ながらも、このイカれ具合が実際に起こっていることを想像してみると薄ら寒くなりました。
どの話も自分の持っている”常識”が全くもって通用しないという点で共通していて、おかしいのは向こうの方だと思いつつも、その異常さに自分も染まってしまいそうで恐ろしいなと(あなたの価値観さえも壊してしまうような…という表紙は言い得て妙!)
会話が多いからか、あっという間に読み終わりました。
Posted by ブクログ
『怨霊』
探偵Σが登場。懐かしい。解決策がバカバカしすぎるけど、バターになるの好きだな。
『勝ち組人生』
貧乏描写が鬼気迫っていて、辛い。ループ。
『どっちが大事』
なんとなく、奥さんの春子の冷たさに新藤みを感じた。
『診断』
頑なに自分以外の考えを受け入れない母親の姿に逆に好感のようなものを抱いた。強い。
『幸せスイッチ』
常々考えていたことを小説として出されて満足。いやほんと脳を騙して生きていきたい。それって生きるってことなのかっていう定義付けの話は脇に置いて。ほんとに。この世は地獄すぎる。
『哲学的ゾンビもしくはある青年の話』
書き下ろし短編としてのまとめのような、そんな面もありつつ、主人公の青年がいなくても噛み合う会話劇を描いててすごい。頭疲れる。
クオリアについての掘り下げがそれほどなくすすんだので逆に軽くて読みやすかった。
Posted by ブクログ
わかってて読んだんですが、ブラックでした。ホラーというほど明確な恐怖を描いているわけではありませんが、じわじわ来る怖さでした。「○○と私、どっちが大事なの?」はよくあるセリフですが、ここまで昇華されるともう脱帽です。
Posted by ブクログ
光文社ヤスミンの力の抜け方はクセになります。
コレという話は特にないのに、ついつい読んでしまう。
論理的な整合性と倫理的な破綻のバランスが、気持ち悪くて気持ち悪くて最高。
でもやっぱりSFを書いて欲しい今日この頃。
80点(100点満点)。
Posted by ブクログ
イヤミスならずイヤホラ。
こんなにイライラさせられる話を次々に読むのはなかなか無いかと。
一日で読めたし、ある意味すごいのかも。
この作者は今まで読んだことなかったので、他のも気になるがこんなんが多いのかな~それなら…う~ん(ーー;)