小林泰三のレビュー一覧
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表紙は「海を見る人」のワンシーン。
こうやって見れば、感傷にとらわれたせつない印象的な恋情場面なんですが。
このきれいだけど、せつない場面は、限られた期間だけの話ですよね。
老人の時間間隔では、おそらくきれいなままで見るだけでしょうけど。老人の死後、どうなっていくのかを考えたときに、ちょっとホラーなんじゃないかな?と思ってしまって、現実に引き戻されました。
なんか、そう思った自分が哀しい。
彼女が、引き伸ばされていくのって、そこまで観賞に耐えれるものですか?
舞台設定を理解するのに、体力使う物語が多かった。入り込むまでに、時間かかりました。
なので、入り込めたと思ったときは、たまらんね。 -
Posted by ブクログ
割と好きな作家さんの奇妙な物語集
でも最初の「見晴らしのいい密室」は夢や仮想世界でがっかり。ディック流の「目を擦る女」の斬新さはいいが、グロさが前面に出るから、テーマが読み取りにくい。
バカも『泰三泰三』言えってな感じの QR コード小説「探偵助手」は中身はさっぱり。
既読の「忘却の侵略」はシュレディンガーの猫ネタだから、やはり楽しい。かなり楽しい。このあたりから、ジャンルというかカテゴリーは SF になる。
オチがわかりにくいのが、難点の「未公開実験」はまぁまぁかなぁ。まさに王道テーマの「囚人の両刀論法」は楽しい SF だ。
そして既読の「予め決定されている明日」。いいね -
Posted by ブクログ
SF要素あり、ホラー要素ありのミステリ短篇、以下5篇を収録。
・「完全・犯罪」
・「ロイス殺し」
・「双生児」
・「隠れ鬼」
・「ドッキリチューブ」
相変わらず「なんじゃそら!」って感じの小林泰三らしいオチばかりで、とても楽しめましたよ。
本書で特に読み応えがあったのが、「双生児」です。これは、泰三小説のなかでも結構好きな作品に分類。
一卵性双生児の真帆と嘉穂は、物心がつくころに、親や周囲のひとたちから名前を間違えられ、そのうち、真帆は自分が「真帆」なのか「嘉穂」なのか解らなくなっていき…
オチは唐突すぎる感が否めませんが、それでも中盤の盛り上がりは異常です。
「ドッキリチューブ -
Posted by ブクログ
小林泰三は好きだけどこれはちょっと微妙だったなあ。最近いろんな本屋ではこれと『大きな森の小さな密室』がプッシュされている。けれど『大きな~』はともかくこっちはそんなに……。物足りないのはあれか、グロが足りないからか!?← どうせなら『海を見る人』をプッシュしてほしい。
以下各作品ごとに一言感想。
「完全・犯罪」
これは他にもっといいタイトルなかったのって感じ。四里川・四ツ谷コンビ?の新作にとっておけばいいのに。オチの脱力感はすさまじい。
「ロイス殺し」
普段の雰囲気とはやや違うが今回では一番おもしろかったかな。
「双生児」
割と通常運転なんだけど、角川ホラー文庫に収録されている作品に比べると -
Posted by ブクログ
5つのミステリ短編集。
表題作『完全・犯罪』読みたさに購入。
タイムマシンを開発した博士が、世界最初のタイムマシン開発者として名乗りを上げた博士をタイムマシンで殺し異にいって自分こそがタイムマシンの第一開発者であると名乗ろうとする話。
早い話がそういう話。
思っていたのとはだいぶ違ったけど、いいコントだった。
なんか、最近似た様なのを別なところで書いた気もするけど(だから気になってた)、全然似て非なるものだったので良かった良かった。
小林泰三氏と言えば、すっかり忘れていたのだけど、『玩具修理社』(角川書店)の方ですね。
結構前に読んだことがあります。
「あの神話」の系譜に連なる