小林泰三のレビュー一覧
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ネタバレ確か軌道エレベーターが話題になった時にいつか読もうと思ってWishlistに入れていた作品。小林泰三はどちらかと言うとぐろいホラー畑というイメージだったので、読み始めてから途中で「そういえば、この人って確かホラーなんじゃなかったっけ?」と気付いた(本人はSFが本職と考えているらしいが)。
表紙がアレなのでそういう話がメインかと思いきやそんなこともなく、SFとファンタジー(+グロ)の境界線で自由に発想を動かす短編8編を収録している。
短編集となるとどうしても作品ごとに当たり外れはやっぱりあって、個人的なお勧めはミステリー風味かつコメディタッチで読者にはまったく説明がなく物語が進んでいく「あの -
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とある別荘で起きた殺人事件。
被害者は鍵のかかった部屋のベランダから10mほど下の池へ身を投げて死ぬ。
落ちた瞬間は見ていないが三人の人物が被害者が部屋に入るところ、そこから誰も出入りしていないこと、悲鳴が聞こえてから被害者の二つ隣の部屋のベランダから下に倒れている被害者を確認した。
SFものやホラーものしか読んでこなかったがこの作品はロジックで積み立てられた純粋な推理小説である。SFな要素は主人公側にある。そしてこの要素は好きな人は好きだろうけど私は不要だと思う。物語に関わらなさすぎるしぼかされてもいる。
それと登場人物の女性が気持ち悪いくらい現実離れした会話をするため(他の登場人物は現実に -
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“「何を言ってるんだ?」ドッペルが真顔になった。「他人てのは俺のことか?俺はおまえじゃないか。自分で自分の記憶を思い出す切っ掛けを作ってるだけなんだから、おかしくもなんともない。それとも、まさか、おまえ俺を自分から切り離して考えてるんじゃないだろうな」
「そんなことはないよ」僕は慌てて首を振った。
「それで安心した」ドッペルに笑顔が戻った。「俺はまた、おまえが俺に名前でもつけたんじゃないかと冷や冷やしたぜ」
僕の全身にゆっくりと鳥肌が広がる。”[P.114_友達]
「脳髄工場」
「友達」
「停留所まで」
「同窓会」
「影の国」
「声」
「C市」
「アルデバランから来た男」
「綺麗な子」
「写 -
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探偵助手・四ツ谷礼子は探偵・四里川陣に命じられ殺人事件の調査に赴くことになる。その事件は密室にいたはずの被害者が外で転落死していた、という不可解なものであった。
自分の中で小林泰三さんはヘンな小説を書く人、というイメージが出来上がっているのですが(笑)、今作は礼子が事件関係者から話を聞く様子がとても丁寧に書かれていて
「あれ? 普通の本格ミステリだ」とすこし意外な印象すら感じてしまいました(笑)。
事件の調査をする礼子も関西弁やドタバタっぷり、四里川に振り回される様子も読んでいて楽しく、
「あれ? キャラもそこまでぶっとんでないのにいいキャラだな」と思ったり(普段小林さんにどんなイメ -
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ネタバレどんでん返しの傑作、と聞いていて、(まあネットの情報だけど)ずっと探していたのだが、絶版になっていたらしく、なかなか見つからず、今回再販ということでようやく手に入った。
内容はそれほど引き込まれるものではなかった。どんでん返しがあることは当然知っていたので、興味はどんな叙述トリックだろう?の一点に。
その体で読んでいると、明らかに怪しい所が・・・
ただ、そうなると警部の存在が・・・
最後は、ああ、なるほどね、と。
結構楽しんで読めた。
以前読んだ「大きな森の小さな密室」は、この作品の登場人物が多く登場する、スピンオフ的な作品だったのね。読む順番が逆だったら、楽しみ方も違ったのに、残念。 -
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“「馬鹿な。君はわれわれが架空世界の住人だと言うつもりなのか?」
「架空ではなく仮想です」Σは冷静に訂正した後、宙に向かって叫んだ。「さあ、正体を現すがいい。われわれを監視しているのはわかっているんだ」
「おい。いったい何を言い出すんだ?」警部の顔が青くなった。
「今回の現象がエラーによるものだとは思えません。不合理なことが出鱈目に起きているのではなく、ある種のシナリオにそって密室殺人が行われたように見えます。つまり、誰かがこの仮想現実に干渉して演出しているはずです。そして、そのようなことをした人物がその事件に関与する者を観察するのは自然なことです」
Σの言葉は一見荒唐無稽のように思える。しか -
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“でも、今ならまだ間に合う。即死していないところを見ると、動脈が切れたわけじゃない。手当てさえ早ければ、助かるはずよ。
「みさき、よく聴いて。このままだとあんたは死んでしまう」
「嫌だよ……。死にたく……な……い」
「助かる方法は一つしかない。なんとか電話をとって、そして、一一九に電話するの。そして、ここの住所を言って救急車に来て貰うの」
「でき……ない。難しい……」
「そんなこと言わないの!」わたしは泣き叫んだ。「それしか、助かる方法はないの」
「お母……さん、電話……して……」
ああ。それができさえすれば、どんなにいいだろう。でも、現実にはそれは無理だった。
あまりに面倒すぎる。
みさきの