伊坂幸太郎のレビュー一覧
-
流石の読みやすさ
しばらく活字が読めなくてヤキモキしていたのですが、伊坂さんのなら……と手にとって、その読みやすさに心底感嘆させられました。読みやすさって、読んでて引っかかりを覚えないで、よそ見をしないですんて、本当に助かるんですよね。カギ括弧が続いても誰の台詞かスッとわかる、というのは、意外と稀有なことなのだと思います。
本編は、夫を殺してしまった「量子」と、引退した歌手のマネージャーをする「斗真」の視点からなります。特に量子サイドは謎に次ぐ謎という感じで、最初は「これはどういう物語なんだ?」と全く先を読むことができません。そのストレスをおしても読みたくなる、真相が気になる、問答無用でページをめくらせる……これがプロの作家さんの力量かと、舌を巻きました。
正直、物語一番のどんでん返し(?)には途中で気づいてしまいましたが、そこは別に本題ではないんですね。あくまで、その先にある、あの決着こそが大切なのだと、読了した今は思います。
読めて良かったです。 -
ネタバレ 購入済み
サクサク読める
殺し屋シリーズが好きな人は多分好き。
どんでん返しとかは無いけど、ちょっとした伏線が多くて面白い。この4人が揃ったら無敵だなって安心しながら読める。どうせ成瀬が裏の裏まで見通してる、人生の解説書を読んでる男大好き。 -
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎の小説『魔王』を、キャラクターを学生に変更して大胆に再構築したコミカライズ作品。さらに同作者の小説『グラスホッパー』の世界観を融合させることで、原作ファンにも予想外の化学反応を見せてくれる意欲作です。
物語の軸は、『魔王』でも中心となる犬養と安藤の対立ですが、この漫画ではそこに『グラスホッパー』の主要キャラクター――暗殺者として高い人気を誇る蝉や槿が登場します。これにより、作品の熱量が一気に引き上げられ、「少年誌的な熱さ」のあるドラマとアクションが展開されます。蝉と安藤が直接ぶつかるなど、原作ではあり得ないクロスオーバーが実現している点も、ファンにはたまらない魅力です。
一方で、単なるキャラの寄せ集めに終わらず、『魔王』が持っていた“人間ドラマ”――権力に抗うことの苦しさや、希望を持つ意義といったテーマはしっかりと継承されています。少年漫画としての勢いと、伊坂作品ならではの静かな絶望と希望が同居する、独特の読後感が味わえます。
『魔王』のアレンジとしても、『グラスホッパー』のIFストーリーとしても楽しめるクロスオーバー作品。
原作ファンには新鮮な驚きを、初見の読者にはエンタメ性の高い物語を提供してくれるコミックです。 -
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎さんの作品は、貫井徳郎さんや薬丸岳さんの作品と違って初っ端からグイグイ引き込まれる感覚は無いのですが読み進めていく内にいつの間にか沼の真ん中に腰まで浸かっちゃっているという感覚です。前置きが長くなってしまいましたが、今回の作品はシステムエンジニア・渡辺拓海が請け負った仕事は、出会い系サイトの仕様変更といったもので今迄受けてきた仕事と比べわりかし楽な仕事と思いきや、自分の前にこの仕事を担当していた上司の五反田正臣は突如失踪。。。不明な点が多すぎる仕事に対し、渡辺は発注者に問い合わせる為に電話しても繋がらないし、コンタクトを取ろうとした事を上司に叱られる始末。渡辺はこのプロジェクトの謎を解明出来るのか?㊦が楽しみです!
-
Posted by ブクログ
「私の話」と「猿の話」が交互に語られまして、察しの悪い読者は、最初ドギマギしてましたけど、「猿の話」がずっとファンタジーなのに対して、「私」の話はどうやら「私」に不思議な能力あるの?っていうじわじわ展開。
最後は絡み合うんだなと思って、読んでましたけど、軽く裏切られました…けど、面白い。
助けられない事象に自己嫌悪を抱いてしまう心情を掘り下げられて、染みる。
そして、あとがきで知ることになる(事前に情報入れとかない私が悪い)本書は五十嵐大介氏の「SARU」とリンクされてるんです!!
本書で置いていかれてた私の「はて?」は回収されるのか!?