伊坂幸太郎のレビュー一覧
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“Fair is foul, and foul is fair.”
仙醍キングスという弱小野球チームに現れる「あるキング」。
彼の人生と、彼を取り巻く人間たちの人生とが絡み合う、劇的でない、でもドラマチックな物語。
連載→単行本→文庫本と改訂を重ねているあたりに、伊坂幸太郎の職人気質をすごく感じる。笑
文庫版は「わかりやすく」することを考えていたようで、だから私が理解できそうな(あくまで出来"そう"な笑)描かれ方だったのかもしれない。
きちんとマクベスを読んでいればもっと3人の魔女の描写など楽しく読めたかもしれないけれど、それでも巧妙に物語に歴史的な作品が練り込まれて -
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殺し屋の話とは思えない 本にはジャンルがあります。ミステリー、時代物、エッセイ、この作品は何に分類されるのかなって思いました。読み進めながらハッとする仕掛けに楽しませてもらいました。
フーガはユーガ、アヒルと鴨のコインロッカー、砂漠、どれも面白く手に取った777ですが、こちらも他の作品と違わず面白かったです。
ただ、殺し屋シリーズとしてグラスホッパーからのつながりをあることを知りませんでした。マリアビートル、AXアックスも機会を見つけて読みたいと思います。
殺し屋が何人出てきて、死体が何体積み上げられるのか、また、それらが一つのホテルで起きると言うストーリーには圧巻でした。細かいところは -
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ネタバレ巻末に伊坂さんのロングインタビューが掲載されていて興味深かった。
本作は「ゆうびん小説」という珍しい方法で発表された作品であり、太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」を完結させないか?という編集の提案から始まったという。
結局はオマージュとして伊坂幸太郎の新作となったらしいが、伊坂作風が好きなので良かったと思う。
伊坂さんの自己分析も的確すぎた。
「ちょっと変わったキャラクターとそれに振り回される人がいて、登場人物たちのやりとりが楽しくて、いろんなところに張ってある伏線が少しずつ繋がっていき、要所要所で「ああ、そうなんだ」とはっとする感じ」
正に!これが全部好き!
本作は主人公の星野が -
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伊坂幸太郎さんの著書は哲学的な表現が多いような気がします。
この本が出版されたのは2005年だと思いますが、日本の政治や政治家に対するアンチテーゼがテーマのように感じました。途中に次のような一文があります。
『聞こえのいいことばかりを口にし、何も決定せず、何も断言せず、憲法をはじめとする法律を恣意的に解釈し、国民を騙すかのようにずるずると、任期を務めていく政治家の無責任さ...』
今に始まったことではないですが、何か令和の政治家の有様を予言していたのではないかとさえ思いました。
主人公には自分が念じた言葉を相手が口に出す超能力を持っていましたが、伊坂幸太郎さんも未来がわかる超能力を持 -
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ネタバレ松岡茉優案件。
大好きな俳優の松岡茉優が本好き、読書好きと知り、彼女が読んだであろう本を、僕も読んでみようと思ったことが僕の読書動機。この文庫本に収められている『ポテチ』の映画版に“若かりし”彼女が出演していた。当時の彼女へのインタビュー記事には、伊坂幸太郎の物語は以前から読んでいたという趣旨の話が載っていた。具体的なタイトルの記述がなかったので、僕はこれから入手可能な伊坂幸太郎の物語を読み続けることにした。僕にとって伊坂幸太郎は、まだ2冊目。1冊目は『仙台ぐらし』エッセイ集だった。
『動物園のエンジン』
冒頭の一編は、いわばアイドリング状態。手ごたえを掴み損ねてしまったのは残念だけど、そ