伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ伊坂氏による2015年の発表作品。
国家(平和警察)が市民を疑心暗鬼にさせ、火のないところに煙を立たせるかのような、ディストピア風テイストの小説。
洒脱な会話描写はいつも通り。いわゆる第二期のモヤモヤな進行ながら、最後はやや明るめな結末が特徴か。
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そうですね、本作、まず感じたのは「ゴールデンスランバー」に似ているかな、というところでしょうか。
「ゴールデンスランバー」は主人公青柳が、突然爆破殺人の罪に着せらせるというものでした。その視点は一人称的に描写され、主人公が信じていたものが眼前で次々と崩れてゆく・信じられなくなってゆく様が、背筋を凍らせるかのような作品でありました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ元は別々の短編であったものを、再編して一つの緩やかな流れを共有する物語とした、と解説を読み、腑に落ちた。「密使」でのSF的なストーリーの繋げ方は個人的にはちょっと違和感あるものの、個人の持つ勇気というか決意、のようなものは通底しているし。
伊坂先生の作品はまだそれほど読んでいないのだが、「魔王」や、中村文則先生の本は、時々、個人の意志を押しつぶし、ないしは、ほんの少しだけ曲げて、誰かや何かの都合の良いように変えようとする力が書かれているように思う。
無力な、あるいはほとんど無力な個人が、それでもなお、と決意する事が勇気であるなら、それを見た人が、誰が一人でも、自分も決意しよう、と思うのなら。世 -
Posted by ブクログ
すっごい昔に微かに読んだ気がするから、再読か?
主人公が『あのバス』で連れて行かれる前に、監視役の繭美と共に、五股をかけている彼女たちにさよならを告げにいく。
一人目はいちご狩りで出会ったあかり。ジャンボラーメンを一彦が食べ切ったら別れる事に。しかし、一彦は隣でジャンボラーメンに苦戦してる男を助太刀したため、自分は食べれない。でも、あかりは一彦の優しさを再認識し、一彦の幸福のために別れる。
二人目はシングルマザーのりさ子。当て逃げ犯を見つけようとしたり、クリスマスプレゼントをあげたり、りさ子の幸せを考える一彦。
三人目はロープで泥棒みたいな事が好きなユミ。ユミの友達の家が強盗に襲われた時に一緒 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2009年の伊坂幸太郎氏の作品。
2000年初頭の奇想天外なエンタメ作品を彷彿とさせる先の読めない作品でした。
相変わらずの軽妙な語り口、個性的なキャラ、そして想像もつかない結末。
ってか、悪魔祓い、株の誤発注、西遊記、これらの要素が絡むエンタメ作品って、想像できますか!?
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特長的なのは二つのストーリーが次第に交錯してゆくところ。
一つ目の話は、イタリア公認の悪魔祓いの「エクソシスト」遠藤二郎の話。
かつて憧れだった近所の「辺見の姉さん」の子の眞人の引きこもりにつき、この「姉さん」から相談に乗ってほしいと依頼を受けたもの。
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もう一つの話は、ロジック・因果を突き詰め -
購入済み
不思議さ
全体を通じて「不思議さ」を感じた。対立の設定がある中で作者のストーリー展開があり、またユーモアもあり、それらの化学反応、相乗効果を感じたのかもしれない。