伊坂幸太郎のレビュー一覧
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新幹線の揺れ
この作者らしい、時系列をあえて入り乱れさせた技巧的な構成と軽妙な会話がとても目立つ作品である。使いつくされた舞台であるが新幹線車内という舞台は緊張感を盛り上げるのに適している。同じ作者の「魔王」でも描かれていたが、面白半分に人の心理や行動を自在に操る人物の造形が大変に際立っている。特にこの作品では「中学生」という形を取っているので悪魔的で更に目立つ。あまりにも真に迫ってうまく描かれすぎているので、嫌悪感を催してしまうほどである。
ところで新幹線の揺れが大きな役割を果たしている。東北新幹線ってそんなに揺れたっけ? -
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すごい作品!
コロナ前に書いた作品と知って驚きました。
コロナ感染初期頃のパニックの様子、マスコミやネットなどのでの錯乱状態がコロナと重なってて、未来を見通す力が伊坂幸太郎さんにはあるのでは?と、思ってしまいました。 -
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主人公自身は野球をしているだけなのに、彼が野球を続けるために、様々な悲劇が巻き起こる。
この小説は決して気分が良いものではない。だがユーモアな文体でどんどん読み進めさせるのは、さすが伊坂幸太郎。ある天才の報われない一生と言えばそれまでなのだが、その描き方はやはり伊坂節が効いていたし、伏線の回収も綺麗にされ、天才(王)というものに対する畏怖も存分に感じられたので、こちらでの評価の低さに驚かされた。
またおそらく次の天才が生まれるのだろうが、ただこの天才のいうものが全員イコールになるわけではないのがまたおもしろい。ネタバレになるため言葉は伏せるが、南雲慎平太が引退時に言った台詞を、果たして王求は感 -
Posted by ブクログ
コミックパートを小説に挟み込むという新たな試みで、後半の盛り上がりに向けてどんどんアップする緊張感とスピード。
伏線回収もあり。
面白かった。
文庫化にあたり加えられたあとがきにもある通り、コロナ禍以前に書かれた小説なのだから、驚く。
今の現実社会の状況も合間って、途中、妙にドキドキした。
それとは別に、「人間を動かすのは、理屈や論理よりも、感情だ。……パニックを起こすのも感情だが、罪を大目に見ようというムードを生み出すのも感情、というわけだ。」というラスト間近の文章にも、私は、最近の全く別の事件が思い起こされて、不思議な感覚に捕らわれた。
今こんな状況になるなんて想像もつかなかった頃に書かれ -
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さわやかどんでん返し
伊坂幸太郎さんらしさ全開の青春小説。
ライト文芸キャラクター小説寄りで、小説が苦手な方でも読みやすいと思います。内容も万人受けするものですので、後悔はしないでしょう。
また、叙述トリックもストーリー上の必然性があって無意味などんでん返しではなく、各所にある伏線からも伊坂さんのフェアプレイ精神を窺えて非常に好印象です。
自信を持ってお薦めできる一冊です。 -
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すんなり入ってくる学生生活
歳を重ねて学生たちが主役の話が読めなくなっていました。照れなのか、嫉妬なの…理由ははっきりさせたくありません。
後書きに読者からの支持が高いとありましたが、自分がこの物語をすんなり読めたのは、作者の作品だからなんだと思います。主人公達が学生であろうとなかろうと、起こる事件に対応していく様に好感がもてたというか。
そして、砂漠に踏み出していった彼らのその後の物語を読みたいと思っています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻は殺しの描写が結構エグくて少々読み進めるのがしんどかったが
2巻はそれがなくなった訳では当然無いのだが
岩西と蝉との会話やその後の展開など
予想の範囲を少しずつ逸れて話が進んでいくのが
流石に伊坂先生っぽくて惹き込まれる。
小説『首折り男のための協奏曲』も読んでいるので
首折り男が出てくるのもハラハラする。
自殺したいと思って悩んでいた苺原とは言え
こんな死に方をしたいとも
実際死にたいとも思っていなかった訳で
蝉は兎も角苺原は、
ただ首折り男に似ているだけでとんでもないことに巻き込まれてしまって大変気の毒なわけだが
現状を打破するきっかけになるのか否か。
続きが気になる。 -
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面白い!
映画化してるだけのことはあり、なかなか面白かったです。
原作の小説や映画の方も見てみたくなりました。
この作者さんの小説はみんな面白いですね。 -
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続きをもっと
物語が繋がっていく。一巡する。読者の想像で、それぞれの話を補填するのかもしれないが、それこそ、小説の題名通りだが、もう少し続きを読みたい。