【感想・ネタバレ】モダンタイムス(下) 新装版のレビュー

あらすじ

5年前の惨事──播磨崎中学校銃乱射事件。
奇跡の英雄・永島丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。
もうひとつの検索ワードを追う渡辺拓海は安藤潤也にたどり着くが、
事件との繋がりを見出せないまま、追い詰められていく。
大きなシステムに覆われた社会で渡辺は自身の生き方を選び取れるのか。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

目に見える拷問的な暴力と「そういうことになっている」システム的な見えない力。いろいろな「力」と意表を突く展開に恐怖し憤り踊らされ···清々しい脱力感!芯の強い女性、読者に委ねる正義や良心の解釈、遊び心とユーモア、伊坂さん大凝縮の大長編!

単行本の分厚さにビビって上下巻にわかれた文庫なら読めそう、という謎の理由で(あと旅のお供に)今回文庫版を選びましたが、文庫版あとがきによると「文庫化にあたり、大きな変更」がされてるそう。そんなこと言われたら気になるじゃないですか!
時間を置いて単行本も読むべきです、絶対。笑

”人はいつだって、得意なやり方で、世の中とぶつかっていくほかない。そして、得意なやり方はたいがい、一人にとって一つだ。”

”たとえ、自伝や年表に載るような大きな出来事が起きなくても、小さな行動や会話の一つ一つが、人生の大事な部分なんです”

0
2025年10月20日

Posted by ブクログ

魔王、呼吸の続編。一気読みしてしまった。SEの描写がすごいリアル(私、同業)だと思ったら、伊坂幸太郎も元SEなのね。

0
2025年08月03日

Posted by ブクログ

『ゴールデンスランバー』と同時期に書かれたとのことで、両者の共通点と相違点を考えるのも楽しい。
物語の着地としては本作の方が好き

0
2025年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!!!!!

アリのコロニーやナチスドイツの話など、
我々にも「システムの細分化は良心をなくす、
そして諸悪の根源は存在しない」
ということは馴染み深いんだ、と受け入れられた。

それと同時に
そんなシステム主軸の世界は無味乾燥だなぁと思っていたところで終盤、

「大きな目的で生きてるんじゃない。
もったい小さな目的で生きてるんだ。」

ハッとしました笑
ど真ん中正解でなかったとしても、
圧倒的カタルシス…!

そして主人公が最終的に国家やシステムに立ち向かわず、妻と愛し合って暮らしていくのも
斬新でそれ以上にリアルだなと思いました。
なんにせよ
直前の妻の「愛してる」や岡本猛との会話などもあり
とてもいい読後感でした!!

魔王含めてまたいつか読み返したいですねー
(にしても佳代子強すぎませんか笑)

0
2024年12月19日

Posted by ブクログ


印象に残っているワード
・人は大きな目的のために生きているわけではない、小さな目的のために生きてるんだ。
・情報が拡散されたこの社会で、どの情報が正しく、何が間違っているのかが、はっきりしない。ただ、少なくとも、妻と自分のささやかな場所と時間は損なわれないはず。

この情報社会で、人は、何が正しくて、何が間違っている、ということを、自分の関係のないことまで首を突っ込み、ジャッジしている。匿名であることを逆手に、SNSでの誹謗中傷も増えている。
仕事は細分化され、仕事だから、という理由で悪いことも平気でする人が世の中にはごまんといる。良心がない、と表現されていた。
一方で、日本の社会人は、病んでしまい、自殺をする人も多いと聞く(他国に比べると)。社会の歯車の一員でしかないんだから、そこまで思い悩むこともないかもしれない、代わりはいくらでもいる、つまりは仕事としてやっているので、そこまで悩まず、嫌ならやめれば良い、その人の心があるうちに。そういうことも示唆している気もした。

「そうなっている」社会の仕組みに、どう抗っていくか、面白かったけど、一方で考えさせられる小説だったと思う。
情報に振り回されず、正しいと思えるものを信じ、妻とのささやかな時間を大切にしていきたい。

0
2024年09月01日

Posted by ブクログ

上下巻まとめての感想

また時が経ったら読み返したい出会えて良かった一冊。
上巻は特に怒涛の展開で、あっという間に読んでしまった。途中、なかなか残虐なシーンがあり、そこは読むのが辛かった。井坂好太郎には笑いました。
心に残ったワードは「楽観とは、真の精神的勇気だ。」ほんとついつまらないことを心配して気を揉んでしまう性格なので、このワードを心に留めておきたい。

「文庫版あとがき」で文庫化にあたって改訂されていたことが書かれていました。機会があれば、改訂前も読んでみたい。

「魔王」を読んでなくても楽しめるけど、読んだ方がより一層面白い。そういえば、魔王では「死神の精度」の千葉さんが出てきたんですね。
同時期に書かれたという「ゴールデンスランバー」もぜひ読んでみたい。

0
2024年05月11日

Posted by ブクログ

これまで読んだ伊坂幸太郎さんの作品の中で、最も大作で最も考えさせられる小説に感じた。
この内容を10数年前に描かれたことに予測能力の素晴らしさを感じる。
「システム」という主題については考えさせられたとともに、強く共感できる内容であり、今後の人生での考え方の一つとして参考になった。
主人公の奥さんの生き方は爽快で一途で強靭で、なってみたい人物だった。

0
2023年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

単行本は2010年に読んでいる。
小説は少し書き換えがある。

13年振りの再読で、かなり久しぶり。

そんな前の小説なのか?っていうほど、未来の設定だとは言え、現代に通じている。

伊坂幸太郎さんの小説を読むと、タイミングがよく合うので恐ろしく感じることもある。

最近、伊坂幸太郎さんの小説を再読し始めたのだけど、時代は繰り返しているのか、でも、未来を予言でもしてるかのように思えてしまう。

今回、たまたまこの小説を再読したけど、最近強く仕事で思っていたことが書かれている。

そういうことになっている…というシステム。

細分化されたことで、よからぬことに加担していても罪の意識が弱い、あるいは全くなくなる。

私はある会社のシステムを使っているけど、そこの会社は大きいので細分化され、末端がユーザーと直接やりとりすることになるので、変化を求めることができず、上に意見はあがらない。末端は話を聞いてるだけである。
たくさんの声が集まれば多少なりとも動く部分はあるが、ある部分は将来的にはシステムの大損失にも繋がるのに、変えようとしない。何かを守ってるように思える。
…と詳細を書かずモヤっとしたことしか書かないけど、そういうモノというのは身近にある。

細分化されていると、変化をもたらすのは難しい。

“そういうことになっている。”

どこからそうなったのかわからないけど、そういうこと。





0
2023年07月27日

Posted by ブクログ

文庫化にあたり、ある事件の真相について変更があったそうだが、最初に出た方は読んでいない。人生は要約できない。削ぎ落とされたところが大事。物事なんて見る角度を変えれば、何が正しいのかなんて分かんなくなっちゃう。小説で世界なんて変えられねえ。届くかも。どこかの誰か、一人。名言がてんこ盛りで、心に響く。また、検索することで、自分がどういう人間か情報を与えてしまっているというのが、今のチャットGPTに通じるものがある気がした。

0
2023年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SF、アクション、サスペンスと熱い要素てんこ盛りのうえ構造的な話や創作論まで入っていてめちゃくちゃ面白かった。「小説で世界なんて変えられねえ。ただ、1人くらいに、届くかもしれねえ。」なんてセリフを”胡散臭い小説家”井坂好太郎なるキャラクターが放つものだから、季節外れの炎天下ひとり昼休み中華屋の行列に並びながら読んでいたのにも関わらず泣いてしまった。いやーちょっと舐めてました。
「モダンタイムスを読みなさい、絶対。」

0
2023年05月22日

Posted by ブクログ

魔王から続く、何十年後かの世界の話。
SEの主人公はとある仕事で怪しげなサイトを見つける。関わる人々がみなアクシデントに見舞われる、そのシステムの謎とは?
国家とはシステムであり、コロニーであり、誰かの大きな意図で動いてるものでらない。みなその部品なのだ。でも、みんな目の前のことくらいは変えられるかもしれない。そんな話。
浮気を許さない謎の妻、謎の小説家、拷問担当の髭男、などユニークな登場人物で重いテーマも軽快です。面白かった!

0
2023年03月01日

Posted by ブクログ

『播磨崎中学校事件』
『安藤商会』
『個別カウンセリング』…
どう繋がっているのか⁇
渡辺拓海は、『安藤商会』の祖、安藤潤也にたどり着く。
が、真相はつかめないまま…
そして、友人の作家・井坂好太郎が、
佳代子の友人・岡本が…

『播磨崎中学校事件』の英雄から国会議員となった永嶋丈にコンタクトする、拓海、佳代子、五反田、大石。

真相は…

真実を隠すために。
隠蔽するために。
『播磨崎中学校事件』が作られていたなんて…
検索しようとすると…
何が本当なのか。
何が嘘なのか。
ここまでいくと国家は何でも捏造できるよな…
こんなシステムが…
ただシステムだけで、誰が命じているのかは⁇
本当にただのシステムだなんて…

検索する、イコール、正しい情報とは限らない。
フェイクニュースがフェイクニュースだと思えない、現代。
検索に頼ってばかりでもいけないと思える。
自分で真実を確かめなければと。

拓海の特殊能力には期待したんだか…
潤也の兄と同じ能力だったとは、ちょっとがっかり。
絶対絶命の場面でこの能力なんて…
佳代子の強さにはびっくり。
でも本当に佳代子は拓海が好きだったんだと。
だから浮気は許さないと…
結局、桜井ゆかりは何だったんだろうか⁇

『魔王』からの『モダンタイムス』。
連続で読むべきですね。
3部作とした方がよかったのかも…
『魔王』でモヤモヤ感が残り、『モダンタイムス』上、下に手がだせなかった。
3部作なら続けて読まざるを得なかったのに。
『モダンタイムス』下を読んで、すべてがつながり、『魔王』のモヤモヤもスッキリしたような。


0
2025年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

偽造しようと思えばできてしまう世界。国家とかそういうレベルになれば、世界を騙せてしまうんだろう。それはフィクションの世界にとどまらず現実でも起きているんだろうと思う。
主人公は都度、勇気はあるか?と問われているが、それは読んでる側にも問いかけられているように感じた。何か理不尽なことが起き、それに抗う勇気を持ち合わせているのか。何もでっかいものに抗わなくてもいい、せめて自分の周りの小さなことに挑戦する勇気を持っていたいと思う。

0
2025年02月24日

Posted by ブクログ

読むまで忘れていたけど自分の根底に溶けて沈んでた言葉を思い出せてよかった。
「人生を楽しむには、勇気と想像力と、ほんのちょっとのお金があればいい」ってやつ

0
2025年01月22日

Posted by ブクログ

読めば読むほど『そういうことだったのか!』と分かっていくのが爽快。いつもなんでも検索しちゃう人間としては、ほんとに怖い。あと、伊坂好太郎さんの言葉が全体的にとてもよかったです。笑

0
2024年03月27日

Posted by ブクログ

単行本から大幅な改訂が行われていると聞き、どう変わったのか知りたくて文庫本を読んだ。

上巻も所々変わっていたところもあったが、特にこの下巻は大きく改訂されていた。
ただ国家というシステムに立ち向かうという大きなテーマ自体は変わっておらず、むしろそれが強調された様な印象を受けた。

新装版への解説の最後に、オマケとして文庫版と単行本の違いを簡単に紹介されていたので気になる人は読んでみるとよいかも。

0
2024年01月22日

Posted by ブクログ

緊張感と疾走感で直ぐに読み終えた。
自らが社会の一部に組み込まれていることを認識し、それを見直す面白さがあった。

0
2023年12月24日

Posted by ブクログ

面白かったです。
会話の中に常に読者、主人公を試す内容が多く、私も考えながら読んでましたが、テーマは正直大きすぎて作品の中で答えは出せませんでした。ただ、その時間が楽しいです。
私なりに、国家はブラックボックス、これに尽きる話に感じました。テーマはもう少し大きいのですが、投げやりにもできないけどどうしようもない課題、でした。

0
2023年11月20日

Posted by ブクログ

拷問シーンはかなりゾワゾワしたが、それでも そこまで感じさせないところがイイ。
なかなか主人公の超能力が出てこない。が、最終的には妻の佳代子が強かった。強い妻を持っていることが超能力かも。
作中にもあったように、現代社会においても大きな流れ=システムには逆らえず、笹舟のように流されて過ごしているが身近な小さい事くらいは自分の意思で変えていきたい。

0
2023年11月10日

Posted by ブクログ

とんでもない場面はコミカルに、ところどころ熱く、たまに温かい。人生は要約できない。死んでもなおウザいのは井坂好太郎さん。伊坂幸太郎さんらしい作品で登場する人物たちに親近感ぎわく楽しさ。10年以上前(2007-2008)の本ですが現在に通じるところも素晴らしい。

0
2023年09月02日

Posted by ブクログ

面白かったです。上下巻ですが、比較的短期に読み切りました。上の方が面白かったかな。伊坂幸太郎さんはやはり長編が良いです。「アイスピックは氷を刺すから、人を刺すならヒトピック、ニクピック、逆さにしたらピクニック」のくだりはいつか使いたいですね(笑)。「そういうものだ」ってとこも共感してしまいました。

0
2023年08月20日

Posted by ブクログ

私たちはシステムの一部で、すべてのことは「そうなっている」

大きな目的ではなく小さな目的のために動く
それしかできない

人生は要約できない
こうやってのんびり本を読んで感想を書いている今日も人生の大事な部分だね

惨いシーンも多いけど軽快に描かれていてなんとか読み切れた
読んで良かった

0
2023年07月07日

Posted by ブクログ

浮気を疑う妻が怖い。
でもそれこそが運命をともにする伴侶であり、目の前の守るべき存在。いや守られているのかも。

アリ自体は賢くない、コロニーが賢い。

システムのために、世界は勝手に回っていく。

大いなる力、システムの中では部品である我々はなんのためにその仕事を、その行為をしているのかわからない。悪意さえもそこからは消えていく。

恐ろしい現代風刺の物語であり、その中で我々はどう生きていくかを提示してくれる、愛すべき物語だった。

0
2023年04月19日

Posted by ブクログ

やっと50年前の出来事の結びつきが

真実なんて人の見方次第だよねーって
思ってたら、見事にちゃうんかーいって
やっぱり一気に読んじゃった。

妻の正体が知りたいわー

0
2023年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん、、社会の仕組みについて考えさせられた。

特に興味深いところ記録↓

国家は国民を守るためにあるのではなく、国家自体を存続させるためにある。国家を存続させるためには停滞が最も良くないから、定期的に犬養みたいな英雄、力を持つカリスマ的人間の登場が必要らしい。そんな人たちが料理の出汁をとる肉と喩えられてるのが印象的。それがないと料理はできないけど、料理が出来上がった頃にはもう中身すかすかで捨てられている、みたいな。犬養自身も「自分はシステムの一部に過ぎない」と言っていたことが分かって、魔王で出てきた時と印象が変わった。

どうしても気になるのは佳代子、何者?と佳代子、さすがに旦那にやりすぎでは、、?

0
2023年03月06日

Posted by ブクログ

やっと理解した。
結局何も変わらないということが良く分かった。
ただそれだけの話をこれだけ面白くするのはさすが伊坂さん。

「昔は良かった、とかよく言うけど、昔も良くはねえんだよ。いつだって、現代ってのは良くなくて、だからな、俺たちは自分の生きてるその時と向き合わないといけねえんだ。音楽も映画も、その時の自分たちの時代と立ち向かうために作られたものなんだよ」

0
2023年03月01日

Posted by ブクログ

面白く読み進められた。
勇気はあるか?のキーワードに対する答えの変化も興味深かった。
奥さんのキャラクターが大好きになった。

0
2025年07月06日

Posted by ブクログ

少し未来の話
魔王の続きだったみたい
覚醒した主人公には安藤兄が憑いた、ってこと?
サッパリ気持ち良い結末!てわけではないと感じた
全編通して「こんな世の中になったらどうする〜?」って問われてる感じ(ファシズムとか)
主人公の妻は何者だったんだろうか…

0
2024年06月24日

Posted by ブクログ

我ながら、なんとなく奥さんや拷問のお兄さんが好きになっていってることにストックホルム症候群みを感じてこわい。

0
2024年03月04日

「小説」ランキング