あらすじ
5年前の惨事──播磨崎中学校銃乱射事件。
奇跡の英雄・永島丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。
もうひとつの検索ワードを追う渡辺拓海は安藤潤也にたどり着くが、
事件との繋がりを見出せないまま、追い詰められていく。
大きなシステムに覆われた社会で渡辺は自身の生き方を選び取れるのか。
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Posted by ブクログ
面白かった!!!!!
アリのコロニーやナチスドイツの話など、
我々にも「システムの細分化は良心をなくす、
そして諸悪の根源は存在しない」
ということは馴染み深いんだ、と受け入れられた。
それと同時に
そんなシステム主軸の世界は無味乾燥だなぁと思っていたところで終盤、
「大きな目的で生きてるんじゃない。
もったい小さな目的で生きてるんだ。」
ハッとしました笑
ど真ん中正解でなかったとしても、
圧倒的カタルシス…!
そして主人公が最終的に国家やシステムに立ち向かわず、妻と愛し合って暮らしていくのも
斬新でそれ以上にリアルだなと思いました。
なんにせよ
直前の妻の「愛してる」や岡本猛との会話などもあり
とてもいい読後感でした!!
魔王含めてまたいつか読み返したいですねー
(にしても佳代子強すぎませんか笑)
Posted by ブクログ
単行本は2010年に読んでいる。
小説は少し書き換えがある。
13年振りの再読で、かなり久しぶり。
そんな前の小説なのか?っていうほど、未来の設定だとは言え、現代に通じている。
伊坂幸太郎さんの小説を読むと、タイミングがよく合うので恐ろしく感じることもある。
最近、伊坂幸太郎さんの小説を再読し始めたのだけど、時代は繰り返しているのか、でも、未来を予言でもしてるかのように思えてしまう。
今回、たまたまこの小説を再読したけど、最近強く仕事で思っていたことが書かれている。
そういうことになっている…というシステム。
細分化されたことで、よからぬことに加担していても罪の意識が弱い、あるいは全くなくなる。
私はある会社のシステムを使っているけど、そこの会社は大きいので細分化され、末端がユーザーと直接やりとりすることになるので、変化を求めることができず、上に意見はあがらない。末端は話を聞いてるだけである。
たくさんの声が集まれば多少なりとも動く部分はあるが、ある部分は将来的にはシステムの大損失にも繋がるのに、変えようとしない。何かを守ってるように思える。
…と詳細を書かずモヤっとしたことしか書かないけど、そういうモノというのは身近にある。
細分化されていると、変化をもたらすのは難しい。
“そういうことになっている。”
どこからそうなったのかわからないけど、そういうこと。
Posted by ブクログ
SF、アクション、サスペンスと熱い要素てんこ盛りのうえ構造的な話や創作論まで入っていてめちゃくちゃ面白かった。「小説で世界なんて変えられねえ。ただ、1人くらいに、届くかもしれねえ。」なんてセリフを”胡散臭い小説家”井坂好太郎なるキャラクターが放つものだから、季節外れの炎天下ひとり昼休み中華屋の行列に並びながら読んでいたのにも関わらず泣いてしまった。いやーちょっと舐めてました。
「モダンタイムスを読みなさい、絶対。」
Posted by ブクログ
偽造しようと思えばできてしまう世界。国家とかそういうレベルになれば、世界を騙せてしまうんだろう。それはフィクションの世界にとどまらず現実でも起きているんだろうと思う。
主人公は都度、勇気はあるか?と問われているが、それは読んでる側にも問いかけられているように感じた。何か理不尽なことが起き、それに抗う勇気を持ち合わせているのか。何もでっかいものに抗わなくてもいい、せめて自分の周りの小さなことに挑戦する勇気を持っていたいと思う。
Posted by ブクログ
うーん、、社会の仕組みについて考えさせられた。
特に興味深いところ記録↓
国家は国民を守るためにあるのではなく、国家自体を存続させるためにある。国家を存続させるためには停滞が最も良くないから、定期的に犬養みたいな英雄、力を持つカリスマ的人間の登場が必要らしい。そんな人たちが料理の出汁をとる肉と喩えられてるのが印象的。それがないと料理はできないけど、料理が出来上がった頃にはもう中身すかすかで捨てられている、みたいな。犬養自身も「自分はシステムの一部に過ぎない」と言っていたことが分かって、魔王で出てきた時と印象が変わった。
どうしても気になるのは佳代子、何者?と佳代子、さすがに旦那にやりすぎでは、、?