伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
会津若松の猪苗代湖を舞台にしたおとぎ話。伊坂幸太郎のおとぎ話は細かい設定や描写のない寓話的、絵本的な物語でありながら、本作はその小さなスパイの話が現実の出来事と干渉して進んでいく。物語としてはちょっとした些細な偶然や行動が何かのきっかけに繋がる物語で、特に盛り上がりのある話や教訓めいたものはないものの、そうした偶然性が連なっていくのが連作短編のスタイルとも合っている上、一貫して「頑張っている人が報われる」ことを願っているのがとてもいい。それは伊坂幸太郎作品の描く「素朴な善性」であり、ちょっとしたしょうもない偶然や馬鹿馬鹿しい奇跡が人の心をほぐしていくというのも良かった。奇跡は別に劇的である必要