伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ数々の大災害が人類を襲いその原因は人工知能「天軸」の暴走とされ、五十九彦、三瑚嬢、蝶八隗の選ばれし3人は天軸の開発者「先生」が残した絵画「楽園」を手掛かりに天軸を探す旅に出る。巨大樹の麓に残された天軸には先生からのメッセージが残されていた。人類を追い詰めた大災害の原因がAIの暴走ではなく、自然知能(Nature Intelligence(NI))が地球にとっての脅威である人類を排除し始めたことによるものだった。意図せずNIを再稼働させてしまった3人は人類の滅亡を予期しつつ大きな嵐に身動きがとれなくなっていく。
西遊記を思わせる人物設定の大人のための童話。100ページほどの短い物語だが、とぼけ -
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正直に言うと、小学生を主人公にした小説は苦手である。胸が苦しくなる。人生経験が少ないからこその純粋さがまぶしいからでもあり、その純粋さが含み持っている残酷さと傷つきやすさが、安易に物語を楽しむことを許してくれないような気がするのだ。傷つきやすいくせに傷つきやすい、未熟なくせに自分なりに一生懸命考えて頑張る。人間という生き物の危なっかしさを、オブラートに包まずあからさまに掲げているようで、痛々しくも愛おしくなる。
この物語に出てくる少年・少女たちも同じである。作者はそういう子どもたちの姿を、温かく描き出している。どいつもこいつも危なっかしく、平気で傷ついたり傷つけたり、小さな心でたくさん -
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前半、あまりのゾワゾワ感に
何度も読む手を止めたが、
後半の勢い、伏線回収の艶やかさは素晴らしく、
一気に読み終えた。
一見リアルな逃亡劇だが、
奇跡的なタイミングや出会いはファンタジー的。
あくまでも創作であることを忘れてはいけない。
メディアの情報操作、利権と政治、陰謀論・・・
ノンフィクションと言うにはあまりにリアルで、
当たり前だと感じている生活への警鐘とも取れる
一冊。
真実というのは視点や人それぞれかもしれないが、
存在する事実は一つなのだと思う。
何かの判断や意思決定の際には、なるべく多くの
事実を多角的に収集することが大切だと感じた。
あと、借金は人の心を曇らせる、とも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「先入観」がテーマになっているので、「なるほどなぁ」「たしかに」とハッとさせられる部分がちょこちょこあった。
個人的に好きだったのは「スロウではない」「アンスポーツマンライク」。
「スロウではない」の展開は、私自身も先入観で騙された。
もし大人になってから仲良くなった人や結婚を考えている相手が、昔いじめをしていた人だったら。そのいじめによって相手が命を落としてしまっていたとしたら。たとえ本人が改心してその後は真っ当に生きていたとしても、自分は許せるだろうか?と答えの出ない問いをしばらくグルグル考えてしまった。
「アンスポーツマンライク」はシンプルに胸熱展開だったな、と。子どもの頃に言われた