伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ小さな奇跡の積み重ねの本
短く読みやすかった。場面が1ページごとぐらいに代わっていくので、自分としては次々とくる展開に面白くすぐ読めた。また、不快感もほとんどないため3時のおやつ的な感覚で読める。
今回は主人公に感情移入して読めた。特にこれといったことがなく、周りで何かが起こる。こういうところが自分と重ね合わせてしまった。
作中所々にでてくる歌は、なんとなく日本のブルーハーツとかの雰囲気を感じた。全部がおんなじ人の歌詞な感じがする。何重層にもなっている世界がファンタジーとして面白かったが、踏まれることがないのかはふと考えてしまった。天野さんのお父さんは結局幽霊としているのかそれともまた違 -
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登場するのは西遊記を思わせる名前を持つ3人。
五十九彦、三湖嬢、蝶八隗だ。舞台は近未来の地球か?大停電、大地震、感染症の災厄に見舞われている。理由が人工知能「天軸」の暴走かもしれないと考えた開発者が確認しに行ったものの行方不明。ある貨物飛行機事故がきっかけで、位置情報が得られたため、冒頭の3人が派遣された。免疫力が並外れて強く、感染症にもかからないことから選ばれたのだ。果たして3人は目的地にたどり着けるのか?といったお話のようだ。アダムとイブの物語に登場する生命の樹と知恵の樹を思わせる大木にからまるパラシュート。引き返せそうにない楽園。人間の世界の終わりを示唆する、不思議な本だ。 -
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ネタバレ鈴木、鯨、蝉それぞれの視点から話が進む。
はじめは別々の場所で全く繋がりのない人物たちだと思っていたが、それぞれの思惑が交錯し、1つに繋がっていく。
場面展開の際、ハンコで名前を示しているので分かりやすい。
印象的なのは、鯨が発する「人は誰でも、死にたがっている」。
まるで鯨は死神かのように、出会う人出会う人が死を選ぶ。
その中で唯一、鈴木は直前で思いとどまることができる。
それは亡き妻の言葉が降りてきたからであるが、その時にわたしが感じたことを書く。
人は常に陰と陽、つまり心の中に生きることへの負の感情とプラスの感情が入り混じりながら生きている。
それが、「人は誰でも、死にたが -
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序盤は登場人物や時系列が入り乱れ話に付いて行くのに必死だった。
しかし慣れてくると1つ1つの作戦ややり取りの裏側を明かす真相を知ることができて面白かった。
作中1番の驚きだったシーンはオリオの正体が黒澤だったことだが警察とやり取りをしていたのは隣の家で立て篭りをカモフラージュした今村と中村だったのことにも驚いた。
他にも本物のオリオは死体として隠されていた事など伊坂幸太郎ならではのどんでん返しを喰らうことが出来た。
いかなる場面でも冷静沈着な黒澤がカッコよかった。
綿子が銃を構えた場面で神話とは反対に麻袋の中身は兎田だと悟り天井を打つ場面、天井の穴から夏之目が娘を指指すことを回想する伏 -
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付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、どこにも居場所がないいじめられっ子、いつも謝ってばかりの頼りない上司...。
でも、いま見えていることだけが世界の全てじゃない。知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり。残業中のオフィスで、事故現場で、フェス会場で、奇跡は起きる。優しさと驚きに満ちた現代版おとぎ話。
まさにおとぎ話という表現がピッタリ。設定が理解しづらいし、意味が分かりづらいというか、意図が分かりづらいなーと思ったら、毎年開催されるフェスのために年1で書き下ろされてたと知り納得。求めていた感じではなかったけど、伊坂みは楽しめた。