池上彰のレビュー一覧
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彼の価値観・哲学に触れられる
この本は池上さんの考える「リベラルアーツ(一般教養)」について、彼の経験や価値観に基づいて書かれたものです。そのため「こういうものをリベラルアーツというんだ」「教養とはこうあるべきだ」というような強い論調にはならず、あくまで池上さん個人の考える勉強の楽しさや教養の重要性といったことをメインに、なぜそう考えるに至ったか、そうすることでどういう力がつくのかといったことを、彼の経験や知識、価値観を通して見ることができます。
こういった問題は込み入った事情をいくつも考慮することで複雑怪奇な内容になっていくことがあります。しかし彼自身が文系寄りの人間で、いかに専門的な知識を誰にでも分かるよう説明するかを常に考えている彼だからこそ、この手の曖昧な問題も「池上さん」という個人をバイアスにすることで、何が伝えたいのかしっかりと理解できるようにできています。
一つ難点(?)を挙げるとすれば、タイトルからして当たり前ではありますが、池上さん自身にも興味がなければ価値が薄れるかもしれない、ということでしょうか。
何度か触れたように、この本は彼の目を通して「教養」や「勉強」を見る…すなわち、彼の人生の轍にそれらの答えを見ようとする一種の伝記的な作品でもあるわけです。彼自身、論理的かつ客観的なものの見方を得意とする方ですが、なぜそれができるのかを紐解くと当然彼自身の経験を語るほかありません。池上さんが好きな人ほど、より頭に入ってくるかと思われます。
私自身、学生の頃は勉強を疎かにして友達と遊んでばかりいた人間で、勉強の楽しさに気づいたのは成人してからでした。それもここ数年の話です。こういった人間(私)にとって、この本は勉強について再び考えるいい機会となりました。
社会人でなくとも、彼のわかりやすい文章は高校生や大学生でも気軽に接することができると思いますので、勉強に興味を持たれた方(それから池上さんが好きな方)なら誰にでもおすすめできる一冊です。 -
Posted by ブクログ
今とこれからの教育についての池上彰氏と佐藤優氏の討論が書かれている。
所謂「いい大学」を目指した受験刑務所の話は面白かったし、現代の子育て世代の風潮を的確に表していると思った。いい高校に入って、いい大学を出て、いいところに勤めるというレールに上手く乗ると将来が約束されるようなものだ。しかし、最近ニュースになる官僚達の誰がみてもアウトの行為を見ると、道徳性や倫理感の欠如が見受けられる。生きる上で習得しなければならないものが教育されていない。上へ上へと目指すのはいいが、根本のゴールを設定していないのに東大に入るケースも増えているらしい。
自分の目的を持った学習が必要だし、それを設定することで、やる気が出てくる。学習は目的を達成するための手段である。これからの教育はどうなるのだろう -
Posted by ブクログ
今回の内容は、AIとビックデータ、キャッシュレスなど、日本はだいぶ遅れているみたいですが、これから大きな変化がありそうな話題から入ってます。
その後、私の苦手な、民族関係の話題があり、地政学の話はなかなか良かったです。
そして、1番我々が常に気をつけていなければならないポピュリズムから日本憲法のはなしになりますが、今回も分かりやすく解説されていて色々参考になりました。
以下に本文から気に留めたフレーズを記しておきます。
気になった人は本書を読んでみて下さい。
・場所が変われば見方も変わる。
頭では理解しているつもりでも、私たちは気づかぬうちに偏った見方に陥っている事がしばしばある。
知識を深めていくと、こうした一面的な見方を相対化することを身に付けることができる。
・AI登場後はこれまで以上にデータが価値を持つ時代になってます。
データの扱いに盲点があるのならば、その影響力もはかりしれない。
・現在の中国はキャッシュレス社会になっている。
なんでもアリババの、アリペイで決済する。
その膨大なデータがアリババに蓄積されるが、アリババの創業者である馬雲氏が中国共産党であるため、データは全て中国共産党に蓄積されている。
中国では現在、顔認識ソフトによる監視が行われており、コンサートの入り口などでカメラが設置され、指名手配犯などが何人も捕まっている。
また、顔認識ソフトを使った無人コンビニが実用化されていたり、音声だけで人物を特定できるソフトの研究も進んでいるので、電話で名乗らなくても人物が特定できてしまう。
・AIの分析結果を無反省に受け入れるのは非常に危険なこと。
アルゴリズムをプログラムする人の中には、社会的な常識が欠落している人がいる可能性もあります。
世間の人々の思いが理解できないデータサイエンティストが作ったアルゴリズムによって社会が大きな影響を受けることにもなりかねない。
・地理は、政治、歴史、文化と密接に結びついています。
地政学のような地理的思考は、世界情勢を読み解くための必須の教養といってもいいのです。
・直接投票というと、極めて民主的な選び方だと思ってしまう。
しかし、国民投票は、民主主義が内に抱えるポピュラリズムという危うさを増幅してしまう危険性がある。
・立憲主義の精神に反する自民党改正案
第百二条
すべての国民は、この憲法を尊重しなければならない。
憲法は国民が権力者に対して守るように命令するものであるというのが立憲主義の精神ですから、国民に憲法を守らせるのは本末転倒です。
多くの憲法学者から立憲主義を理解していないと批判がでました。
・ただし日本国憲法には、国民の三大義務が定められています。
教育の義務
勤労の義務
納税の義務
憲法は本来、国民に保障される権利が書かれているのに、この3つだけは義務になってます。それは、国家を維持するために不可欠だからです。 -
Posted by ブクログ
良い年コいてろくに新聞もニュースも見ておらず、世情に疎いので、毎度池上さんの本にはお世話になってます。
AI、ビッグデータ、仮装通貨等々、耳にはするけど、どういうもので、社会にどういう影響を持つなのなの?よく分からない…というものごとについて、分かりやすく説明されています。何にも知らなくても読み進められるのが、ありがたい。恥ずかしい話だが。
著者も本書の中で繰り返し、サブタイトルにもなづている、私たちが今どこにいるのか?ということを考えるうえで、役立つ本だと思います。
多面的なものの見方を知らず、人間が失敗してきたことは過去の歴史の示すとおり。人間の失敗も含めて多面的なものの見方を身につけることは、再びの悲劇を避けるためにも大事なことではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
私の前から思ってる課題は、すぐ忘れることです。。。本読んでもすぐ忘れちゃう。
そんなたくさんある情報の洪水の中、いったん立ち止まり考えてみよう、そう思ってこの本を手に取りました。
この本の中で私が非常に興味深かったのは仮想通貨の話。仮想通貨は確かに便利だと思います。実際、私は買い物するとき殆どクレジットカード払いだし、PayPay利用したりとキャッシュレス派です。ただ、キャッシュレスにできるのはあくまで円がその価値を保証しているからであるから。ビットコインはどうやって成り立ってるのか非常に不思議でした。池上さんの見解も仮想通貨は本来お金の役割である価値のモノサシとしては弱いと述べています。
確かに最近、ポイントを運用する楽天とか出てきて仮想通貨が非常に出回ってきてなんでもありな世界になってきました。
でも現金であれ、仮想通貨であれ、本質として皆「お金」と思うからお金である共同の幻想ということを認識し、振り回されないように自分を戒めていきたいです。