森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「喜嶋先生の静かな世界」の、世間の常識とは少し距離をとっているような淡々とした世界が好きなのだけど、その感じと地続き。
相田秋雄と紗江子という夫婦とその子どもたちによって、一定の期間だけ存在した家族についての記録のような物語だ。家族は自然消滅していき、新たな家族関係が生まれる。これを、連綿とした一つの道のりに繋げようとすると、「イエ」という概念になりそうだけど、繋がりはもっと緩くていいのに、と思う私には、頷ける言葉があちこちに散らばる物語だった。親には親の人生があり、子には子の人生がある。シンプルだ。
「君の幸せの中に、子供たちを入れることは、どうかなと思う。それはやっぱり、エゴじゃないかな -
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Posted by ブクログ
「科学」について考察したエッセイ。
物事の理論を解明し、再現性を重視するのが科学の役割だが、近年の風潮として原因と結果だけを求める傾向があるため、科学は敬遠されやすい。著者は、作家で建築分野の研究者でもある。その観点から科学的な考えや文系人間について、自身の見解を述べる。
この本が書かれたのは東日本大震災が発生した時期で、日本の世論が地震や原発問題で揺れていた。メディアでは、普段聞き慣れない単位(ベクレルやシーベルト)を使って被害状況を伝えたり、原発について理解していない文系コメンテータが感情論に訴えたりしていたが、科学をよく理解していれば、メディアに踊らされることは無いはずと言う。理系は過程 -