森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私は「面白い」ものとは、いつか探し続けていればい、インプットし続ければ出会えるものだと思っていた。
しかし、この本を読んで「面白い」ことはどこかに落ちているものではなく、自分が生み出すものだということに気付かされた。
本当に「面白い」ことはインプットから生まれるのではなく、アウトプットから生まれるものなのだ。
インプットによる「面白い」は一時的なものであり持続性のあるものではない。
これからは、やりたいことを妄想だけで終わらせるのではなく、行動に移す。つまりアウトプットすることで、自分の畑にたくさんの種を蒔く。育たないものもあるかもしれないが、種を蒔かなければ花は咲かない。
この気持ちを持って -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったーー!
森博嗣の魅力を存分に堪能できた一冊。
もう飛行機事故のこともカガミアキラのこともけっこう忘れてきてたけど、再読したくなった。
途中、年齢が合わないんじゃない?と不思議になるところもあったけど、最後の最後、一文で本当に目が覚めた。
これはすごい。そりゃあ肉体は邪魔ですよね。
読み始めてすぐには、知っている名前が全然なくて焦ったけれど、意外なことがいくつも判明して楽しかった。
今まで読んできた読者にも、おおいにサービスしてくれて嬉しかった。
島田さんかっこいいよね。
突然、香港の自宅を出ることになっても、慌てず、用意もいらない。
リアルのものは何も必要ない、体もここに置いてい -
Posted by ブクログ
ネタバレ――
森作品じゃなきゃまず手に取らないタイトルではある。
ヴァーチャルにログインしている間にリアルの肉体が行方不明になった女性から、その肉体を探して欲しいという依頼が舞い込む。女性は自分自身の肉体が、知らない間にアンドロイドに挿げ替えられてしまっていたのではないかと疑っていて…
なんかこうやって書くとグアド探偵事務所みたいになってるわね。ウォーカロンに絡んだ揉め事解決します。
ヴァーチャル・リアリティをテーマに、舞台装置にして物語を書くことは簡単で、少し前まではアイディアも頭打ちかなと思っていたんだけれどそんなこともなくて、世の中が変化すればそれに伴ってヴァーチャルも変化する -
Posted by ブクログ
小説家が小説家について書く、多くの人はこのことを聞くとあぁこの人なりの小説家としてのやりがいや楽しさについて書かれているのだろうなと思うかもしれない。私もそんな読者の一人であった。しかしながら、この本はビジネス書といっても過言でないくらいに小説家という職業についての売れ方や戦略性などいかに本を売るのかということについての著者の考えが所狭しと書かれている。本の中で、著者は何度も小説を書くのは趣味ではない仕事である。と断言しているのだ。果てはある種小説を商品とすることを嫌う出版業界に関する苦言さえ書かれており、小説を書くのが元々好きでなかった著者だからこそ書くことのできる、非常に切り口の鋭い一冊だ
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Posted by ブクログ
この作品について;森先生は情報・犯人を隠すのが上手いと思っています。そうとう頭が良い人でなければ、最後まで犯人を推理できないのではないでしょうか。この作品もそれが顕著です。刑事ものやミステリなら常識の「被害者の証言は絶対だ」というのに疑いを持たなければいけないことを思い知らされます。たしかに、実際の事件でも「人間の証言・主観」なんて当てになりませんものね。
普通のミステリやドラマになるようなどろどろの人間関係・派手なトリックのもとになりたつ殺人がみたいならこの作品はおすすめしません。この作品は森先生お得意のロジックが特徴ですね。
森先生の作品について私の主観;私は森先生の作品の文章がするすると -
Posted by ブクログ
物が散らかるということを否定的にとらえていない著者の、整理術に関する考えが語られる内容。冒頭で、結論が述べられていて、結果だけが知りたいならそれで十分かもしれない。
そういう見方もあるのね、と思いながら読み進めた。あまり役に立てようという視点では読まなかったのだが、一番役に立つと思ったのは、やる気が出るのを待つのではなく、嫌だなと思いながらやってみるということであった。
自分は割と、やる気が出ないなと思うことは先延ばしにしがちだけど、この考えに触れてから、とりあえず手を付けてみる様になった。何か作業をするにも慣性の様なものがあって、嫌だと思いながら始めても、一度始めるととりあえず作業は続くもの -
Posted by ブクログ
ネタバレWシリーズの小休止のつもりで手に取ったが、読み始めたら最後ページを繰る手を止められなかった。
主人公の手記のような体裁で始まったこの本、登場人物ひとりひとりにそこはかとない濁りを感じて「黒幕はこの人?いや、この人?」と推理しながら読んでいく。
懺悔パートに入ってやっぱりこの人か…と落胆しそうになったのも束の間、奥にある真実を知って「えぇ!?」と声に出してしまった。いやー、気づかなかった…!真実を知ってから思い返すと、確かに言葉の端々に違和感あったな…とは感じるものの、いや、まさか、そんな斜め上を…。
同性愛、血縁者との愛、血の繋がらない家族間の愛、それに対する倫理観と時代錯誤性、宗教観。
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Posted by ブクログ
ネタバレ既存の「人間」という定義から我々が徐々に離れていることを、一個ずつ証明されている感覚。
信じる神も持たず、続く子孫もいないから歴史も持てない、さらに、電子空間と反転している、していく可能性の浮上。
ーー我々ははたして本当に生きているのか。
永久に動き続けるものはない。ただ、エネルギィが供給され続ければ、ものは動く。だが、動くことは生きている証ではない。
すべてを諦め、すべてから手を引き、生きることをやめてしまうという選択が、残されている道なのだろうか。何百年も生きられるとしたら、最後にはその選択をするのだろうか。
電子空間に存在するものがいる、というのは正直、怖いという感情が先に立つ。現代