森博嗣のレビュー一覧
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森博嗣氏の小説は初めてだが、『全てがFになる』のドラマシリーズは覚えていたので、マガタ・シキという名前で懐かしさを覚えた。
読み出してから、どうもこの本はシリーズもので「wwシリーズ」の中の一番新しい作品であることがわかった。だからといって内容が全くわからないというわけではないので、そこは安心。
リアルで肉体が見つからず、ヴァーチャルの世界にいる女性から、自分の元の体を探して欲しいという依頼が来て、そこからどんどん奥深くへと繋がっていく物語。
人工知能のある世界線の、世界観の描き方がものすごく面白くて、ついつい読み進めてしまいました。人工知能に対して、ついつい人間との違いを追いかけて、 -
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『日経パソコン』という雑誌に掲載されていたエッセイを書籍にしたもの。道具というテーマで1枚の写真と共に森さんの思考が言語化されたもので、凡人にない発想を垣間見ることができる素敵な本。
私の印象に残ったものをいくつか紹介すると、、
タイトル:測らない計ります図る量るとき謀れば諮ろう
では、天秤について語っていいます。その中の一節を抜粋する。
「さらに、天秤を見て感じるのは、バランスがとれている平衡状態が、いかに不安定なもの、奇跡的な条件か、ということである。」
バランスが取れている状態から不安定を感じ取る感性に驚く。
タイトル:いろいろなものが回っていた時代、それが20世紀
「人間の歴史、文明は -
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ネタバレp93
「弱音は駄目。それじゃあ、見た目は大人、頭脳は子供じゃない」
「子供って、弱音吐く?」
p122
「絶対に駄目。来ても、ドア開けないから」
「そうですか……。つまり、家にはいるんですね」
p234
たとえば、愛する人の笑顔を一度見ただけで、一日仕事で頑張れる。数秒間の笑顔が、大きな仕事を導くことになるのだ。でも、それは、笑顔を見せた人の能力ではない。仕事をする人間がもともと持っていた能力だろう。
2017年刊行。他作品と比較すると、現代を舞台にしたXシリーズ最終作。
Gシリーズのメンバーのサプライズ登場もあり。
椙田、小川、真鍋はX,Y,Zのジェネレーションのアイコンとして -
購入済み
生き方のヒント
生き方のヒント……というにはあまりにも中身が濃すぎる。
生涯、これを参考にして生きようというフレーズがいくつもあった。
「オリンピックのランナが金メダルを取った。それは彼だけの力ではない。競技場の石を取る人もいる。それはその人のやるべきことで、それをしたまでだ。その人はそれをしようとしたのだ。スタートを切ったのだ。あなたがスタートを切れないのはなぜか……」など、森博嗣の気づきの深さ、思考の深さだけのものだ。
最近、テレビやネットの記事で「他の人とは違った見方を自分は持っている」と、引っ張りだこになっている人がいる。彼のその持論はどれもそこらへんのエッセイやネットの情報をピックアップして自分の -
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ネタバレwシリーズを読んでいても思うことだけれど、正しいと考える思考回路、復讐したいと思う精神反応など、人にしか感じることがない、人以外、自然界には存在しない感情から人間の弱さ、脆さ、億劫さをすごく感じる。そして、それが人間の証明、定義だという皮肉と美しさ。
主人公はある一点で、動物から人間への進化の分岐点で生まれたであろう復讐という精神反応について、なぜ植え付けられて育てられたかのか、正しい、間違い、正しい、間違い、をひたすら行ったり来たりしている。
「一度人を殺した人間はまた人を殺すかもしれない。その前に罰しなければ。」その考え自体が病んでいる、と話すスホ。スホの話す言葉を聞き、ルナティックシ