あらすじ
本職・探偵、副業・ライター。飄々と生きる頸城悦夫。IT長者ウィリアム・ベックを取材するため、富豪の別荘を訪れたその日に、敷地内で射殺事件が起きる。被害者はベックの主治医。生前の彼と最後に話したのは、こともあろうが頸城だった!? 富豪の妻、息子、息子の恋人に使用人たち。一癖二癖ある人々の話を聞き、頸城は事件解決を試みるが、第二の殺人が起き……。瀟洒でビターなミステリィ。(解説/和希沙也)
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Posted by ブクログ
深い悲しみを予感させるけれども、その全ては描かない。読者の想像に任せているのだろうか。
感情なんて所詮ただの印象でしかなく、言葉をあてがっただけで汚れていく。しかしそれを介してしか交流が出来ない、他者を理解できない人間という存在の儚さよ。不純であるがゆえに美しい、ワビサビっぽい世界を感じた話だった。
Posted by ブクログ
韜晦した探偵兼ライターが主役で、
森氏らしい乾いた文体が全体を貫く。
が、文体は乾いていても、主人公の心の奥底には、
今もドロドロした思いが蠢いている。
そのドロドロが表に出ないように、薄いかさぶた一枚で
覆いをして、そのかさぶたをいつもドライに保つために
飄々とした風を吹きかけている...という印象。
前作があったようだが、私は未読なので
細かい過去のストーリーは分からない。
が、大きな後悔を抱えて生きている、
ということが分かれば主人公に感情移入できる。
みな、多かれ少なかれこんな「部分」は内包している。
一応はミステリで、連続殺人事件が起こり、犯人は捕まる。
が、ストーリーのメインはそこではなく、
主人公を取り巻く人間模様が丁寧に描かれる。
最後の「どんでん返し」も、事件ではない部分で発生(^ ^;
あ、そう来たか、と不意打ちを喰らう(^ ^;
本作を「表層的に」読むと、出てくる感想は
「まったく男って奴は」って感じだろうか。
でも、きっと前作を読むと、シリーズに通底する
もっと深いテーマみたいなものが見えてきそうな。
ぜひ前作を読んでみたいと思います(^ ^
Posted by ブクログ
前作の「ゾラ・一撃・さようなら」の続編にあたるが、前作を読んでいなくても、支障はない。
今回の作品に関しては、幾分ハードボイルドを満喫できたかなという印象である。
ネットワーク空間でも、現実でも、2次元でも、人間関係というのは難しい。主人公の想いが手に取るように分かる。
Posted by ブクログ
シリーズだったとは。
頸城さんの一作目、読まねば。
深刻なことを軽く表現する感じ嫌いじゃない。
人が次々と殺されているのに、あまり当事者感がない。けど、一瞬危険のピークがドキッとしちゃうんだよな。
Posted by ブクログ
「ゾラ・一撃・さようなら」に続く本作。話としてはいつもの森博嗣作品という感じなので森博嗣の小説が好きな人には変わらず楽しめると思う。今作はそこまでハードボイルドしているようには思わなかったけれど全体のオチには思わず頸城さんに合掌。
Posted by ブクログ
アメリカの大富豪の日本の別荘で侍医が殺され、大富豪の本を書くために滞在していた探偵があれやこれやする話
ゾラシリーズ(?)の続編みたいだけど、読んだのは随分前なのでキャラクタの詳細は覚えていない
でもまぁ、いかにも森博嗣の書きそうな性格&話す内容なので、個人的に違和感はない
ミステリらしくちゃんと動機っぽいものやトリックも説明される
ストーリーに関係ないんだけど
モデルはビル・ゲイツ?ジョブズ?
マイケル・ジャクソンは実名を出してるのにね
100年シリーズでマイケル・ジャクソンっぽい人とビル・ゲイツっぽい人が出てくるけど、関係あるのかな?
まぁ、森博嗣だしすべての作品が完結しないとわかんないかもね
むしろ、それでもわからない可能性が大(笑)
Posted by ブクログ
『ゾラ・一撃・さようなら』も読んだけど、もはや覚えてない。一応、同シリーズだけど、覚えてなくても問題なく読めた。
この話は、ミステリィというより森ミステリィという独特のジャンルって感じ。その中でも、理系感はあまりなく、ハードボイルド系を意識してる感じはある。私には何をもってしてハードボイルドというのかわからないけど、頸城みたいに女性に自然と優しく接したりする人を言うのかな、と思ってます。「頭空っぽで読める本を読みたい」と思って買ったので、目的に沿ったチョイスとなった。本格ミステリィ好きには薦めないけど、森さん好きで、難しくない話がいいなら、これは丁度良いかも。