今野敏のレビュー一覧
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とんでもないドライ・マティーニじゃん!
カクテル詳しくない人のためにちょっとだけ豆知識を
マティーニというのはまぁジンというお酒とベルモットというお酒をかき混ぜたものなんですが、一般的には3:1の比率で混ぜるんです
んで、さらにこれのジンの比率を多くしたのをドライ(辛口)マティーニって言うんです
これを踏まえて本編です
今野敏さん×ハードボイルドです
舞台はバーと私が住む街
登場人物は武道の達人で物静かな「私」、常に「私」をトラブルに巻き込む神父、物静かで訳ありのバーテンダー、飛び切りの美人で「私」の幼なじみのピアニスト、無口だが情熱を秘めた医者
めちゃめちゃ教科書通りのハードボイルド -
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警察小説の重鎮、中堅どころ4人の作家による文庫オリジナル短編集。
偶に読みたくなる刑事もの。
事件が発生して捜査本部が立ち上がる。
本部による捜査では働き方改革なんてもってのほかのブラックな労働環境。そこにカタルシスを感じてしまうのは昭和生れの名残りか。
本部と所轄、ベテランと若手、幹部と下っ端。
組織、チームならではの人間模様には確執、軋轢が蠢く。
地道な捜査から浮かび上がる細々とした点と点。それを繋ぐ線はベテラン刑事の長年の経験とある種のカン。ベテランは新人若手を育てる。
ま、警察小説の醍醐味は語り尽くせない。
なので見応え十分な長編も捨てがたいが、キレの良い短辺もナカナカ。本書もそんな感 -
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義理と人情を重んじる阿岐本組。
弟分・永神から阿岐本組長に映画館・千住シネマ存続についての相談が持ち込まれる。
またまた組長に振り回される代貸・日村たち。
親会社・千住興業は、千住シネマの入る本社ビルを売却しようとしていた。
売却の背後には、北千住の再開発計画が…
映画館で映画を観ることが減り、映画館が少なくなっている。
映画館で観たい映画は観たいんだよね、やっぱり。
映画館で観る映画は特別。
映画館はなくなって欲しくない。
そんなファンの気持ちに応えるために。
千住シネマを作った、先々代の想いに応えるために。
それが企業の根幹をなすものなんだろう。
よかった、千住シネマが残って。 -
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元マル暴刑事・佐伯涼の潜入捜査シリーズ第5弾で、原発の被害や利権の問題をテーマとした本が1994年に発行されている。福島のメルトダウン以前に書かれていて、先見性がある。今野敏は、1989年の第15回参議院議員通常選挙で、政党「原発いらない人びと」の候補者として立候補、落選。1986年にチェルノブイリ事故が起こって、脱原発の動きが加速した時だった。今野敏が、そのような政治活動をしたことさえ知らなかった。今野敏はいう「本当に、原発が安全だというのなら、東京湾に作ってみればいいのだ。電力会社にも、国にもどんな度胸はないだろう。そこに、原発の本質がある」。
三重県の原子力発電所で事故が発生し、外国 -
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安積班シリーズ待望の長編。
東京湾で見つかった遺体。
フェリーの航海士が見つけた遺体はどこの誰で、どこからやってきたのか?
安積班のメンバーだけでなく、今作では捜査本部も立ち、お馴染みの交機隊の速水や、今シリーズ初登場の葛飾署の広田などの手を借りながら、安積が事件の真相に迫っていく。
捜査本部が立つだけあり、今回は安積班のメンバーの出番は少な目。しかし、コツコツと捜査を積み上げていく様子が丁寧に描かれていて、「さすが今野敏」と言う感じ。
捜査は一人の力では出来ないし、どんな小さな出来事でも事件の解決に繋がる様子が面白い。
最近は警察ものも、突飛な設定が多かったり、科学捜査が進む中、コツコツ足を -
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任侠シリーズ5作目
今作は映画館の立て直し
といっても、映画館を改装するとかではなく、
周りの人の意識を変えるとかそっち。
最近、映画館の存在意義というか、
自分の中で映画館で見る映画と
円盤になってからでよいと思うものは
何が違うんだろうと考えたこともあり、
本書の中に答えがある訳ではないけれど、
タイミング的にドンピシャでした。
※年間うん十本も映画館で観るとかではなく、
5〜10本程度だし、エンタメ系が多いので
偉そうな事は言えませんが…
映画館に行きたくなります。
※たまたま、ヒゲ兄弟の映画を
予約していたので観てきます。
→子供連れが多くて祭りでした -
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題名の「組曲」通り、安積班のメンバー各人がそれぞれの視点で事件に対応する様を描いた短編集。
「カデンツァ=無伴奏の即興曲」「ラプソディー=狂詩曲」「オブリガート=対旋律」「セレナーデ=小夜曲」等、各短編の題名も音楽用語を付し、さながら輪舞曲(ロンド)の様相を呈している。
今回は班員だけでなく、「シンフォニー」では、鑑識係の石倉が主役となり、係への待遇の不満を爆発させる。
「ディスコード=不協和音」では、チョイ役でしか顔を出さない榊原刑事課長がなんと主役となって、強行班の二つの係への対応で苦慮する様が描かれる。
「アンサンブル」では、安積に対抗心を燃やす相楽がが、安積のプライベートを考慮するとい