今野敏のレビュー一覧
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ネタバレ2020年(発出2018年) 430ページ
大森署長・竜崎伸也、最後の事件です。
今回の事件、今までの事件に比べると盛り上がりに欠けます。サイバー犯罪という性質上、はっきりと目に見えるものではないためか、地味な感じでした。非行少年の暴行殺害事件も、目に見えないものに怯えている、その恐怖感がいまいち伝わらなかった。正直、最初の方が珍しく退屈に感じました。
しかし、今作は、竜崎伸也と大森署員たちのお別れシーンが最大の山場なんです。
ちょっと涙が出そうになったんだけど、誰よりも感傷的になっていたはずの竜崎があまりにも淡々としていたので、結局涙は出なかった……
さあ、神奈川県警が竜崎を待って -
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『警視庁捜査1課強行犯係・樋口顕』シリーズ第6弾。
世田谷区の住宅街で投資ファンド会社社長・相沢が刺殺された。
特装本部に現れた、東京地検特捜部・灰谷と荒木。
灰谷と荒木は、野党の衆議院議員・秋葉を政治資金規正法違反容疑で内偵中だった。
秋葉は、刺殺された相沢とは大学時代からの友人であり、殺害現場付近の防犯カメラには秋葉の秘書・亀田が映っていた…
それらの事実だけを理由に灰谷は、亀田の身柄を拘束…
樋口は、証拠不充分を主張するも、灰谷は独断で逮捕に踏み切ってしまう…
東京地検特捜部の傲慢さには虫唾が走る。
こんな捜査のあり方でいいのか…
検察がここまで暴走していいのか…
理由が自分の -
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2014年(発出2011年) 426ページ
・近隣の大井署管内での殺人事件。
・大森署管内でのひき逃げ事件。
・不審火の捜査。
・麻薬・覚醒剤売買の捜査に関しての麻取りからの抗議。
・美紀の恋人が乗った可能性のあるカザフスタンでの飛行機の墜落事故。
今回はいろいろな事案が立て続けに起こり、竜崎伸也はかなり頭を悩ませます。
殺人事件をめぐる外務省官僚との駆け引き。麻薬取締官と捜査方法についての応酬など。
混迷を極めそうなあらゆる事態を、竜崎は持ち前の合理性で打開していきます。
捜査方法をめぐる対立、キャリア、ノンキャリアが入り混じっての捜査など、大きなトラブルが発生することが予見できるのですが -
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ネタバレ2012年(発出2009年) 426ページ
『恋愛など、発情した猫の感情とそれほど違わない。人間を人間たらしめているのは、間違いなく理性なのだ』
冒頭で、アイドルの山咲真美が一日署長を勤めることになり、署内の雰囲気が浮かれ気味になった際に竜崎伸也が思っていた言葉です。
今回は、そんな竜崎が、美人の女性キャリアに恋して苦しんでしまうお話です。
アメリカ大統領の訪日の警備計画に関し、竜崎は羽田空港を含む第二方面警備本部本部長に任命される。竜崎の補佐役として女性キャリアの畠山美奈子が送られてきた。その畠山美奈子に、竜崎は嵐のように激しい恋愛感情を抱いてしまう。四六時中彼女のことが頭から離れず、他 -
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【あらすじ】
あるコンサートの目玉であった高価なストラディバリウスが盗まれ、その操作にST班が駆り出されることになった。
チームの紅一点、結城翠の様子がいつもと違うことが気になる百合根だったが、捜査に進展が見られないまま、殺人事件が起こってしまい———。
【感想】
STシリーズ、久々だったのでタイトルにある色の意味も忘れていました(^^;;
チームのメンバーの名前に色の文字が入っているんですね。
殺人事件から始まらないのも新鮮、楽器が題材というのも新鮮でした。
が、今野敏さんの文章は、軽くなく、かといって重すぎもせず、やはり読みやすいので、あっという間にその世界に入り込めます。
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プロの盗っ人には職人と同じプライドがある。
警視庁盗犯係もまた同じ世界の住人として心を通わす。
一見、えっ?と目を疑うクライムノベル。相棒コンビもなんか凸凹していて、読み始めはエンジンがかからなかった。が、気づけば捜査の進展を夢中で追うことに。
強盗殺人という「異質」を取り囲んで、窃盗班と盗犯係のスイートな関係に捜査一課が割り込む三角関係に発展。
要所要所に出てくる棲み分け、という表現が意味深だ。
そういえば柚月裕子『孤狼の血』シリーズもマル暴と暴力団が近しい関係だった。治安を守るのは一方向では成立しない、ということが理解できる。
派手さはなく、抑えの効いた作品で息を凝らして読んだ。