今野敏のレビュー一覧
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警察小説の重鎮、中堅どころ4人の作家による文庫オリジナル短編集。
偶に読みたくなる刑事もの。
事件が発生して捜査本部が立ち上がる。
本部による捜査では働き方改革なんてもってのほかのブラックな労働環境。そこにカタルシスを感じてしまうのは昭和生れの名残りか。
本部と所轄、ベテランと若手、幹部と下っ端。
組織、チームならではの人間模様には確執、軋轢が蠢く。
地道な捜査から浮かび上がる細々とした点と点。それを繋ぐ線はベテラン刑事の長年の経験とある種のカン。ベテランは新人若手を育てる。
ま、警察小説の醍醐味は語り尽くせない。
なので見応え十分な長編も捨てがたいが、キレの良い短辺もナカナカ。本書もそんな感じ。 -
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義理と人情を重んじる阿岐本組。
弟分・永神から阿岐本組長に映画館・千住シネマ存続についての相談が持ち込まれる。
またまた組長に振り回される代貸・日村たち。
親会社・千住興業は、千住シネマの入る本社ビルを売却しようとしていた。
売却の背後には、北千住の再開発計画が…
映画館で映画を観ることが減り、映画館が少なくなっている。
映画館で観たい映画は観たいんだよね、やっぱり。
映画館で観る映画は特別。
映画館はなくなって欲しくない。
そんなファンの気持ちに応えるために。
千住シネマを作った、先々代の想いに応えるために。
それが企業の根幹をなすものなんだろう。
よかった、千住シネマが残って。
結果はわかってるんだけど。
やっぱり面白い。
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元マル暴刑事・佐伯涼の潜入捜査シリーズ第5弾で、原発の被害や利権の問題をテーマとした本が1994年に発行されている。福島のメルトダウン以前に書かれていて、先見性がある。今野敏は、1989年の第15回参議院議員通常選挙で、政党「原発いらない人びと」の候補者として立候補、落選。1986年にチェルノブイリ事故が起こって、脱原発の動きが加速した時だった。今野敏が、そのような政治活動をしたことさえ知らなかった。今野敏はいう「本当に、原発が安全だというのなら、東京湾に作ってみればいいのだ。電力会社にも、国にもどんな度胸はないだろう。そこに、原発の本質がある」。
三重県の原子力発電所で事故が発生し、外国人不法就労者が死亡したという情報が届いた。佐伯涼は、厚生省の環境犯罪研究所に出向している。所長は内村尚之である。内村は「日本で現在稼働中の原発43基のうち20基が、事故を起こした原発と同じ加水型で、毎年のように蒸気発生器の細管損傷が見つかっている」「静岡県の浜岡原子力発電所でも、保守・点検を行う関連会社の作業員が、同じく、慢性骨髄性白血病で91年に死亡しました。この件が労災認定申請されています。これまで、兵庫県で2名、同様の労災認定申請が出されています」「炭坑では、落盤事故や塵肺。原子力発電所では、放射能障害。同じ歴史が繰り返されているのかもしれません。しかし、そうした非合法の手段を組み込まなければ機能しない」「核燃料による発電など、本来必要ないのです。原発を作ろうというのは純粋に政治的問題です。つまり、利権の構造でしかありません。政府が作るといったものは、国民を殺してでも、国土を破壊してでも作るものです」「政治家は、役人のいうことを鵜呑みにする。そして、商社、ゼネコン、地域政治家そろっての原子力発電推進の政策が出来上がる」という。
原発推進派は、権力とお金を持っていて、暴力団に雇用者を斡旋させたり、反対運動に暴力的な行為をする。
佐伯涼は、先祖伝来の武術を使い、暴力団を徹底的に叩きのめしていた。暴力団にも実質的に武術を学んだものがあり、佐伯と戦うシーンが繰り返される。反対運動の中にも、原子力発電推進派のスパイが紛れ込んでいる。実に、リアルな原発推進の利権構造を暴く。 -
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安積班シリーズ待望の長編。
東京湾で見つかった遺体。
フェリーの航海士が見つけた遺体はどこの誰で、どこからやってきたのか?
安積班のメンバーだけでなく、今作では捜査本部も立ち、お馴染みの交機隊の速水や、今シリーズ初登場の葛飾署の広田などの手を借りながら、安積が事件の真相に迫っていく。
捜査本部が立つだけあり、今回は安積班のメンバーの出番は少な目。しかし、コツコツと捜査を積み上げていく様子が丁寧に描かれていて、「さすが今野敏」と言う感じ。
捜査は一人の力では出来ないし、どんな小さな出来事でも事件の解決に繋がる様子が面白い。
最近は警察ものも、突飛な設定が多かったり、科学捜査が進む中、コツコツ足を運ぶ捜査を扱うものが少なくなったと感じる。
隠蔽捜査シリーズも面白いが、今シリーズの主人公は班長なので、捜査の第一線で活躍するのが、隠蔽捜査とはやはり目線が違う。
どうしても、最近は会話を中心に話が進むスタイルが多くなっているのは気になるが、そこを踏まえても、今作は面白いと思った。
何年経っても、配属が変わらない設定はかなり気になるが、一体何歳の設定で描かれているのか?
そこはかなり知りたい!
やっぱり「安積班」を始め、「隠蔽捜査」「樋口」シリーズは安定感が凄い。
同じような調子で描かれているけど、それぞれの微妙な立場の違いを楽しむのが何とも言えない。 -
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任侠シリーズ5作目
今作は映画館の立て直し
といっても、映画館を改装するとかではなく、
周りの人の意識を変えるとかそっち。
最近、映画館の存在意義というか、
自分の中で映画館で見る映画と
円盤になってからでよいと思うものは
何が違うんだろうと考えたこともあり、
本書の中に答えがある訳ではないけれど、
タイミング的にドンピシャでした。
※年間うん十本も映画館で観るとかではなく、
5〜10本程度だし、エンタメ系が多いので
偉そうな事は言えませんが…
映画館に行きたくなります。
※たまたま、ヒゲ兄弟の映画を
予約していたので観てきます。
→子供連れが多くて祭りでした -
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題名の「組曲」通り、安積班のメンバー各人がそれぞれの視点で事件に対応する様を描いた短編集。
「カデンツァ=無伴奏の即興曲」「ラプソディー=狂詩曲」「オブリガート=対旋律」「セレナーデ=小夜曲」等、各短編の題名も音楽用語を付し、さながら輪舞曲(ロンド)の様相を呈している。
今回は班員だけでなく、「シンフォニー」では、鑑識係の石倉が主役となり、係への待遇の不満を爆発させる。
「ディスコード=不協和音」では、チョイ役でしか顔を出さない榊原刑事課長がなんと主役となって、強行班の二つの係への対応で苦慮する様が描かれる。
「アンサンブル」では、安積に対抗心を燃やす相楽がが、安積のプライベートを考慮するという男気を発揮し、相楽の思いがけない一面が見られる。
どの短編も、さして大きな事件は起こらず、登場人物たちの人物像を浮き上がらせる話となっていて、彼らの人となりをより理解でき、このシリーズにより深入りしてしまいそう。 -
購入済み
隠蔽捜査8
横浜の中華街の事情が話を複雑にデリケートな問題にどう竜崎さんは動くのか?興味がありましたが、、いつものブレない対応で安心しました。周りに強く反発されとも清々しい程シンプルな考えと対応で解決してさまうなんて。清明の漢詩もアクセントになり、強く印象に残った