あらすじ
東京・渋谷で銀行員が少年グループに襲われるという暴行傷害事件が発生した。新設されて間もない神南署の安積警部補たちは捜査を開始したが、二週間後、銀行員は突然告訴を取り下げてしまう。その直後、容疑者として浮上していた少年が何者かに襲われた──。この二つの事件を不審に感じた安積たちは、巧妙に仕組まれた犯罪に立ち向かう。新装版第四弾は、中村俊介氏と著者の巻末付録特別対談を収録!!
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Posted by ブクログ
安積班シリーズ神南署編、長編。
新装版になったのを見つけて久しぶりに再読。
初版は1997年なのだが、銀行の管理職行員が、妻が働いていることが世間体が悪いというイメージになっているのに驚く。25年という年月で世間体も様変わりした。
オヤジ狩り(懐かしい)に遭った銀行員・山崎が当初は犯人を捕まえろと息巻いていたのに何故か二週間後に突然告訴を取り下げる。直後、山崎を襲った少年グループが襲われて…。
当時バブルの崩壊で臨海副都心構想が頓挫、その影響でベイエリア分署も交通機動隊の分駐所となって他の部署は新設された神南署に移された。安積らはもちろん神南署に移ったが、何故か速水も一緒に移っている。そして今回は事件関係者が少年ということで速水も捜査本部に加わり安積とコンビを組んでいる。
神南署は渋谷と原宿の間にあり、両署の管轄の隙間にあるとあって、面倒な案件(手間ばかりで犯人が捕まりにくい、犯人検挙の実績が上がりにくい事件)ばかり回って来るというところはベイエリア分署時代と同じ。それでも安積らは腐らず仕事をしている。
事件の方は当時の時代を反映していて、今野さんの作品にしてはちょっと凝ったところもあって面白い。
一方で少年に対する、特に須田の優しいまなざしは今野さんらしくて良い。いつか須田が少年に『チャンスは生かすことができるんだということをちゃんと教え』てあげて欲しい。
毎回安積の村雨に対する評価が酷くて気の毒になってしまうのだが、今回は手柄を立てた村雨に安積が喜ぶシーンがあって嬉しい。それでも安積の村雨に対するねぎらいはさり気ない。そこは村雨も心得たもので、これくらい当然ですよ的なクールな顔で返している。
でも後にちゃんとメンバーを(速水も含めて)飲みに誘ってフォローも抜かりない。
ライバル相楽に対して思わず熱くなったり村雨と馬が合わないと感じたり、女性記者が夜討ちで自宅に来るとドキッとしたり、なかなか人間臭い安積だが捜査では容疑の濃い人間であろうが常に丁寧な言葉遣いと冷静な態度なのが好感持てる。
しかし速水が感心するように、態度とは裏腹に『真綿で首を絞めるように追いつめていく』厳しさもある。
『どんな場合でも私たちに嘘はつかないほうがいい』
『私たちに嘘をつくということは、いま現在より状況を悪くするということなんですよ』
安積に正面から見据えられて厳しく追及されれば思わず鼻水を流してしまいそうだ(安積によれば、それが自白を始める反応の一つらしい)。
今回も安積始めメンバーの格好いい姿が見られて良かった。相楽もこのあたりから少し丸くなってきたか?
巻末はドラマで村雨役を演じた中村俊介氏との対談。
※関連作品一覧
安積班神南署編 本作のみレビュー投稿あり
①「蓬莱」 脇役で安積班メンバー登場
②「イコン」脇役で安積班メンバー登場
③「警視庁神南署」 本作
④「神南署安積班」
Posted by ブクログ
キャラクターに愛着が湧いてきたので読みやすくなってきた。
それにしても銀行員・山崎は真直ぐ帰らないし不倫したりどうしようもない。
小出由香里がお咎め無しなのが残念。
Posted by ブクログ
「チーマー」「おやじ狩り」とえらい時代を感じる言葉が…….と、思ったら初出は2000年より前とのこと。そりゃ、そーゆー言葉も出てくるわ、と。
安積班ものというシリーズものということを知らずに読みましたが…とくに支障はなく。
ただ、警視庁内の人間模様が物語の肝のようなので、シリーズ追いかけてたほうがより面白かろうな。
と、そのようにいわゆる事件を解決刑事物!!と、ゆーよりは刑事たちの人間模様が主眼なので、個人的にはなんか物足りず……。一応、ひとつ事件を主軸に話は進むけどあくまでも舞台装置に過ぎない印象。
どーりで、安積さんの心情が(しかも同僚に対する評価とか)やたら出てくるはずだよねー