今野敏のレビュー一覧
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シリーズ最新作。今作も期待を裏切らない一冊で、各登場人物の魅力が満喫できる短編集になっています。長編でもその魅力を味わうことができますが、事件のトリックや解決の行方に気をひかれてしまうため、短編集として読む方のに適したストーリーです。
全10編、これで1クールのTVドラマが成立してしまうのではないかと思えるほど、クオリティの高い内容。刑事ものですがいずれも素敵な人間ドラマが描かれていて、刑事もの特有の事件臭さといったものを感じさせない内容です。
須田の活躍は相変わらずですし、相楽もなんだか角が取れてより深みのある人物として描かれており、村雨、黒木、桜井、水野といった一係の面々もより人物とし -
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義理や道理を大切にするヤクザが、東京・赤坂にある潰れかかった銭湯を再建させる任侠コメディ。
先般、レビューした【孤狼の血】を視聴してから、任侠作品への興味が高まっていたところ、なんとまぁポップな表題名と装丁な作品を発見。
これもアリだなと、迷わず手に取った初今野敏作品。
いやいや、面白かった。
銭湯には様々な優遇措置があること。
水道代は実質費用が発生しないこと。
固定資産税は1/3で、行政から補助金が付与され、光熱費や人件費、施設修繕費にも使えること。
よって経営上赤字でも、基本銭湯は潰れないことなど、今まで知らなかった(考えもしなかった)ことなど知識が積めたことは産物だった。
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ネタバレ今野敏「ST警視庁科学特捜班シリーズ」第3作目(2000年12月単行本、2004年1月文庫本)。
今回の舞台はモスクワだ。ロシア連邦保安局(FSB)と科学捜査の情報交換を目的とした研修にSTから百合根友久キャップと赤城左門の2名が派遣されることになった。時を同じくして黒崎勇治が柔術の指導セミナーでモスクワへ私的な渡航を予定していた。そして山吹才蔵もモスクワの在住の曹洞宗の檀家の集まりに呼ばれてと、取ってつけたような理由とタイミングでのモスクワ渡航で、偶然にも黒崎と同じ飛行機に乗っていた。
飛行機の中で黒崎は同じ柔術の指導者の芦辺正次郎29歳と二人だったが山吹が黒崎を見つけて声をかけたのだ。その -
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シリーズ3作目からだいぶ間をおいて刊行された一冊のようです。その間、著者の力量が上がったからでしょうか、おそらくシリーズの中では一番読み応えのある一冊ではないかと思います。
“あの”ヴィクトルに狙われているというカジンスキーのガードを引き受けた工藤。が、ガードを続けながらもなんだかヴィクトルのことが気になる様子。ついにはヴィクトルからカジンスキーの正体を聞かされ信じるべきはヴィクトルのほうであると気づく!
最終的にはヴィクトルからエレーナ救出のために手を貸してくれという新たなミッションが課せられ工藤もロシアへ。最後の救出劇はあっけなかったですが、そこに至るまでの緊迫した展開が充分“読ませて -
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ネタバレ今野敏「ST警視庁科学特捜班シリーズ」第2作目(1999年9月単行本、2002年9月文庫本、2014年7月新装版)。
5人のSTメンバーの中で今回は毒物等の薬物専門家である山吹才蔵が活躍する。前回登場の警視庁捜査一課の刑事菊川吾郎警部補もSTの推理に今回も協力する。STキャップの百合根友久警部が頼りないのは相変わらずだが、菊川警部補の積極的関与で百合根警部を助け、捜査権のないSTがその特殊な力を発揮することが出来るのは今回も同じだ。
代々木公園、世田谷公園で連続して変死体が発見される。いづれからもフグ毒が検出され連続殺人事件として捜査本部が設置された。被害者の一人は暴力団関東英隆会と関わりが -
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ネタバレ今野敏「ST警視庁科学特捜班シリーズ」第1作目(1998年3月単行本、2001年6月文庫本、2014年5月新装版)。
「隠蔽捜査シリーズ」や「樋口顕シリーズ」のようなリアル感は無く、漫画かテレビドラマにありがちな登場人物設定のストーリー構成で、これは違うかなと思いながら読み始めたのだが、これはこれでなかなか面白いと引き込まれて一気に読み終えた。
警視庁科学捜査研究所(科捜研)に新設された警視庁科学特捜班(ST)、そのSTに所属する5人のスペシャリストの活躍の物語である。リーダー格の法医学担当で女性恐怖症の医師(赤城左門)、第一化学担当で毒物など化学物質などを嗅ぎ分ける臭覚が発達し、古式武道