今野敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
警視庁捜査一課巡査部長、碓氷弘一。46歳。腹の出た体型に薄くなった頭髪。くたびれた背広姿というサエない中年男だ。
世辞も苦手で上司のウケも良くない。けれど上意下達主義の警察にあって、組織の常識に囚われない独自の視点から事件を見ることができる。
そんなベテラン刑事の碓氷が泥臭く事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ2作目。
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秋葉原。国内と言わず世界中のITファンが集う街である。事件は、そこで起きた。
セキュリティの甘い日本はまさにスパイ天国だ。世界中のスパイにとって息抜きの場になるほどである。中でも秋葉原は、スパイやテロのツール調達のメッカである。
イラン対イスラエルというスパイ同士の小競り合いから物語は始まる。舞台はもちろん秋葉原。さらにロシアンマフィアやらヤクザやらが同じビルで暗躍を始めた。
そこにやってきたのが秋田から上京して間もない大学生の六郷四郎。
憧れの東京。憧れの秋葉原。キャンペーンガールの美脚に見惚れ舞い上がっていた四郎が、裏社会の人間たちが繰り広げる騒動に運悪く巻き込まれてしまった。
爆弾騒ぎ、銃撃戦、人質を取っての立て籠もり。パニック状態に陥りながらも必死になって身を隠す四郎。
一方、警視庁から先乗りで派遣された碓氷は情報収集に全力を上げるが……。
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シリーズ1作目に続き、本作もパニックサスペンスです。そして碓氷の活躍は黒子的で控えめなのも前作同様。
けれど、北朝鮮のスパイから情報を引き出したり街の顔役の協力を取り付けたりと、相変わらずの人使いの上手さが際立つ碓氷。
極めつけは対立していたはずのイランの腕ききスパイとイスラエルのスパイの2人までもが揃って助力を申し出るという、碓氷の人徳というか人誑しぶりには笑うしかありません。
都合よすぎる展開ですが、エンタメとしては、前作以上のおもしろさでした。
再読なので筋書きはわかっているにも関わらず、この終盤に差し掛かるとワクワクしてしまうのだから、いい出来の作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
甘糟達夫。35歳。優しそうな童顔。痩せて小柄な体格。まじめで小心な性格。そんな草食系で争い事を好まない男が、何の因果か警視庁の刑事になってしまった。
望みは、手柄を立てることでも出世でもなく、平穏無事に定年まで勤め上げること。
なのに所属はマル暴だし、上司はヤクザより恐ろしい男だし、所轄の北綾瀬管内には暴力団事務所が多いときている。
穏健派の甘糟巡査部長の苦難の日々はまだまだ続く。シリーズ2作目。
◇
時刻は午後11時過ぎ。寝支度をしている甘糟の携帯に、綾瀬駅近くの歓楽街でチンピラ同士が喧嘩していると連絡があった。
現場に出向きチンピラたちに注意しようと甘糟が近づくより早く、恰幅のいい白スーツ姿の男がチンピラたちの睨み合いに割って入った。そして「この喧嘩、俺が買った!」と叫ぶ男を見て放っておけなくなった甘糟が、警察手帳を掲げながら全員に解散を促したところ、白スーツ男は「また会おう」と言い残し、高笑いとともに立ち去った。
呆れつつ見送った甘糟が、再び白スーツの男と会ったのは、思いも寄らない場所でのことだった。
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『任侠シリーズ』のスピンオフなので当然のことながらコミカルな作り。
殺人事件が起きる割に緊張感も何もないままストーリーが進行。
随所で甘糟の悲鳴のような「わあ、すいません」や「ひゃあ、ごめんなさい」が合いの手のように入るなど、ハードな描写がひとつもないというのは1作目と同じ。
そして、登場人物がまたユーモラス。
郡原の同期警官や甘糟の知り合いの警官がみな、役者揃いでおもしろい。
そして何より、多嘉原連合の多嘉原組長がなかなかの人物で気に入りました。阿岐本に匹敵する人物だと思います。
多嘉原が栄田警視正とともに白スーツの競演で締めくくるエピローグ部分。大笑いでした。
また、『任侠シリーズ』の阿岐本組が出てきたのは、たとえ日村と真吉だけでもうれしかった。その日村が、本作の中では唯一、威圧感と凄みを持つ人物として描かれていたのも意外でよかった。
それにしても、作品タイトルの「暴」って「暴れん坊」の「暴」だったのか。ただ栄田総監の伝法な口調は、暴れん坊の新さんというより遊び人の金さんっぽい。そんなことを思いつつ、楽しんで読ませてもらいました。3作目も楽しみです。